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物忘れは認知症の初期症状? “医学的な物忘れ”ではない場合も【第一人者が教える 認知症のすべて】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年2月4日 9時26分

物忘れは認知症の初期症状? “医学的な物忘れ”ではない場合も【第一人者が教える 認知症のすべて】

注意力や集中力が散漫になって起こる物忘れもある

【第一人者が教える 認知症のすべて】

 昨年末からの感染症の流行がまだ続いていますね。インフルエンザ、コロナともに検査では陰性だったが、咳がしつこく続いているという話も頻繁に聞きます。

 暖かくして、十分な栄養と睡眠を取って、感染症対策に努めてください。

 さて今回、本欄では、物忘れが気になり始めた人への疑問にこたえたいと思います。

「先生、私の物忘れは、認知症の初期症状でしょうか?」

 アルツハイマー病の新薬登場で、認知症の症状である物忘れへの早期介入が重要になってきたことから、こんな質問を受けることがちらほら増えてきました。

 物忘れといっても、実は、医学的には物忘れじゃない場合があります。それは、注意力や集中力が散漫になって起こる物忘れです。心配事があったり、睡眠不足が続いていたり、疲労困憊していたり、体の調子が悪かったり……。

 ある70代の女性は、ご主人が脊柱管狭窄症の手術を受け、入院していた際、娘さんから心配されるほど、物忘れが増えたそうです。鍵をかけるのを忘れて外出する。銀行に用事があって出かけたのに、手続きに必要な通帳とハンコを持ってきていない。

 娘さんに電話をかけたはいいが、「あれ、何を言おうと思っていたんだっけ」となる。

 ご主人のことが心配である上、毎日の見舞い、病院と家の往復、家に帰ってもひとりっきりで話し相手がいないといったイレギュラーなことが積み重なって心身ともに疲労し、それが一時的な物忘れの増加につながったのでしょう。ご主人が退院し、リハビリも無事終了し、以前の暮らしに戻ってからは、物忘れも減ったそうです。

脳脊髄液や血腫で脳が圧迫され、物忘れが生じていることもある

 物忘れには、「老化現象として正常な物忘れ」もあります。

 医学的に何の問題がない人でも、加齢とともに物忘れの度合いは高まっていきます。85歳以上の人に認知機能テストを行うと、3分の2の人が「認知症の疑いあり」となるともいわれているのです。しかしそれらの人が皆、病的な認知症かというと、そうではありません。

 物忘れがあっても、これまで通り寝起きし、着替え、家事をし、食事をし、風呂に入って清潔を保てていれば、イコール認知症ではないでしょう。一方で、テレビや洗濯機、電子レンジなど長年身近にあった生活道具の使い方がわからなくなってきたら、速やかに病院を受診することをお勧めします。

 前述のように、体の調子が悪くても、物忘れは増えます。うつ病、甲状腺の機能低下、ビタミンB1・B12の欠乏、肝機能や腎機能の低下といった病気が隠れているかもしれません。

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