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「まずは休みを確保してから働く」ドイツと正反対…疲れ切った状態で長期休暇に突入する〈日本人の休み方〉の問題点は?【医学博士が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月14日 11時15分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

日本人は「仕事」に休みを合わせてしまいがちです。医学博士で日本リカバリー協会代表理事でもある片野秀樹氏は、そうした“無計画”な休み方に疑問を呈しています。ドイツを例に、どのような休み方があるのか見てみましょう。片野氏の著書『休養学: あなたを疲れから救う』から一部抜粋して紹介します。

仕事が一段落しなくても、まず休む

あなたは日ごろ、休養を予定に入れてスケジュールを組んでいますか?

つい仕事を優先してしまい、余った時間で休息をとる、というスタイルになっていないでしょうか。

日本の多くの会社は3月末が年度末で、4月から新しい年度がスタートしますが、私が住んでいたドイツでは12月末日で1年が終わり、1月1日から次の年度がスタートします。

新年のはじめにまず何をするか。実は、それぞれのメンバーがその年に長期休暇をいつとるかをみんなで話し合うのです。

「あなたはいつとる?」

「私はここでとる」

カレンダーに休みを書き込むことから1年の仕事が始まります。つまり先に休みを確保しておくわけです。そして、休みが来たら何をおいても休みます。一方、日本人は、

「仕事が落ち着いたら休もう」

「ヒマになったら休みをとろう」

「区切りがいいところまでやってしまおう」

というように、仕事に休みを合わせ、疲れ切った状態で長期休暇に突入することが多いように思います。これではいかにも無計画です。

「休んだときはお互いさま」の精神で

ドイツでは、「連邦休暇法」という法律があり、従業員に年間24日以上の休暇を与えないと雇用者が罰せられてしまいます。

聞いた話によれば、このようになったのは宗教上の理由もあるようです。

キリスト教の考えでは、働くことは美徳ではなく「罰」。「苦役としてやらされている」という発想ですから、一緒に働いていても、「早く帰りたい、会社には可能なかぎりいたくない」という人ばかりでした。

日本人の感覚からすると、「そんなに帰りたくてソワソワしていたら、仕事に身が入らないのでは?」と思ってしまいますが、実際は逆です。

限られた時間内に、いかに集中して効率よく仕事をするか、休みをとるために、がんばって仕事を片づけよう……と知恵をしぼります。

だから生産性が高いのです。

その点、日本人は長時間、文句をいわずに働くので「働き者」だというイメージがありますが、実際は1時間あたりの生産性が上がりません。非効率な仕事をしているときもあるような気がします。

ドイツの人たちは、休みの前になると、

「私は週末、ここに行ってこういうふうに過ごすんだ」

とうれしそうに語るし、休み明けには本当に元気でリフレッシュしていて、

「こんなふうに楽しく遊んだよ」

という話で盛り上がります。

もちろん、誰かが長期休暇をとると仕事に穴があきます。ただ、取引先も「担当者が休みだったら仕方がない、じゃあ待つか」とあきらめてくれます。

つまり「休んだときはお互いさまだから」と社会が容認しているのです。

もちろん医療機関など一分一秒を争うような緊急の問題は別ですが、ちょっとした問い合わせ程度なら、回答が数週間後になってもそれほど大きな問題ではないことが多いのではないでしょうか。

片野秀樹

日本リカバリー協会代表理事

博士(医学)

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