【タイ】ベテランフォークシンガーが2年後の引退を宣言
Global News Asia / 2015年4月26日 9時0分
2013年音楽専門FM局の表彰式で、同じジャンルの最優秀歌手バウイーさんに表彰楯を手渡すポンシット・カンピーさん。(中央右側)大ベテランとして慕う後輩歌手は数知れない。(ルークトゥンタイランド 提供)
2015年4月24日、タイの有名フォークシンガー、ポンシット・カンピーさん(47才)が、2年後の50才になったら歌うことを辞めるとテレビの芸能情報番組で語った。
ポンシット・カンピーさんは、「タイで生きる為の歌」(タイ語でプレーンプアチーウィット)と呼ばれるジャンルのシンガーソングライターとして1987年にデビュー。1990年永遠の時(原題:タロートウェラー)の大ヒットで一躍トップアーティストとなった。つい最近でも「愛一筋(ラックディオ)」という曲がリバイバルヒットしており、ベテランとなった今でも存在感は大きいままだ。
タイ人の多くは音楽に対して、曲ごとの好きか嫌いかで、特に歌手にこだわることは少ない。しかし、このジャンルについては、こだわりを持つファンが多い。
ファンの多くは、革ジャンにバンダナ、ビッグバイクに乗っていそうな、いわゆるワイルドアメリカンなイメージのファッションを好んでいる。同じジャンルのカラワンやカラバオにも共通のファンが多い。
今回、彼が引退を決意した大きな理由は、そのファンに由来するものだった。彼のコンサートでは、毎回のように観客同士のケンカが起きるのだ。その度に演奏を中断せざる得ず、一回のコンサートでも度々中段を余儀なくされることもある。時には傷害事件などになることもある。
奇しくも、この話題がネットで盛り上がっている最中、バンコク近郊で24日夜に予定されていたポンシットさんのコンサートは、安全を確保できないとの理由から警察の中止要請があり、中止になってしまった。
「僕は楽しんでもらおうと歌い、演奏している。でもコンサートの度にケンカが起きる。けが人が出たときは特に辛い。何年も問題解決の手だてを考えて来たけれど、自分が歌うことをやめるしかないと思えて来たんだ」
ポンシットさんは、こう話しながらもできることなら歌い続けたいという内心を滲ませていた。しかし、この決断に家族は反対していないという。
普段は穏やかで微笑みの国との名前通りのタイ人だが、一度火がつきケンカになると止まらなくなる。それが集団同士で起きた場合は、暴動のようになり、時には銃撃戦になることもある。近年、コンサートの出入りには機動隊が所持品を検査するため、拳銃などが持ち込まれることは無くなって来ているが、ケンカは相変わらずだ。
筆者は何度もタイ人歌手のコンサートに行っているが、時折、演奏が中断したと思ったら、会場でケンカ起きていたということもあった。しかも、ほとんどの場合は当事者たちを追い出してすぐに納まる。
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