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不公平よ!夫急逝の悲劇に直面する「40代・子育て中のキャリア妻」…遺族年金「ゼロ円」の不条理に、涙

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月20日 5時15分

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幸せな家族に訪れる「夫が急逝」という突然の悲劇……残された遺族に対する公的な死亡保障としては「遺族年金」があります。しかし多くが共働きという時代にはそぐわないという指摘も。みていきましょう。

万が一のことが起きたら…「遺族年金だけでは不十分」は6割

当たり前の日常。誰もがずっと続いていくものだと考えているでしょう。しかし、人生、何が起きるか分かりません。

厚生労働省『令和4年 簡易生命表』によると、働き盛り、40歳の生存率は男性で98.40%、女性で98.95%。60歳の定年を迎えることになると、男性で93.20%、女性で96.04%。日常が続いていくことのほうが圧倒的多数なわけですから、万が一のことを想像できなくても当然かもしれません。

しかしたとえ確率的に低くても、万が一のことにはきちんと備えておきたいもの。生命保険文化センター『2022年度 生活保障に関する調査』によると、万が一のことが起きた際に、「遺族年金など公的な死亡保障で賄える」と思っている人は25.9%*1。それに対して「賄えると思わない」は64.6%*2と、公的保障だけでは足りないと危機感を持っている人が圧倒的に多いことが分かります。

*1:まったくそう思うと、まあそう思うの合計

*2:あまりそう思わない、まったくそう思わないの合計

公的保障だけでは足りないという不安に対して私的な準備をしているかの質問に対しては、73.1%が「準備をしている」、24.3%が「準備をしていない」。準備をしている人が圧倒的多数ではあるものの、不安を覚えつつも4人に1人は準備すらしていないというのが実情です。

遺族年金は国民年金に由来する遺族基礎年金と、厚生年金に由来する遺族厚生年金があります。大雑把にいうと、遺族基礎年金は子育て中の世帯への保障、遺族厚生年金は会社員、または会社員だった世帯への保障。ただし、受給においては色々な要件があるので、きちんと確認する必要があります。

実際にどれほどの保障額になるかというと、遺族基礎年金は年間「795,000円+子の加算額」。遺族厚生年金は「死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額」です。さらに要件に当てはまれば「中高齢寡婦加算」などが加算されます。

会社員の夫を亡くした子育て中の妻…もらえる遺族年金は想定「月17万円」だが

実際に公的な死亡保障である遺族年金をどれほど手にしているのでしょうか。厚生労働省『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、遺族基礎年金の受給者は9万人、月受給額は平均8万4,352円。遺族厚生年金受給者は577万人、月受給額は平均8万1,540円です。

元会社員を亡くした子育て中の妻であれば、遺族年金だけで平均月17万円ほど。さらに児童手当などの給付金も合わせたら月20万円を超えるでしょう。当面の生活費は公的保障だけで確保できる目論見です。

しかし子育て世帯だからといって、遺族年金が必ずもらえるとは限りません。同じく会社員の夫を亡くした、40代女性で子どもは2人。遺族基礎年金が月10.4万円、遺族厚生年金が平均額だとすると、合計月18.5万円を手にできるはず。

しかしこの女性は結婚や子育てによるキャリアの中断はなく、順調に昇進・昇給を遂げたキャリアウーマン。大卒女性のなかでも上位4%しかいない、年収850万円以上、所得所得で655万5,000円以上だとしましょう。この場合、遺族年金を受け取ることはできません。

遺族年金の受給対象の要件として「亡くなった人に生計を維持されていること」とありますが、そこには「前年の収入が850万円未満であること。または所得が655万5千円未満であること」という収入要件があります。大卒女性、上位4%のキャリアウーマンの場合はこの要件をクリアできず、遺族年金をもらうことはできないのです。

――高給取りなんだから、遺族年金なくても大丈夫だろ

そんな声も聞こえてきますが、ただでさえ夫を亡くすという悲劇に直面したうえ、遺族年金がもらえないという不条理にも直面……「そんなの不公平よ!」と涙したところで、制度である以上、どうしようもありません。

専業主婦世帯が少数派となり、共働き世帯が多数派となった現在。今後、男女間の給与差は縮まり、高給を獲得する女性も増えていくでしょう。遺族年金における収入要件は、少々時代にそぐわないものになっています。

[参考資料]

厚生労働省『令和4年 簡易生命表』

生命保険文化センター『2022年度 生活保障に関する調査』

厚生労働省『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』

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