【インド】テーパー・タントラムの再燃? しかし現在の状況は当時と異なるーHSBC投信
Global News Asia / 2021年4月14日 6時0分
2021年4月13日、HSBC投信は、インド経済レポートを伝えた。
(レポート)米国の大規模財政出動、景気回復楽観論、ワクチン接種の進展、インフレ期待の高まりを受けたこの数週間の米国債利回りの動きは、投資家に中期的な金利上昇と米国債イールドカーブのスティープ化への備えの必要性を喚起するという意味で、2013年のテーパー・タントラム(バーナンキ・ショック)の再燃を予感させる。
他方、インド政府が2月初めに発表した経済成長重視の2021年度(2021年4月-2022年3月)予算案が示す政府の大規模借入計画とそれに伴うインフレ懸念の高まりは、インド国債市場に重くのしかかっている。
2013年には、米連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和策の段階的縮小を示唆したために、新興国資産に対するリスクオフの動きと新興国からの資本流出が起こったが、このテーパー・タントラムの再燃が、投資家にとって2021年の懸念要因として浮上している。「フラジャイル・ファイブ(脆弱な5つの新興国)」(ブラジル、インド、インドネシア、南アフリカ、トルコ)の中に組み入れられたインドの資本市場、通貨も2013年5月から8月にかけて打撃を受けた。しかし、当社の見方では、現在の状況は当時と大きく異なり、国内外でいくつかの打撃を軽減する要因が働いていると思われる。
第1に、ハト派姿勢を明確に示すFRBは、インフレ目標に平均値を導入したが、市場とのコミュニケーションにおいては一層の基準値の調整を行うことが見込まれ、リスクセンチメントをうまくコントロールすると見られる。第2に、主要国中央銀行による金融緩和策の継続と予想される世界同時景気回復が緩衝材となる可能性がある。第3に、当社では、インド経済の耐性を下支えする海外のファンダメンタルズが、2013年当時と比べると今のほうがずっと強くなっている点に注目している。
インドの経常収支は、2020年度(2020年4月-2021年3月)には、新型コロナウイルスの感染拡大を背景とした輸入の急減と比較的好調な輸出(医薬品輸出の増加が輸出全体を押し上げ)を主因として、著しく改善し、わずかながら黒字に転換した。経常収支は2021年度には赤字に戻る見込みだが、赤字額の国内総生産(GDP)比は、2013年の4.8%と比べるとはるかに低い1%前後にとどまると予想される。
また、海外直接投資(FDI)については、2020年度にはコロナ禍に伴う投資計画の一時的な停止や世界的に直接投資フローの減少傾向が見られたにもかかわらず、インドへの対内投資が堅調に増えた点は注目される。当社では、政府による国内産業の競争力強化とインドのグローバル・サプライチェーンへの統合の推進が近年の対内直接投資の増加につながってきたとともに、今後も海外からの投資の増加により経常収支赤字が減少する可能性が高いと判断している。
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