フルリモート勤務になった夫が15分に一度、仕事部屋から出てきて…結婚20年、40代主婦が“離婚”を考えた衝撃の理由
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月20日 9時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
熟年離婚が増えるなか、近年、離婚相談は「不倫・問題行動」に由来する内容よりも、「モラルハラスメント(モラハラ)」や「価値観の相違」によるものが増加しているようです。一体なぜでしょうか? 本記事では、離婚カウンセラーである岡野あつこ氏の著書『なぜ「妻の一言」はカチンとくるのか?夫婦関係を改善する「伝え方」教室』(講談社)より一部を抜粋・再編集し、具体的な事例とともに熟年離婚の原因について解説します。
「15分に一度ジュースを飲みに来る夫」が許せない
さて、突然ですが、まずみなさんにちょっとしたクイズを出したいと思います。次にあげるのは、私が実際に離婚相談を受けた事例です。「夫のちょっとした行動が許せない」という相談ですが、妻のほうではこれを理由に離婚を考えているとのことでした。この夫婦はどうすればよかったでしょうか。みなさんも少しだけ考えてみてください。
相談者は40代の女性、パートで働いている主婦で、40代の夫と10代の娘との三人暮らし。結婚したのは約20年前とのこと。ちなみに、この「結婚して20年」というタイミングは、実は夫婦関係が危機を迎えやすいタイミングです。子育てが一段落すると、夫婦関係のほころびに目がいきやすいのです。
そんな難しい時期に、コロナが流行しました。「ソーシャルディスタンス」が叫ばれ、外出自粛が求められ、リモートワークやリモート授業が普及しました。夫の会社でもリモートワークが導入され、家で仕事をすることになりました。夫には自分の部屋があるので、日中は自室にこもり、仕事をしていました。一方、相談者である妻は日中は家事をしていて、だいたいリビングかキッチンにいます。
妻が家事をしている間、夫は自分の部屋からしょっちゅう出てきて、リビングでダラダラしたり、キッチンに来てジュースやお菓子を取っていくそうです。それも、たまに休憩に来るという程度ではなく、一五分に一度と、かなりの頻度だそうです。しかも、夫はキッチンやリビングにやって来るたびに、「もうこんな仕事は辞めたい」とか「うちの会社なんて潰れてしまえばいいのに」など、ネガティブなことを言ってくる。
相談者はそんな夫の行動が嫌でたまらないと言います。夫は友達が少なく、これといって趣味もないので、土日もずっと家にいます。相談者はパートをしていますが、夫が家にいると心が休まらないので、パート以外の日もなるべく家を空けているそうです。
「15分おきに夫がジュースを飲みに来るのが耐えられない」
それだけを聞くと、「そんなことで?」と思ってしまうかもしれません。でも、相談者の女性は真剣そのもの。「この先の人生を考えると、耐えられないほどの恐怖を感じる」とまで訴えます。
女性は、こうした自分の気持ちを書き留めるつもりでLINEで自分宛に送っていたのですが、不運にも、それを夫に見られてしまいました。夫はショックを受け、「もう気持ちがないことは薄々気づいていた。もういいよ。離婚しよう」と言ってきたそうです。
「たかがジュース」のはずが、離婚話にまでなってしまい、さすがにショックを受けた妻は、私のところに相談に訪れたのです。さて、みなさんならこの夫婦にどうアドバイスしますか?
不倫・DVの代わりに増えた「モラハラ」
いま、熟年離婚がますます増加しています。熟年離婚とは20年以上同居した夫婦が離婚することですが、2022年にはその年に離婚した夫婦の約23.5パーセントと、戦後すぐの1947年に統計を開始してから、過去最高となってしまいました。離婚した夫婦のうち、四組に一組が熟年離婚というほどです。
私はこれまで約4万件の離婚相談を受けてきました。離婚相談というと、「夫が外に愛人をつくって家にお金を入れないから離婚したい」といったケースをイメージされる方が多いかもしれません。たしかに、かつての離婚相談はそういった「不貞行為や金銭トラブルなど、夫もしくは妻が問題行動を取っている」ケースが大半でした。
しかし、最近そういう「夫の不倫・問題行動」に由来する相談は減っています。代わりに増えているのが「モラルハラスメント(モラハラ)」、および「価値観の相違」の相談です。
「モラハラ」とは一言で言うと「道徳・倫理に反する嫌がらせ行為」です。たとえば専業主婦の妻に対して「家事のやり方がおかしい」と難癖をつけ、「だからお前は人としてダメなんだ」といった人格攻撃を繰り返す、などの行為が「モラハラ」とされます。こうした「モラハラ」は三船美佳さんと高橋ジョージさんの離婚騒動がきっかけとなり、日本でも広く知られるようになりました。
家族に暴力を振るう「ドメスティック・バイオレンス(DV)」に対して、暴力を振るうことはないが、相手の人格を否定したり、侮辱したりして精神的に傷を負わせる点に特徴があります。DVの問題点について広く認知されるようになり、逮捕のリスクや裁判を恐れて、身体的暴力を自制する人が増えました。代わりにパートナーへの怒りを、言葉や態度で表明する人が増えた結果、「モラハラ」が急増しています。
経験上、「モラハラ」をするのは男性のほうが多いようですが、彼ら「モラハラ夫」は、「妻が間違ったことを言っている・やっている。自分は間違いを指摘しているだけだ」とよく言うものです。このように、一見「これは暴力・ハラスメントではない」という言い訳が成り立つのが「モラハラ」の特徴であり、厄介なところです。「モラハラ」を受けている側が、ずっと批判されているうちに、「本当に自分が悪いのかもしれない」と、「洗脳」されることもあります。
ただ、先述の通り「モラハラ」の概念が広まったことで、「あれ?これってモラハラかもしれない」と気づき、相談に来る人が増えているのです。
岡野あつこ
株式会社カラットクラブ
代表取締役社長
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