奨学金なんて借りなきゃよかった…手取り28万円「後悔しています。」30代サラリーマン家族の悲鳴
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月27日 5時15分
※写真はイメージです/PIXTA
少子化が進む一方で、大学への進学率は過去最高の記録を更新。これからは大学全入時代といわれています。しかし大学に進学するにはタダとはいきません。経済的に苦しいのであれば奨学金を利用して、という考えもありますが、そこまでして大学に行く必要があるのでしょうか。
親が「大学には行くべき」と子を諭す理由
文部科学省の『学校基本調査(確定値)』によると、2023年度の大学進学率は57.7%に達し、過去最高を記録しました。短期大学や専門学校を含む高等教育機関全体の進学率は84.0%に上ります。
高校の同級生の約80%が進学し、半数以上が大学に進む現状では、特に明確な目標がなくても「とりあえず大学に行こう」という考え方が広がっています。親たちも「無駄な苦労は避けた方がいい」と考え、子どもに大学進学を勧めることが多いでしょう。
厚生労働省の『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、高卒の男性正社員(平均年齢44.6歳)の平均給与は月収が31万6,300円、518万8,200円です。一方で、大卒(平均年齢42.6歳)の平均給与は月収で40万8,400円、年収で673万6,500円。学卒時から60歳定年まで働いたとしたら、トータル年収は高卒で4年のアドバンテージがあっても4,000万円ほどの差が生じます。
この4,000万円という金額で何ができるでしょうか。「老後資金2,000万円不足問題」とよく耳にしましたが、そのインパクトから「老後を見据えた老後資金は目標2,000万円」と掲げる人が多いなか、学歴による給与格差は老後にも大きな影響を与えることは明確です。
しかし、高額な学費がその障壁となります。文部科学省の『令和5年度私立大学等の令和元年度入学者に係る学生納付金等調査』によると、私立大学の初年度納付金は文系で平均119万4,841円、理系で153万0,451円です。4年間で考えると、私立大学文系は約410万円、理系は約541万円の費用がかかります。
一方で、親の給与はというと、物価高の上昇幅を上回ることができず、実質給与減。住宅ローンの支払いもあり、自分たちの老後資金も考えなければならない……そのなかで何百万円もの学費が加わるのは大きな負担です。
奨学金を借りてまで大学に進学する必要はあるのか?
そのため、「奨学金を申し込んでほしい」と親から頼まれることもあるでしょう。独立行政法人日本学生支援機構の『令和4年度学生生活調査』によると、大学学部(昼間部)の55.0%が奨学金を受給。39.3%が「(奨学金は)必要ない」と回答しています*。半数以上の学生が奨学金を頼りに進学しているという状況です。
*申請したが不採用:2.4%、希望するが申請しなかった:3.3%
奨学金には、返済不要の「給付型」、無利息の「貸与型第一種」、利息のつく「貸与型第二種」の3種類があります。日本学生支援機構の奨学金はよく知られていますが、大学や専門学校、民間団体、地方自治体などが独自に実施している奨学金も多く存在します。
奨学金の借入総額の平均は約300万円、月々の返済額は約1万7,000円、返済期間は15年から20年といわれています。ストレートで大学を卒業しても、40歳前後でやっと返済が終わる計算です。
総務省の『家計調査 2023年平均』によると、世帯主34歳以下世帯(世帯人数3.27人)における世帯主(男)の月収は全国平均36万4,603円、手取りは約28万円。地域によってバラつきの大きな住居費を除いた消費支出は23.1万円と、手取りとの差は5万円です。
都内在住の30代サラリーマン世帯だとしましょう。残り5万円で家族3人が住む賃貸物件を探すことは、到底無理であることは明らか。その分、節約を頑張らないと平均的な生活はできないということになります。このような厳しい家計のなか、さらに月1.7万円の奨学金返済。親の利用した奨学金によって、家族はさらなる節約を強いられる……何ともやり切れません。奨学金返済の負担から、結婚や出産を躊躇する人も多いといわれていますが、不思議なことではないのです。
「奨学金 返済」と検索すると、「きつい」や「後悔」といったキーワードが出てくるように、長期にわたる返済は想像以上に厳しいものです。カネとホンネ調査研究所が20~39歳で会社員の男女に対して行った調査によると、奨学金を利用した22.5%が「返済のため生活が厳しい」、20.9%が「これから先の返済が不安」、20.5%が「自分の子どもには奨学金を借りさせたくない」と回答しています。
「学歴は関係ない」といわれつつも、実際には学歴が重視される日本社会。大学全入時代といわれるように、ますます大学進学が当たり前になっています。そのなかで、奨学金を利用して大学に進学させることが本当に幸せなのか、子どもに後悔させないためにも、親としてしっかり考える必要があります。
[参考資料]
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