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健康長寿のために正しい呼吸法を身に付ける【長寿研究のいまを知る 実践編】#1

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月30日 9時26分

健康長寿のために正しい呼吸法を身に付ける【長寿研究のいまを知る 実践編】#1

写真はイメージ

【長寿研究のいまを知る 実践編】#1

 健康長寿を実現するには人間を構成する60兆個(37兆個など諸説ある)の細胞を元気にすることだ。それには効率的な「細胞呼吸」が欠かせない。ハーバード大学医学部&ソルボンヌ大学医学部客員教授の根来秀行医師が言う。

「私たちは1分間に12~20回呼吸をして酸素を取り込み、食事で栄養素を取得しています。それらを血液を介して全身の細胞に送り込み、エネルギーを作ることで脳や筋肉などを動かしています。細胞呼吸とは『酸素』と『栄養素』を細胞内に取り込み酸化(電子のやりとり)することでエネルギーを作り出すプロセスのことをいいます」

 具体的には細胞内に数百から数千あるミトコンドリアと呼ばれるエネルギー生産工場で酸素と栄養素(糖質、脂質、タンパク質)の電子のやりとりをすることでATPというエネルギーのもとを作り、水と二酸化炭素を排出する。ミトコンドリアは脳や心臓などエネルギー消費が多い細胞ほどたくさん存在し、24時間エネルギーを作り続ける。作られたATPはストックができず、1秒以内に消費されるという。

「そのため1日に産出されるATPの必要量は自分の体重と同程度といわれています。その意味ではミトコンドリアは体内一の働き者といえます」

 しかも、ミトコンドリア内にはアポトーシス(細胞死)を促す物質(チトクロームC)が蓄えられている。万一、がん化などを察知すれば自死して異常な細胞を除去する。こうした機能が低下すれば異常細胞が居座り続け、そこから炎症性サイトカインなどが放出されて慢性炎症が全身を覆わないとも限らない。

「ミトコンドリアの劣化は、『命の回数券』と呼ばれ細胞寿命の決定因子のひとつであるテロメアにも影響を与えます。遺伝情報が刻まれたDNAの両端のほつれを防ぐキャップの働きもするテロメアは、細胞分裂のたびに自らを短くすることで染色体機能を正常に保つ。その劣化はテロメアの不必要な短縮だけでなく、活性酸素やフリーラジカルの大量発生を招き、細胞寿命の短縮につながります」

 逆にいえば、ミトコンドリアが正しく機能して細胞呼吸が正しく行えればテロメアが長持ちして細胞寿命が長くなる。それは健康長寿にもつながる。しかし、これには酸欠という弱点がある。例えば細胞のなかでも最もエネルギー消費量が大きい脳細胞は5分程度酸素供給が中断すると細胞が壊死する。

「だからこそ、しっかりした肺呼吸(外呼吸)による効率の良い酸素運搬が必要なのです」

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