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THAAD報復で安重根処刑の旅順監獄やハルビン記念館が閉館? 韓国人命日集結できず

Global News Asia / 2017年3月27日 19時37分

旅順日露監獄旧址(撮影:我妻伊都) 

 2017年3月26日は、韓国や北朝鮮で民族の英雄とされる安重根(1879年~1910年)の処刑日だ。安の最期の地であった中国の「旅順日露監獄旧址」(大連市)には、安が収監されていた特別室が残されている。そこへ命日になると大量の韓国人が集結する光景がイベント化していたが、今年はその光景はなかった。
 
 安重根は、伊藤博文を殺害した罪で死刑判決を受けたが、安の魅力的な人間性や高い知性にひかれた看守も多く、監獄内に特別な小屋が建てられそこへ収監されるという特別待遇を受けて執筆活動などをしていたという。

 今年、安重根の命日に韓国人が集まれなかった理由は、昨年10月から旅順日露監獄旧址が内装工事を理由に閉館しているからだ。これも韓国へ配備が進む「THAAD」(終末高高度防衛ミサイル)への報復の1つと見られる。

 安重根関係はこれにとどまらず、2014年1月19日に伊藤博文殺害の地であるハルビン駅に開館した「安重根記念館」も駅舎の改修工事を理由に3月15日に正式閉館し、ハルビン市内の「朝鮮民族芸術館」内へ移転したのだ。

 安重根記念館は、当初、記念碑だった予定が、習近平主席と朴槿恵大統領が日本に対する歴史問題で共闘するために中国側の提案で記念館へ格上げされ開館。中韓蜜月の象徴とされた。

 しかし、実は、安重根記念館は、昨年8月以降は、ほぼ閉館状態だったことが、中国版ツイッターの微博(ウェイボー)で検索すると分かる。ハルビン駅を訪れた中国人旅行者が「安重根記念館休みだ」や「今日もやっていない」というつぶやきを発しているからだ。韓国へTHAAD配備が正式決定した7月以降は、事実上閉館状態だろうことから、今月移転したとしても別段驚くことはないが、安の命日を意識した閉館、移転である可能性は捨てきれない。

 また一部の韓国人の中には、安重根は、中国にとっても英雄のはずという主張があるようだが、中国政府は、安が抗日の英雄とは認めていない。その理由は、安は当時の法律上でもテロリストだったわけで、もし、中国政府が正式に安を抗日の英雄と認めれば、中国国内で、今もくすぶるチベットや新疆ウイグルなど、独立を望む少数民族が起こすテロや暴動行為を、肯定することになるからだ。中国政府は、これらのテロや反政府暴動の首謀者を、国家の安定を脅かすテロリストとして厳しく批判している。

 つまり、中国政府がテロリストだった安重根を、英雄と認めれば、少数民族によるテロや反政府暴動の指導者もまた英雄となってしまうので、中国政府としては絶対に安を英雄とは容認できないのだ。
【執筆 : 我妻 伊都】

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