【タイ】マンション崩落でわかったバンコクの建築事情
Global News Asia / 2014年8月23日 12時28分
2014年8月11日、バンコク郊外で6階建てマンションが崩落。14名の作業員と関係者が死亡するという痛ましい事故が発生した。
タイの工事現場は、解体しているのか、建築しているのか、よくわからない状態の現場も多い。そんなバンコクでの不動産の実態はどうなっているのだろう。専門家に聞いてみた。
まず今回の報道でマンションと報じられているが、これは日本の基準に近い表現を選んだものということをおわかりいただきたい。タイでマンションというと、1人または1社が所有するタイプの建物を指す。これに対して、1つの建物でも部屋ごとにオーナーが違うのが、コンドミニアムと呼ばれている。日本向けの紹介では、このへんの説明をはしょって、マンションとされることが多い。
今回崩落した建物は、現実的にはアパートと言っていい。アパートも1人または1社が管理する物件。高級物件が多いコンドミニアムに比べて、タイ人向けに賃料が安い部屋から外国人向けの高級アパートまで幅広いのも特徴だ。
気になるタイの建築基準だが、2004年末のスマトラ沖地震など契機に何度か見直されてきている。しかし、首都バンコクではほとんど有感地震がないこともあり、日本とは比べものにならない。ちなみに、バンコクでは大きな有感地震は歴史上300年以上も起きていない。年に1〜2度、地方で起きた地震の影響で高層階が揺れる程度だ。
筆者の実感ではあるが、今回崩落したようなタイ人向けの物件とコンドミニアムなどでは、明らかに工事現場の雰囲気や作業員自体の質が違う。高層コンドミニアムの建築現場は、搬入口のガードマンから作業員の服装にいたるまで、自宅近くの安アパートの、仕事しているのか、遊んでいるかわからないような現場とは全く違っているし、柱の太さ、鉄筋の本数なども明らかに違っている。とはいえ、日本とは比べるべくもないのだが、それは地震がないという地理的条件に由来することだ。
話を聞いた専門家によると、バンコク都内、特に外国人向けの物件で今回のような規模の事故は、これまで起こっておらず、構造的な手抜き工事などによる崩落の危険は、まず考えられないという。そうした危険が潜むのは、やはり安い物件であり、月5000バーツ(約1万5000円)もしないような建物では、壁の亀裂など注意するべきだろう。
ただし、どれだけ高級をうたっていても、減らないのが、水回りや電気配線などのトラブル。入居時に確認できないところでの問題は、起こった際に、管理側、入居者、どちらが負担するのかを明確にしておく必要がある。このへんは、やはり言葉の通じる日系業者を通すことで対処もできるが、最終的にはやはり、経験値がものをいうようだ。
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