【タイ】終戦の混乱で散った日本兵とタイ女性の悲恋、国境の村で育まれた日タイの友愛
Global News Asia / 2021年8月15日 6時0分
2021年8月15日、日本の終戦記念日も76回目を迎えた。先の戦時中に旧日本軍がタイで行った所業は、映画「戦争にかける橋」などや日本の教科書などでも、悪行として記されていることが多い。クウェー川鉄橋建設等における捕虜に対しての仕打ちは、事実ではあるもののそれが全てではない。事実、タイ北部ミャンマーと国境を接するメーホンソーン県クンユアムには、日本人とタイ人が育んだ友好と愛情の物語が残されている。
1995年にクンユアムの警察署長として赴任したチューチャイ・チョムタワット氏は、その在任当初から村の家々に残されていた旧日本軍兵士達の遺物を収集してまわり、旧日本具博物館を創設した。そして、その過程で旧日本軍にまつわるいくつもの話を村人から聞き出した。それらは「第二次世界大戦でのクンユアムの人々の日本の兵隊さんの思い出」としてまとめられ、日本語にも翻訳されホームページとしても公開されている。そして、その中には終戦による混乱の中で引き裂かれた日タイ夫婦の悲しい物語があった。
ドグブアトーンでの愛の物語
戦争で旧日本軍がクンユアムに進駐していた頃、ゲオさんはまだ17歳だった。ポータラン寺の市場で行商をしていた彼女は、そこでフクダという日本兵に出会う。フクダは寺近くに設営していたタナカ部隊の整備担当兵として進駐していた。ゲオさんを見染めたフクダは、彼女の家に足繁く通い、両親からも気に入られる存在となっていった。
しかし、終戦の知らせとイギリス軍による帰国命令のため、フクダは一旦は他の兵士達と共にチェンマイへと向かう。その途中、他の兵士と共に逃げ出して、ジャングルを抜けて村に戻ってきた。両親に認められたフクダは、サンペーというタイの名前をもらってゲオさんと結婚。二人の子供にも恵まれ、電気工事や金属加工など様々な仕事で村人からも愛され、時には役所からの仕事も受けるほどだった。
その生活もつかのまにしか続かず、昭和24年に国の役人が残留兵を調べに来た。村にはフクダも含め3人の残留兵がいて、3人とも象に乗せられてチェンマイへと護送されてしまった。途中、フクダは以前と同じように脱走を試みたが、足を撃たれて捕まってしまう。その後、バンコク近郊ノンタブリー県バンクワン刑務所に収監された。ゲオさんと父親、そして郡もフクダの釈放を何度も嘆願したが、結局それを聞き入れられることはなかった。そして、最後は病死した。
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