心と身体を育む日本のUNDOKAI カンボジア11州に拡大―JICAカンボジア事務所
Global News Asia / 2016年2月20日 19時16分
2016年2月19日、JICAカンボジア事務所が発行する「カンボジアだよりNo54」に、『心と身体を育む日本のUNDOKAI カンボジア11州に拡大』と題する記事が掲載された。
(記事)カンポット州ロル中学校の校庭で1月下旬、運動会が開かれました。組体操、ボール 運び、三人四脚。日本でもおなじみの競技 がにぎやかに繰り広げられました。
日本式運動会は、JICAの青年海外協力隊員が青少年活動支援の一環として導入し、広げています。現在では全国11州で運動会が実施されるまでになりました。
カンボ ジアでは運動会どころか、体育の授業さえ十分には実施されていません。また、団体生活の中での協調性や自主性など、子供たちの心の成長に必要な活動をするチャンスもほとんどありません。
運動会は、ルールを守り、力をあわせ、勝っても負けてもお互いの健闘をたたえる、そんな社会生活での基本を学ぶ活動として、カンボジアの学校教育に導入されました。
カンポット州での運動会は、今年で5回目。 青年海外協力隊員の久保貴史さん、井上佳名 子さん、小林実季さんが3代にわたって運動会を引き継いできました。今回が、協力隊員と一緒に実施する最後の運動会です。 協力隊員たちが大切にしてきたのは、子供たち自身に自主性や責任感を育み、仕事を達成する喜びを感じてもらうことです。中学校 の運動会では「運動会運営委員」を設置し、 競技、進行、宣伝、道具・会場といった担当 分野を決めました。この日も、はつらつと競技する生徒たちの間を走り回りながら、運営委員の生徒たちは、てきぱきと仕事をこなしていました。
また、協力隊員の助けなしでも運動会が続くためには、先生や保護者、教育行政の関係 者にもその意義を理解し、協力してもらうことも不可欠です。 ロル中学校のボンクリー副校長は、「今 まではサッカーやバレーなど、競技の上手な 生徒のみが運動を楽しんでいました。でも運 動会を始めてみると、苦手な子供も協力し、 共に学び合うようになりました」と、子供たちに変化が起きたことを指摘しました。さら に、「学年の垣根を越えて交流できる良い機 会」と話します。
同校で体育を教えるソピー教諭も「(自分が)他の学校に転勤しても、次の学校で運動会に取り組みたいです。私も 楽しんでいます」と笑顔で語っています。カンポット州では、教育局も積極的に運 動会の実施を後押ししています。教育局職員 のイアムさんは「子どもたちが自分の役割を きちんと果たし、ルールを守れるようになりました」と、運動会の手ごたえを感じています。
これからも地域の人たちと協力して続けていきたいと、教育局と学校が一緒になり、継続していく意気込みを見せました。 青年海外協力隊員がバトンをつなぎ、育てたカンボジアの運動会。子供たちを見守ってきた協力隊員たちは、もっともっと広がり、支え合い、思いやりあふれる社会の礎となって欲しいと願っています。
【編集 : 高橋大地】
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