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(18)「温活」と長寿…温泉やサウナで長寿をサポート

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月25日 9時26分

(18)「温活」と長寿…温泉やサウナで長寿をサポート

睡眠の1時間前に湯船に入り身体を温める

【長寿研究のいまを知る】#18

 温泉やサウナなどの「温活」により、タンパク質の変性の抑制や、変性したタンパク質の修復を行うHSP(ヒートショックプロテイン)が活性化される。前回は、そのことが、老化につきもののタンパク質の恒常性の喪失=タンパク質の劣化に待ったをかけている、との考えを説明した。

 一方、長寿研究の遺伝子関連領域で大きな注目を集めているのは、サーチュン遺伝子(長寿遺伝子)の活性化についてである。ハーバード大学医学部&ソルボンヌ大学医学部客員教授の根来秀行医師がいう。

「サーチュン遺伝子は2000年頃、マサチューセッツ工科大学のレオナルド・ギャレンテ教授が酵母を使った研究により発見しました。寿命と老化の中心的な制御を担うタンパク分子(Sir2)を作るための遺伝子です。Sir2を失った酵母の寿命は正常の半分となり、Sir2が余分にあると寿命が30~40%長くなり、老化速度が遅くなったことが報告され、やがてサーチュン遺伝子は長寿遺伝子と呼ばれるようになったのです」

 その後、研究でサーチュン遺伝子は哺乳類において1~7の種類があり、それぞれ特性があることがわかっている。サーチュン2遺伝子によって作り出されたSir2は、細胞の中心にある核内でスイッチを切りたい(不活化したい)遺伝子領域をより強固にする酵素である。

「細胞の核の中で、DNAはヒストンと呼ばれるタンパク質に巻き付く形で収められています。これを『染色体』と言います。これにアセチル基などの化学分子が吸着すると、情報伝達やエネルギー生成といった生命活動を行うために遺伝子発現(DNAの遺伝情報を基にタンパク質などがつくられること)が行われます。このようにアセチル基が吸着する活動をするものをヒストンアセチル化酵素、外す働きをするものをヒストン脱アセチル化酵素と言い、Sir2は後者を指します」

 ヒストンがアセチル化した染色体は不安定になり、遺伝子の異常が起こりやすくなり遺伝子発現が不安定になる。逆に脱アセチル化が進むと遺伝子発現は安定する。

「このSir2の機能をさらに強化するのがNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)です。細胞に存在する不可欠な補酵素で、主にエネルギー生成に必要とされ、ほかにもDNA修復、細胞調整など多くの生物学的プロセスに関わっています。NADはある意味、サーチュンの燃料的な存在であり、その量が多いほどサーチュンが活性化することがわかっています。また、NADは生体内で還元型と酸化型の2種類存在し、酸化型は加齢とともに減少していきます。これが老化の原因のひとつだとされています」

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