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タイでまだまだ走り続けているブルートレインに乗ってみた

Global News Asia / 2015年3月2日 11時0分

 タイの寝台列車を利用する際の注意がもう一つ。2等寝台はエアコンとファンの二種類があり、当然ファンの方が割安。そしてエアコン車に乗る場合は、上段の方が寒いくらいの冷房になる。エアコンの吹き出し口に近いせいだが、寒がりの人にはかなりキツい。

 食堂車は22時過ぎまでで、材料が無くなったものから終わって行く。基本的には22時半まで営業している。寝る前に何か口に入れておこうと再び食堂車を訪れると、大音響が鳴り響いていた。中央部では業務を終えたらしい従業員たちが、音楽に合わせて踊っている。まさに日本では考えられない光景が繰り広げられていた。その横では他の従業員たちが食器の片付けをしている。そして欧米人たちは楽しげに踊る姿に見入っている。

 昨年、状業員による乗客への強姦殺人という悲惨な事件の後、タイの鉄道ではアルコール類の販売と持ち込みが禁止された。しかし彼らはどう見ても酔っている様子。大人しく見ていた欧米人も、こっそりとバッグを開けウイスキーのボトルを見せウインクしてきた。

 タイ人の遵法精神は、あまり高いとは言えない。しかし、そのことを厳しく咎めたり、クレームとして申し立てる者もほとんどいない。彼らにとって楽しみを妨げることこそ、忌み嫌う事であり、例え軍事政権が決めた法律であっても気に入らなければ守る気もない。こうして、過去にいくつもの法律が制定後も定着しないまま忘れ去られて来た。

 こうしたことをとやかく言うのは、日本人的な発想とも言えるだろう。タイは彼らの国であり、外国人は客に過ぎない。彼らのしていることをとやかく言っても仕方ないのだ。上段のエアコンの効き過ぎたベッドに戻り、眠りにつくまでの間、そんな事を考えた。

 翌朝、ドンムアンという車掌の声で目が覚めた。列車は定刻より10分と遅れずに来たようだ。そのままバンスー駅に到着。昨夜楽しませてくれた食堂車のスタッフが、こちらに気がつき手を振って来た。

「また会いましょうね!」

 そう言われて、こちらも「ぜひまた!」と答えて駅を出た。
【執筆 : そむちゃい吉田】


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