2021年のインド経済見通し~回復あるのみ? 「HSBC投信レポート」
Global News Asia / 2021年1月7日 6時0分
2021年1月5日、HSBC投信は今年の経済見通しをレポートで伝えた。
【HSBC投信・経済レポート】
新型コロナウイルスの感染が拡大し、その社会および経済への影響が世界的に波及している。中でも、インドは最も深刻な打撃を受けている国の一つと言える。しかしながら、最近では、感染者数に減少傾向が見られ、また新型コロナワクチンへの楽観的見方が広がる中で、2021年のインド経済は、未曽有の景気低迷から力強く回復するとの期待感が高まっている。インドの今後の成長軌道はスムーズではないと見られるものの、その経済活動はポストコロナのニューノーマル(新常態)に対応するものへと移行していくだろう。
政府は2020年3月にロックダウン(全土封鎖)に踏み切ったものの新型コロナウイルスの感染拡大を防げなかった。コロナ禍による経済への打撃は、感染が2019年の緩慢な成長から抜け出せない中で発生したこと、また山積みする構造問題が重なったことなどから、増幅された。しかしながら、極めて厳しい時期が約6ヶ月続いた後に経済活動は改善に転じ、その傾向は2020年10-12月期も継続している。ただし、回復は不均衡な状態が続いており、鉱工業生産と財の消費が立ち直りを続ける一方、サービスの消費と投資は依然として低調である。一方、国内需要動向を反映する物品・サービス税(GST)による税収、輸入(石油・金を除く)は回復が続いている。また、コロナ禍でソーシャル・ディスタンスが習慣化したことから、デジタル決済・モバイル決済を選ぶ人の数が増えてきた。
2021年の見通し: ワクチンへの期待、不均衡な回復
当社は、インド経済が2021年には、主としてベース効果によって、大きく回復すると予想している。ただし、ロックダウンの解除直後に見られた経済活動の急激な持ち直し、その後の経済の本格的な再開、ロックダウン中に生じた繰り延べ需要の顕在化を考慮すると、今後の連続的な成長モメンタムはより穏やかなものとなると見ている。2021年上半期については、ワクチン接種が始まるとしても当初は限定的な規模にとどまることや、感染の再拡大の恐れや感染への懸念の継続によって、成長軌道に時折乱れが生じることが考えられる。しかし、インド経済の回復は、2020年に打ち出された緩和的な金融政策の遅行効果、世界的な景気回復(インドの輸出にプラス)、ワクチンの配布開始によって一定程度下支えされ続ける公算が高い。
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