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【タイ】米国からタイ軍政を危惧する声が相次ぐ

Global News Asia / 2015年12月3日 9時0分

タイのイメージ(そむちゃい吉田 撮影)

 2015年12月3日、米国の大使による不敬罪やタイ軍政による反体制派への摘発について、批判とも取れる発言を行った事に対して、バンコク中心部のアメリカ大使館前で、王室擁護派と見られるタイ人グループ約200人が新たに赴任したばかりの大使の発言に抗議のデモを行った。また、今週には米紙ではタイの政府的安定とは逆に、経済が低迷し治安が不安定化しているとのレポートが報道された。

 今年9月に赴任したばかりのグリンTデビース新大使は最近、タイ軍政によって多くの人が、不敬罪や危険思想として摘発されていることに、危惧を抱いているという発言をした。この発言を受けて、物言う僧侶として有名なプッタイサラ僧正を含む、王室擁護派と見られる約200人がバンコク都中心部ウィッタユ通りにあるアメリカ大使館前でプラカードを掲げてデモを行った。

 デモ隊が掲げたプラカードには、「ここはアメリカじゃない」「我々はバカじゃない」「我らの国、我らの国王陛下」などと書かれており、プッタイサラ僧正は、拡声器を使って発言の撤回とタイの独立性に口を出すべきではない。という趣旨のスピーチを行った。

 また今週、米紙上に軍政以降にタイで起きている経済の停滞化についてのレポートが掲載された。同紙は、軍政はクーデターにより政治の安定を取り戻すことには成功したが、経済は正反対に不安定になっている。それらは外国資本による工場などの新規進出が激減していることや、市場や商店主たちが口を揃えて売上げが落ちて借金が増えている現状を嘆いていると伝えている。

 軍事政権は、新憲法が国民投票によって承認され、施行後に民主選挙を行うとしているが、今年予定されていた国民投票は来年半ばまで延期された。この間、米大使が指摘するように反体制と見なされた人々の逮捕や拘束が後を絶たない。米国のみならず、欧州各国からもタイ軍政のこうした振る舞いを憂慮する指摘が多い。

 もう一つ懸念されているのが軍事政権という強力な体制でありながら、巷では犯罪が増えている事だ。犯罪発生率は昨年比63%上昇。窃盗は9月の一カ月間だけで7557件発生している。これは、先の商店主たちの声を裏打ちするものとしてレポートでは紹介されている。

 タイ軍事政権は、その就任時に中立の立場に立ち、国民の和解を推進すると表明していた。しかし、その後行われているのは、赤シャツと呼ばれるタクシン元首相を支持する一派への、より強硬な摘発だ。

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