新興国通貨不安がインドに波及ーHSBC投信
Global News Asia / 2018年10月4日 13時45分
2018年10月4日、HSBC投信は「新興国通貨不安がインドに波及」のタイトルでレポートを伝えた。
インドルピーの対米ドル相場は、新興国市場に対する不安の高まりを受けて、ここ数週間で大幅に下落した。年初来下落率は約12%で、アジア通貨の中でも最も大きい。
ルピー下落の背景には、ドル資金調達コストの上昇、米中貿易摩擦への懸念、新興国経済全般の成長モメンタム鈍化などがあるが、最大の要因としては、原油の輸入価格上昇で経常赤字が拡大するインドを含む一部新興国通貨に対するリスク回避志向の高まりがある。また、国内要因では、2019年5月の下院総選挙を控えて、モディ政権が財政でバラマキ政策に出ることへの懸念も挙げられる。
インドでは、ここ数カ月、政府が資本流入促進策を打ち出す一方、インド準備銀行(中央銀行)はルピー安阻止に向けた積極的な市場介入を控えてきた。これに対する各方面からの反応は、称賛と批判が相半ばしている。
中央銀行の通貨政策について、一部の外為市場関係者は「公正な為替レート」の決定を市場に委ねているとして評価する。しかし、特に国内企業は、ルピー安により輸入代金と為替のヘッジ・コストが上昇し、さらに外貨資金を借り入れている場合には債務負担増となるため、強く反発している。
インドの原油の輸入依存度は約80%と高いため、原油価格の動向はインド経済を予測するうえで重要な要素となる。また、ルピーの対米ドル相場が下がると、燃料コストの上昇に拍車がかかり、インド経済全体に悪影響が及ぶ構造は変わっていない。
ルピー相場を取り巻く環境と政府の対応としては、インドの経済ファンダメンタルズは2013年以降改善している。インフレ率は過去5年間で大幅に低下、経常赤字と財政赤字は「バーナンキ・ショック(2013年5~6月のバーナンキ米FRB議長による量的緩和縮小発言に伴う世界的な金融市場の混乱)」時の水準を大きく下回る。また、インド経済は高額紙幣廃止(2016年11月)と物品サービス税(GST)導入(2017年7月)という2つのショックを経て、循環的回復局面にある。インフレ目標を設定する中央銀行への信頼も高まっている。さらに、インドの外貨準備高は通貨安定に必要な適正水準を十分にクリアしている。
しかし他方で、インドの国際収支は6四半期ぶりに赤字に転じ、赤字額は2012年以来最大となった。これは主として貿易赤字の増大、証券投資(主に債券、株式)の純流出増、短期貿易信用の急減によるものだ。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
原油相場は安いのか?高いのか?
トウシル / 2024年9月17日 7時30分
-
香港ハンセン指数は「インターネット関連銘柄」が牽引 ~アジア・マーケット動向の振り返り【解説:三井住友DSアセットマネジメント】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月9日 15時10分
-
金(ゴールド)市場の「局面」と「時代」
トウシル / 2024年9月3日 7時30分
-
日銀、年内の再利上げの可能性は低い―中国メディア
Record China / 2024年8月27日 7時0分
-
日経平均株価「史上最大の暴落」は「秋からはじまる株価上昇」の予兆!?…今後の日本株式に期待できるこれだけの根拠【経済の専門家が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月24日 9時15分
ランキング
-
1北京の日本大使館に半旗 中国・深圳の日本人男児死亡で弔意 駐中国大使が現地入り
産経ニュース / 2024年9月19日 13時53分
-
2中国・深圳で死亡の男児に哀悼の声、現場周辺は警戒態勢続く…SNSには反日感情あらわの投稿も
読売新聞 / 2024年9月19日 12時0分
-
3中国・深セン 襲われた日本人学校男児が死亡 現地の日本人社会にも衝撃広がる
日テレNEWS NNN / 2024年9月19日 12時9分
-
4レバノンのトランシーバー爆発 “ロゴ報道”の日本企業「偽物も多く流通した、10年前に販売終了の商品の可能性も」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年9月19日 15時55分
-
5インド製弾薬、欧州経由でウクライナへ ロシア抗議でも規制の兆しなし
ロイター / 2024年9月19日 16時24分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください