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「生前贈与」で住宅を購入も…贈与税はどうなる?税負担を抑える〈4つの非課税制度〉

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月25日 7時15分

「生前贈与」で住宅を購入も…贈与税はどうなる?税負担を抑える〈4つの非課税制度〉

(※写真はイメージです/PIXTA)

親からの資金援助で夢のマイホームを手に入れる予定だけれど、贈与税が心配……。じつは、一定の条件を満たせば、贈与税が非課税となる制度があります。住宅取得は人生の一大イベントですが、この税制優遇を正しく理解することで、金銭的な負担を大幅に軽減することが可能です。本記事では、生前贈与を活用して住宅資金を受け取る際に適用される「非課税制度」について、わかりやすく解説します。

生前贈与で住宅を取得する際に活用できる「非課税制度」は?

生前贈与で住宅を取得する際に、贈与税が非課税となる制度について、以下の4つの制度を要件や注意点などもふまえて解説します。

住宅資金贈与の特例

住宅資金贈与の特例として、住宅を取得するために親などから資金の贈与を受ける場合、贈与税が非課税となる制度があります。

こちらについては次節で詳しく紹介します。

暦年贈与

暦年贈与は、親などからその年(暦年)に、110万円までの範囲内で資金の贈与を受けた場合、その金額の範囲内は贈与税が非課税となる制度です。

これは贈与税の基礎控除額が110万円となっているため、基礎控除額を利用した贈与となります。

暦年贈与の注意点

①贈与契約書を作成しておく

税務調査が入った際に、贈与を行った事実を証拠として残しておくために贈与契約書が必要です。

贈与契約書には「贈与者」「受贈者」「日付」「金額」などの記載項目があります。

②相続開始前3年以内の贈与については相続財産となる

相続開始前3年以内に行った贈与は相続財産とされてしまうので、贈与税ではなく相続税に持ち戻されてしまいます。

そのため、生前贈与を考えている場合には、早めに対策をする必要があります。

贈与税の配偶者控除

配偶者控除(以下「おしどり贈与」という)とは、下記の要件にてその年の贈与税が、贈与された財産の課税価格から2,000万円までは贈与税が非課税とされる制度になります。

おしどり贈与の要件

おしどり贈与の要件は下記のような内容になります。

・贈与時に婚姻期間が20年以上であること

・配偶者から贈与された財産が、自分で居住する不動産であるまたは、自分が居住するための不動産を購入するための資金であること

・贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与を受けた不動産または贈与された資金で購入した居住用不動産に居住し、その後も引き続き居住する見込みであること

おしどり贈与の注意点

注意点として、同一の配偶者から受けた財産が、すでにおしどり贈与を受けている場合には適用されない点が挙げられます。

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、生前の贈与について、贈与時に贈与財産に対する贈与税を支払い、その後の相続時にその贈与財産と相続財産とを合計して計算した相続税から、すでに支払った贈与税額を控除することで贈与税・相続税を通じた納税を実施する制度です。

相続時精算課税制度の要件

相続時精算課税制度の適用要件は、贈与者が60歳以上の親や祖父母であり、受贈者は18歳以上の推定相続人または孫になります。

受贈者は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に相続時精算課税制度選択届出書を納税地の所轄税務署長へ提出する必要があります。

相続時精算課税制度の注意点

相続時精算課税制度選択届出書を提出すると、相続時精算課税制度を取りやめることができないため注意が必要です。

住宅購入資金を援助してもらった場合に活用できる「非課税制度」は?

子が親から住宅購入のための資金を援助してもらった際の贈与税の非課税制度に、冒頭にも触れた「住宅資金贈与の特例」があります。

住宅資金贈与の特例とは

令和6年1月1日から令和8年12月31日までの間に、親や祖父母などの直系尊属から住宅を購入するための資金の贈与を受けた場合には、一定の金額までであれば贈与税が非課税となる制度です。

住宅資金贈与の要件

この非課税制度の適用を受けるための要件として、人に関するものと住宅に関するものがあります。

人に関するものとしては、贈与者は直系尊属または贈与の年の1月1日の時点で60歳未満の者であり、受贈者は18歳以上の直系卑属であることが適用要件です。ただし、受贈者が贈与を受けた年の所得金額が2,000万円を超えている場合には、この非課税制度を適用することはできません。

住宅に関するものとしては、床面積が50m2以上(贈与を受けた年の所得金額が1,000万円以下の場合には40m2以上)240m2以下の住宅であることが適用要件です。なお、その住宅が新築でない場合には、その取得日以前20年以内(耐火建築物である場合には25年以内)に建築された住宅または、新耐震基準を満たす住宅に限定されています。

上記の要件のほか、贈与された年の翌年3月15日までに贈与によって取得した資金で住宅を新築し、かつ、居住するために利用する必要があります。

さらに、この非課税制度は、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、この規定の適用を受ける旨を贈与税の申告書に記載し、住宅取得等資金の非課税の計算明細書の書類等を添付する必要があります。

住宅取得資金贈与の特例の利用方法は?

住宅取得資金贈与の特例は、贈与税申告書にいくつか必要書類を添付しなければ、適用を受けることができません。

一般的に必要となる書類は下記の通りです。

資金援助を受ける側の書類

・贈与者と受贈者の関係がわかる戸籍謄本など

・受贈者の合計所得金額がわかる源泉徴収票など

・令和6年3月15日までに、対象住宅に居住していない人は、直ちに居住のために利用することができない事情などが記載された書類

取得する住宅に関する書類

・取得や増築した家屋、敷地の登記事項証明書

・取得、新築した際の売買契約書や建築請負契約書の写し

・住宅性能証明書、増改築工事証明書など

手続きの際にかかる費用

・登録免許

登録免許税の税率は、取得した不動産の固定資産税評価額の2%です。

・不動産取得税

不動産取得税とは、不動産を取得した者に対して課される税金です。

贈与によって親から不動産を取得した受贈者は、不動産取得税を納める必要があります。なお、不動産取得税の税率は、固定資産税評価額の3%です。

・税理士や司法書士などの専門家に対する報酬

住宅取得資金贈与の特例を受けるにあたり、不動産所有権の移転登記や、贈与税の申告書作成などの手続きが発生するため、司法書士や税理士へも報酬を支払う必要があります。

専門家に対する報酬は、専門家によって幅があるものの、それぞれ10万円程度になります。

住宅取得資金贈与の特例が適用される際の“注意点”

住宅取得資金贈与の特例を適用するためには、住宅取得等資金の贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与税の申告書を提出する必要があります。

この特例を受けるにあたってのいくつかの注意点について解説していきます。

土地のみの購入は、この特例の適用を受けることができない

この特例は、居住することを目的に、贈与により取得した資金で住宅を購入することが要件となっています。土地のみの購入の場合には、この特例の適用を受けることができないので注意が必要です。

住宅取得資金贈与の特例は、相続時精算課税制度との併用が可能

相続時精算課税制度とは、上述したように、贈与時において支払った贈与税を、その後相続が発生した際に、相続税からすでに支払った贈与税を控除するものです。

相続時精算課税制度と住宅取得資金贈与の特例を併用した場合、2023年12月31日までの贈与であれば、住宅取得資金の非課税枠+2,500万円までの贈与税が非課税となります。

住宅取得資金贈与の特例の適用を受ける場合、小規模宅地等の特例の適用を受けることができない

小規模宅地等の特例とは、被相続人の事業用宅地や居住用宅地に関し、一定の面積を限度として、相続税を計算するための評価額の80%または50%を減額できる特例です。

小規模宅地等の特例は、住宅取得資金贈与の特例の適用を受けるための要件である「住宅の購入」の場合には適用を受けることができないので、注意が必要です。

住宅資金贈与を現金で行ったらどうなる?……無申告の贈与は罰則も

親子間での現金の贈与は、税務署にはバレないのではないかと思う人もいるかもしれません。しかし、親子間で資金贈与した場合、不動産の所有者を親から子へ移すには法務局で登記手続きを行い、新しい登記簿謄本を作成します。

法務局では登記があった際に税務署へ報告する決まりとなっており、その報告を税務署が受けて贈与があったかどうかを調査します。

つまり、この調査で贈与税の申告をしたかどうかを税務署は把握できる仕組みとなっています。

調査時に贈与税を申告していないことが発覚した場合には、下記のようなペナルティを受けることになります。

・延滞税

・無申告加算税

・重加算税

延滞税とは、納税が遅れたことにより課される税金、無申告加算税とは、申告期限までに申告書を提出しなかった場合に課される税金、重加算税とは、仮想隠蔽など意図的に無申告や過少申告をした場合に課される税金です。

このようなペナルティを避けるためにも、贈与税の申告は必ず実施しましょう。

親の支援で住宅を購入するか、親の家を相続するか、困ったら

親の支援で住宅を購入すべきか、親の家を相続によって譲り受けるかといった場合、前者では住宅取得資金贈与の特例を、後者では小規模宅地等の特例を適用できます。

どちらが有利になるかは、住宅の種類や大きさ、受贈者の年齢や所得など、様々なケースによって異なります。このような状況になった際には、一度税理士に相談することをおすすめします。

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