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大泉洋「室町無頼」で時代劇の完全復活なるか? 「侍タイムスリッパー」は興収8億円の大ヒット(金澤誠/映画ライター)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月22日 9時26分

大泉洋「室町無頼」で時代劇の完全復活なるか? 「侍タイムスリッパー」は興収8億円の大ヒット(金澤誠/映画ライター)

大泉洋(C)日刊ゲンダイ

 昨年は真田広之がプロデュースも兼ねた主演作「SHOGUN 将軍」がエミー賞で18部門受賞、製作費2600万円の「侍タイムスリッパー」が興行収入8億円を超える大ヒットと、時代劇が話題を集めた。そして年明けの1月17日から大泉洋主演のアクション大作「室町無頼」が公開中だ。

 これは垣根涼介の同名小説を入江悠監督が映画化した作品。時は大飢饉と疫病が日本中を襲った、応仁の乱前夜の1461年。生活に苦しむ民衆のために、日本史上、初めて武士階級として一揆を起こした首謀者・蓮田兵衛と、その仲間たちの活躍を描いた一大エンターテインメントである。剣客でもある兵衛をカッコよく演じる大泉をはじめ、彼の旧友で今は幕府の手先になっている宿敵・骨皮道賢に堤真一、兵衛と師弟のような関係で結ばれる「六尺棒」の達人・才蔵役に長尾謙杜、さらには松本若菜、柄本明、北村一輝ら個性的なキャストが顔をそろえている。

 この映画が注目されるのは、東映と東映アニメーションが手を組んで作られた時代劇大作であること。東映アニメーションは「デビルマン」(2004年)から実写映画にVFXで参加してきたが、私は「デビルマン」の撮影現場を実際に見て、あの時は実写とCGアニメーションの表現が連動していないのが気になった。以来20年、東映アニメーションは「男たちの大和 YAMATO」(05年)で迫力ある戦艦大和での戦闘シーンをVFXで実現し、「ハッピーフライト」(08年)や「ヤッターマン」(09年)など、東映作品以外でも実写映画のVFXを担当して技術を磨いてきた。そして今回、初めて本格的に東映時代劇のVFX表現にチャレンジしている。

 才蔵が「六尺棒」の達人になるまでの1年間にわたる命がけの修行のシーンや、室町時代を再現した京の町並み、剣や矢が人の体を斬り、刺さるリアルな描写など、VFX映像は全編に及ぶが、実写との連動に全く違和感はない。兵衛を中心とするアウトローたちは、いずれも超人的な身体能力の持ち主だが、彼らの動きも合成をうまく使ってスピーディーかつテンポよく見せている。

 全体として貧困と病が蔓延する、社会に対する民衆の怒りが一揆の原動力になっているが、その描き方はあくまでエンタメ寄り。兵衛を含めた9人の仲間たちが、圧倒的な数を誇る幕府軍に戦いを挑む姿は、どこか「ONE PIECE」の麦わらの一味を思わせるし、今は立場が分かれた兵衛と骨皮の関係は西部劇のアウトローと保安官を思わせる。その意味でも実写の時代劇とアニメーションのアクションが一体となった世界観になっていて、一つのジャンルではくくれない面白さを持った作品だ。

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