インドの消費主導の成長が足踏みーHSBC投信
Global News Asia / 2019年5月10日 14時0分
2019年5月10日、HSBC投信の経済レポートによると、インドの消費主導の成長が足踏み状態だ。
(レポート)マインドの個人消費がここ数四半期にわたり低迷している。消費は過去数年間、順調な伸びが続いてきたが、ここにきて様々な産業の消費関連指標に鈍化傾向が見られる。このため、インドの消費主導の成長の持続性に疑問が生じている。
最近数カ月に発表された消費関連指標は、個人消費の減速を示している。例えば、3月の自動車販売台数は前年同月比8%減と落ち込んでおり、2018年10月から11月の祭り(ヒンズー教の新年を祝う「ディワリ」)の期間以降、販売不振が続いている。販売不振で在庫が増えたため、自動車各社は減産を余儀なくされている。耐久消費財市場全般でも過去数ヶ月、販売の鈍化が見られる。勢いに欠ける消費関連指標が相次いだため、株式市場では様々なセクターの消費関連銘柄への投資家心理も冷え込みがちである。
消費低迷の背景には、内外の複数の短期的要因がある。HSBC投信では、これら要因による影響が緩和すれば、消費需要が上向く可能性が高いと判断している。さらに、インドの場合、消費拡大につながる長期的な構造要因にも注目する必要がある。インドの消費市場では現在、「アンオーガナイズド・リテール」と呼ばれる小規模小売店が大きな比率を占める。しかしながら、今後は「オーガナイズド・リテール」と呼ばれるチェーン小売業者の比率が増えることが予想される。
インドの消費需要が鈍化した短期的な国内要因としては、2018年のノンバンク金融事業会社(NBFC)の信用不安問題が引き起こした流動性収縮の影響、2019年4月からの下院総選挙を前にした政治的不透明感、経済成長及び雇用の先行きへの不安を挙げることができる。海外要因としては、原油価格の2019年に入ってからの上昇が消費需要を抑制し、また消費関連セクターの株価を押し下げている。
インド準備銀行(中央銀行)は2019年度(2019年4月~2020年3月)の国内総生産(GDP)の成長率見通しを7.4%から7.2%に下方修正した。中央銀行の金融政策と最近の利下げは成長重視のスタンスを示している。
MSCIのインド一般消費財指数は年初来2.2%下落し、MSCIインド指数を9.4%下回った(4月24日現在)。予想PER(株価収益率)は19.6倍、自己資本利益率(ROE)は11%の水準にある。当社のインド株式戦略では一般消費財セクターをオーバーウェイトとしているが、銘柄選択は引き続き慎重に行っている。
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