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S&P500に投資する超シンプルな「▲5%ルール投資法」が「積み立て投資」との合わせ技で〈利益の最大化〉を狙える理由【投資アドバイザーが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月27日 10時15分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

投資を始める場合、どんな投資手法にするべきか迷うものです。下がったときにうまく購入できればいいですが、素人ではなかなかうまくいかないもの。かといって、積み立て投資は成果が出るまでにそれなりの時間がかかります。そこで本記事では『知識も時間もないですが、新NISAでほったらかし投資よりお金を増やしたいです』(KADOKAWA)から、著者の〈投資塾ゆう氏〉が、試行錯誤のうえでたどりついたという「▲5%ルール投資法」について詳しく解説します。

超シンプルな「▲5%ルール投資法」とは?

私が試行錯誤の末にたどりついた「▲5%ルール投資法」は、とてもシンプルなルールに従って投資する方法です。具体的には、株価指数の中で世界一重要なS&P500が週間ベース(前週の金曜日の終値から今週の金曜日の終値)で5%以上下落したら買う、ただそれだけです。それ以外の時には買いません。

1984年から2023年までの40年間、S&P500で▲5%ルール投資法を実行した場合の勝率と利益率について検証します。この期間でS&P500が前週から5%以上下落して、投資シグナルが点灯したタイミングは全部で39回ありました。このすべてについて、勝率を調べます。

シグナルが点灯した際に投資し、その4週間後(1か月後)、13週間後(3か月後)、26週間後(半年後)、52週間後(1年後)の4つのタイミングで、投資した価格よりも上昇していれば勝ち、下落していれば負けと判定することにします。

すると、図表1の結果となりました。いずれも勝率は50%を大幅に超えており、利益を出せる確率は高そうです。4週間後は61.5%と最も低く、13週間後には8割近くに達し、26週間後と52週間後はいずれも8割近い勝率となっていて差はなくなっています。

つまり、26週間までは持ち続けるほど勝率は上がるので、最低半年間は持ち続けるという前提で投資をすれば勝率をほぼ最大化できることになります。13週間後以降は、勝率が75%超となり、4回投資をすれば3回は利益を出せることになります。

3つのパターンで比較すると…

ただし、▲5%ルール投資法は単独ではなく、シンプルな積み立て投資と並行して行うことで、よりパワーを発揮します。そこで、「積み立て投資のみ」「積み立て投資と▲5%ルール投資法を併用」、そして「▲5%ルール投資法のみ」の3通りのパフォーマンスを比較してみます。

積み立て投資は毎月の第一営業日に投資し、▲5%ルール投資法はシグナル点灯を確認した週末に注文を出して、火曜に成立(約定)するという前提です。海外の市場に投資する投資信託の場合、営業日の15時までに出された注文が翌営業日に約定するしくみなので、週末の注文は月曜の注文と同じ扱いになり、火曜に約定するわけです。

投資期間は、「eMAXIS Slim 米国株式」(S&P500)が新規設定された2018年7月から2023年12月まで、5年6か月です。シンプルな積み立て投資だけをしていた場合は毎月3万円ずつ、その月の最初の営業日に積み立て投資を行います。

3つのパターンの成果をまとめると、図表2のようにになりました。

積み立て投資との合わせ技がよい理由

効率だけで判断すれば、▲5%ルール投資法だけを行うのが最もパフォーマンスが良いので、積み立て投資はせずにこれだけに資金を集中して投資すればいいと思われるかもしれません。確かにそれも正解のひとつで、積み立て投資が性に合わないという人であればそれでもOKです。

ただ、ここで注目してほしいのは、獲得できた利益の額です。得られた利益額を比較すると、積み立て投資と▲5%ルール投資法を併用したパターンが最も大きくなっています。これは単純に、投資機会が多いため、投資する額が最も多いというのが理由です。当たり前じゃないかと思うでしょうが、ここが大きなポイントです。

▲5%ルール投資法だけだと、投資チャンスは限定されます。シグナルの点灯は平均すれば年1回程度ではありますが、一度もない年もあり、投資をしたくてうずうずしているのに機会がまったくやってこないということはよくあります。現に、2023年はこうした相場でした。

こういう時は「どこかで買っていれば儲かったのに」と、悔しい思いをすることになります。それだけならまだいいのですが、悔しさのあまりチャンスを待ちきれず、適切ではないタイミングで、無駄な投資をしてしまうことになりかねません。

それでも積み立て投資を実行している人なら、上昇相場の恩恵は十分受けて資産を増やせています。悔しい思いをすることや無駄な投資をする心配もなく、心穏やかでいられるのです。

2つを組み合わせることでデメリットをカバーできる

要するに、積み立て投資と▲5%ルール投資法を併用すると、上昇相場では積み立て投資で着実に投資を積み重ねて資産を増やし、下落相場のチャンスでは積み立て投資と▲5%ルール投資法の両方でたっぷり資金を投下して、回復した時の利益を大きくするという、どんな相場にも対応できる投資ができるわけです。

逆に、短い間に何度もシグナルが点灯し、投資チャンスが集中することもあります。たとえば、コロナショックがあった2020年には立て続けに3回点灯しており、3回目が大底となっています(図表3)。

いずれの点灯分も半年もすれば大きな利益に育ったわけですが、短期的にはそうも言えません。その渦中では▲5%ルール投資法のシグナルが2回点灯して、投資した分が多額の含み損を抱えてしまった状態で3回目のシグナルが点灯し、追加投資を迫られるという事態になっているからです。

こういうケースでは、かなり強靭なメンタルがないと3回目の投資に踏み切れません。またメンタル的には耐えられても、年に3回も一括投資をする資金がそもそも用意できないこともあるでしょう。

▲5%ルール投資法にシグナルが点灯する局面は、市場が大暴落に見舞われてパニック状態になっています。平時では想像できないでしょうが、投資チャンスとなる暴落を待ちわびていた投資家であっても実際にその渦中にいると、このまま永遠に下がり続けるような気がして怖くて買えなくなります。

積み立て投資に回す分を全部現金として持っておいて、▲5%ルール投資法のシグナルが点灯した時にガツンと投じることができれば効率は良いのですが、実際はとても難しいものなのです。どんなに多くの資金を用意して待っていても、投資できなければまったく意味がありません。

こうしたことを考え合わせると、▲5%ルール投資法を単独で実行した場合、上昇相場を取り逃がす機会損失が多くなり、さらに、すべてのシグナル点灯時に投資できるかどうかが怪しいため、より投資機会が限定されてしまうというデメリットがあります。

いずれのデメリットも、積み立て投資を並行することである程度カバーできます。積み立て投資は上昇相場でも投資を続けてくれますし、万が一、▲5%ルールのシグナル点灯時で買えないタイミングがあったとしても、毎月の積み立てでそれに近いタイミングの投資はできることになるからです。

やはり▲5%ルール投資法は、積み立て投資と併用することでそのデメリットをカバーし、最終的に得られる利益の額も大きくできると判断できます。時間や手間がほとんどかからないのに、積み立て投資にプラスアルファした利益が期待できる、非常にすぐれた投資方法なのです。

投資塾ゆう

投資アドバイザー

※本記事は『知識も時間もないですが、新NISAでほったらかし投資よりお金を増やしたいです』(KADOKAWA)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。また、投資による結果に編集部は一切責任を負いません。投資に関する決定は、自らの判断と責任により行っていただきますようお願いいたします。

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