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「言葉」を増やすことは自分の可能性を増やすことになる【科学が証明!ストレス解消法】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月31日 9時26分

「言葉」を増やすことは自分の可能性を増やすことになる【科学が証明!ストレス解消法】

写真はイメージ(C)iStock

【科学が証明!ストレス解消法】

「語彙」が増えるにつれて感情表現が豊かになるという研究が多数存在します。例えば、2017年にハーバード大学のヌックらによって発表された論文では、6歳から25歳までの成長過程を追跡したところ、言語情報の増加が考察や推論、感情表現の多彩さにつながることを発見しています。

 この研究では、幼少期では「ポジティブかネガティブ」といったシンプルな感情が、語彙が増えることで多次元的に感情を表現できるようになるとも付言しています。

 日本語は、表現の豊富さという意味では世界的にトップクラスの言語といわれています。一例を挙げると、日本語には食感を表す言葉が445語もあるといい、英語やドイツ語では食感を表す言葉が約100語程度であることを考えると、その豊かさは一目瞭然です。

 英語で歯ごたえを表す「クリスピー」という言葉がありますが、日本語は「サクサク」「ザクザク」「シャキシャキ」「パリパリ」など、歯ごたえを表す言葉が、オノマトペを含めると多数あるため、微細なニュアンスの違いを表現することが可能です。

 また、漢字、ひらがな、カタカナの併用により、使用する文字の数が他の言語と比べて圧倒的に多く、漢字を使用することで、「目」を表現するにしても、「眼」「瞳」など微細なニュアンスの違いが表現可能となります。

 先の研究に照らし合わせると、まさにこうした語彙力の豊富さが感情表現につながるだけでなく、相手に気持ちをより伝えられるツールになるというわけです。

 それを証明する実験が、2017年に沖縄県うるま市で実施されています。中学生を対象に、生徒が自ら「ことばノート」を作成し、それを表現活動に活用することで、言語感覚、学びに向かう力などにどのような変化が生じるのかを調べました。実験は、まず芥川龍之介の「蜜柑」を読んでもらい、「印象に残ったもの・気になる表現を引用する」「ことばノートのことばを使う」ことを示した上で、初発の感想をまとめてもらいました。

 生徒たちは、おのおのに「不思議」「悲しい」「やさしい」といった表現を書き出し、その後、グループで考え、「不思議→変、奇妙」「かわいそう→悲惨」という具合に、そのほかの表現を導き出すようにディスカッションしました。

 そして、同様の条件で芥川の「トロッコ」の感想をまとめたところ、初回の「蜜柑」では、ことばノートを活用してまとめることができた生徒が全体の約31%であったのに対し、2回目の「トロッコ」では、約45%にまで増加したといいます。言葉を知ること、語彙を増やすことは、確実に自分の表現や感受性を豊かにしてくれるというわけです。

 語彙の質を高めるためには読書が効果的ですが、日常的に使っている言葉の言い換えを意識するなども有効です。「かわいい」と感じたら、その理由をいくつか挙げて詳しく説明する習慣をつけるなどすると、表現の幅は広がっていくでしょう。

 言葉を増やすことは、比例して自分の可能性を増やすということを忘れずに。

(堀田秀吾/明治大学教授、言語学者)

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