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インド市場を見る眼・パワーシフトの季節-HSBC投信

Global News Asia / 2018年12月29日 7時15分

インドのイメージ

 2018年12月27日、HSBC投信は、インド経済レポートを伝えた。

(レポート)インド市場では、12月のインド準備銀行(中央銀行)の総裁交代、与党インド人民党(BJP)の州議会選挙での敗北によって、先行きの不透明感が増している。

 中央銀行のウルジット・パテル総裁は12月10日、任期を9カ月残して、「個人的な理由」で突然辞任した。政府は翌11日、シャクティカンタ・ダス元財務次官を中央銀行新総裁に任命した。突然の交代劇は、中央銀行と政府の対立がメディアで大きく報じられる中で起きている。

 中央銀行新総裁が決まった12月11日に開票された5州の議会選挙では、モディ首相率いる国政与党インド人民党(BJP)は主要3州で最大野党・国民会議派(INC)に、残る2州では地元政党にそれぞれ敗北した。2019年5月までに行われる予定の総選挙を前にしてモディ政権に「警鐘」を鳴らす結果となった背景には、地方経済の困窮と若年層の雇用機会の不足があると言われている。全29州のうち、今回の選挙の結果、BJPが単独または連立で主導権を握る州は21州から16州に減った。

新中央銀行総裁

 ダス新総裁はこれまで経済政策と深く関わっており、政府との政策調整やステークホルダーとの意思疎通は改善すると予想される。しかし、政府官僚としてのキャリア(財務省のインサイダーと見られている)を考えると、中央銀行の独立性に関する投資家の不安がすぐに払拭される状況は期待できそうもない。それでも、インフレ目標政策の追求を政策使命とし、金融政策の決定は委員会方式で行うという中央銀行組織の枠組みが、基本的な政策の継続性を保証するものと考えられる。

 しかし、ダス新総裁が議長を務めることになる金融政策委員会(MPC)が全体としてタカ派色を薄める可能性はある。それは、ダス氏が「中立からややハト派的」と見られているからだ。MPCの残り5人のメンバーには変更がないが、タカ派色が薄いと見られる新総裁の就任で、MPCの金融政策が微妙に変わることはあり得る。委員会が可否同数の場合は総裁に決定権が与えられている。ちなみに、MPCは総裁交代以前の12月5日の会合でも既にタカ派色を薄め、政策金利を据え置いている。

 金利政策以外でも、中央銀行と政府の軋轢の原因となっている次の問題についての新総裁の出方が注目される。政府は、中央銀行の準備金を決める「経済資本枠組み(ECF)」の見直しと中央銀行の超過準備金の国庫納付、ノンバンク金融事業会社(NBFC)を対象とする具体的な資金供給オペレーション、銀行の自己資本基準の緩和、さらに銀行の経営破綻を未然に防ぐための早期是正措置(PCA)に基づく国営銀行(インドではPSB=public sector banksの頭文字=と呼ばれることが多い)の貸出基準の緩和、中小企業の債務再構築、を求めている。

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