1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

血液がんの「CAR-T療法」保険適用から5年…その実力は?

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月21日 9時26分

血液がんの「CAR-T療法」保険適用から5年…その実力は?

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「CAR-T(カーティー)療法」は、新たに登場した血液がんの治療だ。日本で初めて承認されたのが2019年。当時は国内4施設でしか実施されていなかったが、現在は69施設まで広がった。北海道大学大学院・血液内科の豊嶋崇徳教授にどういう治療法なのか、話を聞いた。

 CAR-T療法は、がんの免疫療法の一種だ。私たちの体には、がん細胞やウイルスなど異物を攻撃する免疫機能が備わっている。

 その免疫機能の中心的役割を果たすのが白血球で、白血球にはリンパ球、顆粒球、単球などがあり、さらにリンパ球にはT細胞やNK細胞などがある。中でもT細胞は、がん細胞を攻撃する免疫細胞として最強の部類に入る。

 本来、T細胞はがん細胞を直接攻撃して死滅させる。一方、がん細胞は攻撃されないよう、少しずつ性質を変化させる。そうやってT細胞の攻撃から逃れたがん細胞が増殖し、がんを発症する。

「CAR-T療法では、T細胞を患者さんの血液から採取し、がん細胞の表面に出現する特定の物質(抗原)を認識できるように遺伝子操作をします。そうやってつくられたCAR-T細胞(元T細胞)を患者さんに投与すると、CAR-T細胞が特定の抗原に対して攻撃し、がん細胞を死滅させるのです」

 流れはざっとこうだ。がん治療の過程でCAR-T療法が適しているのではないかと判断されると、CAR-T療法を実施している病院へ紹介され転院。検査の結果、CAR-T療法が適しているとなった場合、専門施設で患者の血液中から採取したT細胞に対し、特定の抗原を認識できるよう遺伝子操作をする。そうやってできたCAR-T細胞(元T細胞)が必要量まで増えたら、患者が入院する医療機関へ輸送、患者に投与される。

 CAR-T療法を受けられる条件として、まず血液がんであること。胃がん、大腸がん、肺がんのような臓器や組織に腫瘍ができる固形がんは現時点では対象外。

 次に血液がんならすべてが対象となるわけではなく、Bリンパ球(白血球の一種)ががん化した血液がんに限られる。例えば多発性骨髄腫、悪性B細胞リンパ腫、急性Bリンパ性白血病だ。悪性リンパ腫でも、Bリンパ球が関係していなければ対象外となる。

 さらにCAR-T療法は現在4種類あり(注参照)、それぞれ対象とする病気や狙う抗原、適応条件などがやや異なる。

「4種類のCAR-T療法すべてに共通しているのは、既存の治療を受けたが効かない人、あるいは再発した人が対象で、一生に一回しか受けられないということ。どのタイミングで検討するかも非常に重要です」

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください