冬の風呂で命を守るには「熱中症」に注意する…ヒートショックだけじゃない
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年2月1日 9時26分
入浴中の熱中症にも注意(C)iStock
これから2月初めにかけて“立春寒波”が到来し、10年に1度の冷え込みが予想されている。そんな日は熱い湯につかってじっくり温まりたいものだが、冬の風呂では注意しないと命の危険がある。昨年12月、歌手の中山美穂さん(享年54)が、入浴中に起きた不慮の事故で亡くなったことは記憶に新しい。風呂で命を守るためのポイントを東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身氏に聞いた。
冬の風呂での死亡事故というと、「ヒートショック」を思い浮かべる人がほとんどだろう。寒い環境と暖かい環境との温度差が10度以上になるような激しい温度変化によって血圧の急激な上下動が起こり、命に関わる心血管トラブルを引き起こす現象だ。
しかし、入浴中の死亡事故の主な原因はヒートショックではなく、浴槽内で熱中症を起こしたことによる「溺死」だという。
「日本で起きる溺死の約60%は風呂で発生しています。年間でおよそ1万人が亡くなっていて、とりわけ冬には1日で数十人と、急増することがわかっています。以前は、入浴時の事故はヒートショックによる心血管トラブルが原因とされていましたが、最近の研究で、ヒートショックでの浴室事故死は、入浴直後の血圧低下を含めても7%程度に過ぎません。浴槽死亡事故の8割以上は、長時間の入浴によって熱中症を起こし、意識を失ったための溺死と推察されているのです」
熱中症は、気温と湿度が高い環境下で、体内の水分や塩分が失われたり、体温の調節機能が利かなくなることで体温が上昇し、めまい、けいれん、意識消失といった症状が現れる病態だ。夏に危険度が高くなるのは当然だが、冬でも入浴時はリスクがアップする。
「風呂は、長時間、熱い湯につかることで深部体温が上昇します。さらに、浴室内も高温多湿になるため鼻から吸う空気で脳を冷やすことができず、体温制御機能が低下して熱中症リスクを高めるのです。入浴中に体温が40度を超えると熱中症の症状が現れ、そのまま入浴を続けていると意識障害を起こして浴槽内で顔がお湯につかってしまい、溺死につながる危険がアップします」
慶応大の研究では、体温37度前後の健康な人が42度のお湯で全身浴した場合、30分足らずで体温が40度に到達すると報告されている。やはり、風呂は熱中症を招きやすい環境といえる。
■浴槽自動保温機能はオフにする
厚労省の人口動態統計によると、こうした浴槽内での溺死は2000年代後半から増加しはじめ、2010年以降は大幅に増えている。その大きな要因は、「浴槽自動保温機能の普及」と「スマホの持ち込み」が考えられるという。
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