良好なパフォーマンスが際立つインド小型株<HSBC投信レポート>1
Global News Asia / 2021年9月2日 18時0分
2021年9月2日、HSBC投信はインド経済レポートを伝えた。
〔経済レポート〕
インド株式市場は2021年5月以降、新型コロナウイルスの新規感染者数の大幅減少と景気回復期待の高まりを背景に上昇を続けている。一方、国債市場は、インフレ率が高水準で推移する中、5月下旬から軟調な展開(利回りは上昇)となっている(8月31日現在)。
新型コロナウイルス感染症の渦中にあっても、世界の大半の株式市場は2020年3月以来右肩上がりを続けている。しかし、上昇の勢いの強さで現在のインド市場の右に出る市場はあまりないだろう。
米ドルベースで見ると、MSCIインド指数は昨年3月末比でほぼ2倍となり、MSCI新興国市場指数を約50%上回り、さらに米S&P500指数でさえもアウトパフォームしている。
また、インド株式の中で見ると、最近は小型株が大型株を大きくアウトパフォームしていることがわかる。インド株式を時価総額別に見ると、小型株は中型株を15%程度アウトパフォームしており、さらに中型株は大型株を同程度アウトパフォームしている(図表1)。
一部の市場関係者は、小型株人気の理由として株式市場に参加する個人投資家の増加を挙げている。確かに、インド・ナショナル証券取引所(NSE)がまとめた2020年度(2020年4月-2021年3月)の株式売買高の投資部門別比率では、個人投資家が前年度比6ポイント増の45%となっている。この数字は個人部門の過剰な楽観論を示唆しているのだろうか。
大型株に対するバリュエーションの改善
2020年3月のコロナショックによるパニック売りの後、インドの小型株は大型株に対して相当な勢いでアウトパフォーマンスを続けている。小型株ほどではないが、中型株も大型株に対して同様の傾向を維持している。
しかし、一部の市場関係者は、現在の株高の相当部分が個人投資家の買い支えによるものであり、いずれ市場の流れは逆転すると警戒感を持ち始めている。大型株と比較して小型株が実際に買われ過ぎたのであれば、そうした市場の逆転は起こり得るだろう。買われ過ぎの有無を把握するには、大型株に比べて小型株のバリュエーションが具体的にどこまで上昇しているかを知る必要がある。
そこで、当社では株価の推移を2020年から5年遡って調べてみた。その結果、2020年以前の小型株は大型株に対するPER(株価収益率)プレミアムに密接に沿って変動していたことがわかった(図表2)。つまり、2020年以前の小型株の価格は、ほとんどの場合、個人投資家が選ぶ上場企業の業績への期待と不安を反映して上下に動いてきたわけだ。
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