金融危機には必ず前触れがある?…リーマンショックから学ぶ「暴落の予兆」と「対処するための猶予期間」【資産10億円達成の個人投資家が助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月27日 11時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
株式投資を長く続けていると、必ず株価が暴落する場面に出くわします。暴落に直面すると、多くの人はその時点で株式投資が嫌になります。しかし、大暴落の直前には必ず「前触れ」があるといいます。本記事では、DAIBOUCHOU氏による著書『バリュー投資の億り人が教える 新NISA「成長投資枠」で1億円:10日で学ぶ10年10倍株の探し方』(東洋経済新報社)より一部抜粋・編集して、2008年に起こったリーマンショックの前触れについて解説します。
金融危機には必ず「前触れ」がある
金融危機の際には株式の投資比率を下げる必要がありますが、その際には30%をキャッシュにするのが目安です(前回記事参照)。しかし、恐らく「どのタイミングでそうすれば良いのかわからない」と思った方もいらっしゃるでしょう。どうしたら金融危機がすぐそこにまで来ていることを察知できるのでしょうか。
もうこれも私の経験知ですが、金融危機はある日、突然、来るようなものではありません。必ず前触れがあります。
たとえばリーマンショックの前触れは、米国におけるサブプライムローン問題でした。サブプライムローンは、信用力の低い人たちでも借り入れることのできる住宅ローンのことで、当時、これを借りて家を購入した人が大勢いたのですが、2007年の夏くらいから住宅価格が下落し始めたことによって、多くのサブプライムローンが不良債権化したのです。
しかも、それを証券化したものが大量に出回り、多くの金融機関、投資銀行などが投資先として大量に購入していました。2008年に生じたリーマンショックは、このサブプライムローン問題の影響で、同年9月15日に投資銀行であるリーマン・ブラザーズが経営破綻し、連鎖的に世界金融危機へと拡散していきました。
リーマンショックが起きたのが2008年9月15日ですが、日経平均株価は同年6月6日に、直前高値の1万4,489円をつけた後、暴落しました。が、実は2007年のサブプライムローン問題が顕在化した時から、日経平均株価はジリジリと値を下げていました。
2007年7月10日の日経平均株価は1万8,252円でしたが、8月22日には1万5,900円まで下落。10月15日に1万7,358円まで回復したところから、再び徐々に値を下げて、2008年以降、1万4,000円台、1万3,000円台、1万2,000円台というように1,000円単位で切り下げていきました。そして10月くらいから、リーマンショックと言われる世界金融危機に伴う株価の暴落が始まっています。
こうした流れを見ると、2009年3月10日に7,055円まで下落する前に、何度かこの難を逃れられるチャンスがあったことに気付くでしょう。
実際に株価が急落するまでの猶予期間に現金化を考える
もちろん、逃れられるか、逃れられないかは、ひとえにリーマンショックの前触れとなったサブプライムローン問題が深刻化する過程で、投資家自身が事の重大さに気付くことができるかどうかにかかってきますし、お恥ずかしい話ですが、私自身もそのことに気付くことができず、大きな損を被る結果になりました。
しかし今、冷静に当時のことを振り返ってみると、株価暴落の難を逃れるチャンスは、幾度となくあったのです。
とにかく、どこかの金融機関が潰れたというニュースが飛び込んできたら、株式のポジションを徐々に下げていきます。
ちなみにリーマンショックの時も、2008年9月にリーマン・ブラザーズが倒産する前に、金融機関のなかに経営不安に陥るところが散見されました。
2007年8月にはフランスの銀行BNPパリバが、傘下のファンドについて新規募集と解約を凍結し「パリバショック」などと言われていましたし、2008年3月にはJPモルガンが、やはりサブプライムローン問題で経営が急速に悪化したベア・スターンズを救済合併しています。
こうした事象が出てきたら、少しずつ保有している株式を売却して、30%のキャッシュを確保するようにします。
また直近では、2023年3月のシリコンバレー銀行とクレディスイスの経営破綻が記憶に新しいところですが、シリコンバレー銀行は米連邦預金保険公社の傘下になり、クレディスイスはUBSが救済合併しました。そのため、両行ともその経営破綻は大事に至ることなく、事態は収拾へと向かいました。
もちろん、自体が収拾するかどうかは、シリコンバレー銀行やクレディスイスが破綻した時点では正直、よくわからないのですが、リーマンショックの時がそうだったように、破綻という事実が顕在化してから、実際に株価が急落するまでには、短くとも1週間程度の時間的猶予はあると思います。
その間に、今回の金融機関の破綻が世界的な金融システム不安につながるのかどうかという点を熟考したうえで、ポジションを3割減らすかどうかを検討するのが肝心です。
専業投資家インフルエンサー
DAIBOUCHOU
※本記事は『バリュー投資の億り人が教える 新NISA「成長投資枠」で1億円: 10日で学ぶ10年10倍株の探し方』(東洋経済新報社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。記載内容は当時のものであり、また、投資の結果等に編集部は一切の責任を負いません。
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