【タイ】バンコク人はタイ人にあらず? バンコクと地方に横たわる深い溝
Global News Asia / 2016年3月25日 11時0分
2016年3月25日、タイの県別地図とも見える一つの地図が話題になっている。そこには正しい県名は一つもなく、代わりにバンコク人がそこにイメージする言葉が並んでいる。東北部には大きく赤シャツとある他、タイ国内であるにも関わらずラオスとなっていたり、プーケットに隣接するパンガー県もプーケットになっていたり、マレーシア国境地域はクソッタレ爆弾エリアとされている。
バンコクと地方の格差は、昔に比べると表面的には縮小されているかのように見える。しかし、それは地方都市でも携帯や衛星テレビが普及し、中心部には大型ショッピングセンターも次々に建設されるなど、インフラ面での差が縮まったに過ぎない。物質的、インフラ的な差が縮まっても、バンコクと地方の間に横たわる意識の溝は、まだまだかけ離れている。
この地図は、バンコク人が、その地域をどう見ているのを例えた言葉で書き表しており、地方との意識差を上手い具合に表している。東北部コンケーン県、ウドンタニー県周辺には大きくRED SHIRT(赤シャツ)。その東のムクダハーン、ヤソートン県は、まだタイでもあるにも関わらずラオスとされている。また同様にスリン県はカンボジアと書かれている。
国内旅行が一般的になったタイでも、バンコク人の地方に対する興味は限られたものであり、基本的には何も関心がないということが浮き彫りになっている。新聞社のインタビューに地図の作者は、特に批判をすることが目的ではない。と強調しつつ、
「バンコク都民1000万、特に中間層以上の人々が地方に対して潜在的に思い描いていることを素直に表しただけ。」と語った。
またタイのとある国立大学准教授は、「かつて初めて東北部の貧しい村を訪ねた時、そこが同じタイだとは信じられなかった。その村でいた人々は、薄汚れた服を着て、家はスラムと変わらなかった。自分はもしそこに行く機会がなかったら、きっと今でもそのことを知らなかっただろうし、興味を持つ事もなかった。」と語る。
先ほど10代の歌手がステージでの演出がけしからんとネットを騒がせたが、その問題もこれと同じ視点による問題と言え、東北部の音楽ステージでは極当たり前の演出として繰り広げられていたものが、バンコク人の目に留まった時に、これはけしからんとして、一方的にさらし者として吊るし上げられてしまった。しかし、この歌手にはその後、批判を上回る応援も寄せられ、順調に歌手活動を続けている。
こうした意識の格差は、タイを二分する黄色と赤色の政治紛争にも陰を落としており、バンコク人が普段は心の奥底にしまってある差別意識として暴発する事もある。それは、クーデターまで続けられた座り込みデモの根源となっていたのだ。今回こうした地図が出回っているのは、どちらかの隠れた不満が鬱積していることの表れなのかも知れない。
【翻訳/編集 : RD】
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
【タイ・チャーン島】世界最高のハネムーン先No.1に選出、イギリス旅行サイトEnjoyTravel
Global News Asia / 2024年6月28日 12時0分
-
「最低賃金」引き上げどうなる? 厚労省審議会で議論スタート 東京1113円、岩手893円…“地域差”が課題【news23】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年6月26日 12時30分
-
タイ国鉄、バンコク~ビエンチャン路線の試験運行を7月中旬に実施(タイ、ラオス)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月24日 1時15分
-
ラオス企業、日本産食品の調達方法を模索、バンコクで食品見本市(ラオス、タイ、日本)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月12日 0時15分
-
業務改善・DX人材育成サポートのワクフリ、社外取締役に塙 達晴(バン タツハル)氏が就任
PR TIMES / 2024年6月10日 10時45分
ランキング
-
1焦点:少年院でギャングが勧誘、スウェーデンで増える銃犯罪
ロイター / 2024年6月30日 7時54分
-
2北朝鮮の朝鮮労働党中央委員会が金正恩総書記の生母・高容姫氏の記録映画や映像の破棄を命令 日本生まれの出自を懸念か
NEWSポストセブン / 2024年6月30日 7時15分
-
3蘇州の邦人切り付け、無差別か 中国人男、社会に不満も
共同通信 / 2024年6月30日 16時21分
-
4ロシア、短・中距離核ミサイルの生産再開へ プーチン氏が表明 米国への対抗と主張
産経ニュース / 2024年6月29日 20時30分
-
5米大統領選挙撤退を否定するバイデン氏、最終判断は夫人の意向が影響か…民主党内から候補差しかえ論も
読売新聞 / 2024年6月30日 20時34分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください