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インド史上最大規模の銀行不祥事ーHSBC投信レポート

Global News Asia / 2018年3月30日 9時15分

インドのイメージ

 2018年3月29日、HSBC投信は、現地発の経済レポートで「20億米ドルの不正取引で窮地に立つインド銀行業界」、「インドにおけるESG投資」2つのトピックスを伝えた。

(レポート)
トピックス1:20億米ドルの不正取引で窮地に立つインド銀行界

 インドの銀行界が最近注目を浴びている。2月にインド2位の国営銀行で20億米ドルに及ぶ不正取引が発覚したため、大掛かりな検査が行われる一方、金融界への規制の見直しも進行中である。

 その銀行は、2つの宝石取引グループが複数の行員と共謀して、不正に発行された銀行保証状を利用し、複数の国内銀行の海外支店から不正に融資を受けていたことを明らかにしている。

 インドにおける史上最大規模の銀行不祥事に発展しそうなこの種の事件は、国内第2位の国営銀行に限ったことではなく、この数週間でも、他の複数の銀行における小規模の不正取引が表面化している。このように、銀行についてのネガティブな記事が連日メディアで流れる一方、インド準備銀行(中央銀行)の不良債権処理の枠組みの改訂版が発表されたため、インドの銀行株価は下落した。

 投資家の間では、不正事件を受けて銀行規制が強化されることから、インドの銀行貸出が速やかに増加する見込みは遠のいたとの見方が広がった。

 事件発覚から数週間後、中央銀行はインドの全銀行に向けて、不正取引に使われた銀行保証状の発行を禁ずる通達を出した。

 また、中央銀行は、各行に対して2018年4月30日までに、不正防止のために一部の「技術的な抜け穴」を塞ぐ対策を講じることを求めている。中でも問題になっているのは、国際銀行間通信協会(SWIFT)の銀行間メッセージング・システムと各行のコアバンキング・システムの接続における抜け穴である。

 銀行システム、貸出の伸び、経済への影響などへの懸念のほかに、不正取引事件はインドのコーポレート・ガバナンス基準についての疑念を引き起こしている。

 インド国内の主な企業、産業界を代表するインド産業連盟(CII)は、政府の国営銀行の株式保有率の引き下げと銀行規制の強化、銀行業界におけるコーポレート・ガバナンス基準の改善を提言している。

 また、銀行不祥事の表面化により、国営銀行、中央銀行、政府が、銀行セクターに蔓延している問題の解決に向かって動き出すという意味において、最近の出来事をポジティブに捉える向きもある。

 政府は国営銀行のガバナンス基準と査定手順の改善のために2016年4月に銀行委員会(Banks Board Bureau=BBB)を発足させた。しかし、同委員会は最近発表した声明で、1年前に提言をまとめたが財務省からはまだ反応がないとしている。

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