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高齢でも「居場所」と「役割」を見つけるためにはどうすればいいのか【正解のリハビリ、最善の介護】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年2月5日 9時26分

高齢でも「居場所」と「役割」を見つけるためにはどうすればいいのか【正解のリハビリ、最善の介護】

ねりま健育会病院の酒向正春院長(C)日刊ゲンダイ

【正解のリハビリ、最善の介護】#65

 人生100年時代を迎え、定年後の高齢者が幸せに暮らすためには「生きがい」「居場所」「役割」が重要だと前回お話ししました。今回は引き続き「居場所」について取り上げます。

 高齢社会白書によると、高齢者の「居場所」に関しては、約70%が「これまで住み続けた自宅」が一番いいと答えています。このため、加齢によって筋肉量や体力が低下し、認知機能も衰えてしまうと、家や部屋が汚いという意識がなくなり、いわゆる“ゴミ屋敷”も増えてしまうのです。

 ほかの「居場所」としては、公園や緑地、商業施設や娯楽文化施設、飲食店や喫茶店、親族や知人宅が挙がりました。このように、外出して他者と触れ合うことで生きがいにつながるような「通いの場」を自分の地域に見つけることが大切になります。つまり、「居場所」とは、楽しい場所や心地よい場所であり、会いたい人がいる場所となります。

 これまでは、こうした「通いの場」は、現実の建物や空間でした。さらに、リモート環境が進化し、いまや“普通”になった現代では、リモートで参加して交流できる「通いの場」も大切になります。ただし、外出せずに活動量が落ちてしまうと、筋肉量低下という落とし穴があるので注意が必要です。

■高齢者には3つの「役割」がある

 高齢者の「役割」には、家族的と社会的、そして、精神的な3つの役割があります。まず、高齢者の家族的役割については、男性は定年後にいつまでも亭主関白ではいられません。また、奥さまも60歳を越えると、主婦としてご主人を支える多くの気配りが同時にはできなくなります。このため、男性は定年後に家庭内でも自立することが必須です。奥さまに依存してはいけません。

 一方、奥さまは子供から情緒的に自立することが難しいのですが、自立しなくてはなりません。そして、夫婦は伴侶性を強化することが重要で、これを促進するのは男性の役割になります。

 次に、高齢者の社会的役割は、男性では人間関係が定年前の職場とは異なるため、新しい自分像を再形成することが必要です。その自分像を無理なく受け入れられれば、自分の居場所が見つかり、社会活動を前向きに捉えられます。また、魅力的な情報にも気づきます。

 しかし、新しい自分像を受け入れられない時は、新しい役割を担うことができません。すると、社会からの孤立が生じて、認知症へ向かう“ギア”が上がってしまいます。

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