【インド】モディ政権の経済・金融マーケット―HSBC投信
Global News Asia / 2015年6月17日 16時30分
2015年6月16日、HSBC投信は、インドのモディ政権の経済や金融マーケットの現状や見通しについて分析を伝えた。
5月のインド株式市場は上昇、債券市場の利回りは低下した一方、通貨ルピーは対米ドルで下落している。利下げ期待が株式·債券市場に好材料となり、インド準備銀行(中央銀行)は6月2日に利下げを実施した。
インド政府は、燃料価格の規制緩和、インフレ目標の設定、新たな天然資源配分方針、手当の直接給付制度(DBT:各種補助金など手当てを受益者の銀行口座に直接振り込む制度)、労働法改正、税制改革などを行なっている。また、インドを世界の生産·輸出基地とする「メーク·イン·インディア(インドでものづくりを)」構想、若者の技術力向上を図る「スキル·インディア」構想を含む多くの改革試案を推進している。
この1年間、主要経済指標は改善しており、インフレ率は低下、景気は緩やかに回復、経常赤字は縮小した。また、ルピー相場が比較的安定して推移している点も注目されている。
モディ首相は、インドへの投資促進を目的に、過去1年間、アメリカ、日本、中国、フランス、ドイツなど諸外国を積極的に訪問した。
米大手格付け会社ムーディーズ·インベスターズ·サービスは4月にインド国債の格付けの見通しを「安定的」から「ポジティブ」に引き上げている。これはインド経済に対する信認回復の表れであり、投資先としてのインドの魅力を向上させている。
1年目に複数の重要法案を成立させたモディ政権は、今年度も改革を積極的に推進すると見られる。物品·サービス税(GST)の導入、土地収用法改正等の重要法案の成立は難航しているが、モディ政権は改革前進に向けた強い決意を表明、また非伝統的な政策手段(大統領令発令など)を活用する用意があることも示しており、今後の展開に期待が持てる。
『注目されるモンスーン期の降雨量』
インド経済にとり、モンスーン期(6月~9月)の降雨量は非常に重要だ。雨量が少ない場合には、農産物の不作から経済成長率の低下、また食料品価格上昇からインフレの加速を招く可能性がある。
インド気象局は今年のモンスーン期の降雨量の予測を長期実績平均に対し93%から88%に下方修正した。90%以下は雨不足と見なされる。
市場では、インフレへの影響が懸念されているが、予想以上の降雨不足の場合でも、政府は在庫の取り崩しなど、供給サイドからの対応策を講じることが見込まれる。
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