年収750万円の37歳サラリーマン「23区内・駅チカのマイホームが欲しい」→FP「難しい。でも」…一般的な会社員が“億ション”を手に入れる方法【FPの回答】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月15日 11時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
ライフステージの変化にともなって「持ち家」を検討する人は多いでしょう。都内に住む年収750万円のAさんと妻は、将来的な売却を視野に入れた「資産価値の高い物件」と「価格を抑えたリノベ物件」とで悩んでいました。YouTubeチャンネル登録者数10万人以上の井上ヨウスケFPが、Aさんの相談をもとにマイホーム購入検討時の注意点を解説します。※相談者の情報はプライバシー保護のため一部変更しています。
マンションを買うなら、「資産性」「価格」どちらを優先すべき?
【本日の相談者】
Aさん(37歳・男性)
収入:年収750万円
貯蓄:預金200万円、投資信託120万円(NISA)
家族:妻(36歳)……時短勤務のため年収約200万円、長男(1歳)
備考:現在は都内で賃貸暮らし。家賃は月18万円。マイホームの購入を検討中。
年収750万円、37歳Aさんの「お悩み」
Aさん「持ち家にするか、賃貸のまま暮らすか迷っています。家を購入する場合、蓄えはあまり多くないのでフルローンにするつもりです。ネットで調べたところ、「持ち家派」と「賃貸派」どちらにもメリットがあるようで、結局参考になりませんでした。
私としては、少々無理をしてでも将来売却することを視野に、23区内・駅チカといった「資産性の高い物件」を買ったほうがいいのではないかと考えています。
一方妻は、毎月のキャッシュフローがきつくなるよりも価格を抑えた築古リノベ物件でいいんじゃないかと言っていて、ここも悩んでいる点です。
私たちの家族は賃貸のほうが安全でしょうか? それとも、持ち家のほうがお得でしょうか? また、持ち家にするなら「少々無理をしてでも資産性の高い物件」と「価格を抑えた築古リノベ物件」、どちらがいいでしょうか?」
【FPの回答】東京23区のマンションは1億円超え…購入するには非現実的
株式会社不動産経済研究所の「首都圏新築分譲マンション市場動向2024年11月度」によると、マンション価格は首都圏が平均7,988万円、東京23区は1億889万円となっています。
Aさんは、23区内・駅チカといった「資産性の高い物件」を買ったほうがいいのではないかと考えており、かつ「フルローン」での購入を検討されているとのことですが、残念ながら、おそらくAさんが借り入れることのできる金額で購入することは難しいでしょう。
また、仮に購入したとしても、ローン返済額があまりにも多額となり、現実的ではないため、そのプランはおすすめしません。
年収750万円で都心の物件購入は「フルローン」でも“非現実的”
金融機関が借入可能額を決める際の基準はいくつかありますが、そのひとつに「返済負担率」というものがあります。
返済負担率とは、年収に対する年間返済額の割合のこと。一般的に、返済負担率の上限は30%〜35%程度とされています。
Aさんの年収は750万円です。よって、仮に返済負担率を35%とした場合、262万5,000円となります。もし、金利0.5%で35年ローンを組んだ場合、借入可能額はおおよそ8,500万円の計算です。
つまり、返済負担率が35%でも1億円以上する住宅を購入することは不可能でしょう。そもそも、ローン返済だけでひと月あたり21万8,750円となります。さらに、固定資産税に加えて、マンションの場合、管理費や修繕積立金が必要です。現在の収入でこれら固定費の増加に耐えることができるのか、そうまでして借りることが現実的なのか……一度冷静に考える必要があるでしょう。
実際の借入可能額は「もっと少ない」可能性も…Aさんの収入でシミュレーションした結果
ここまで返済負担率を例に解説しましたが、実際はもっと少ない金額しか借り入れることができない可能性もあります。金融機関のホームページ上にあるシミュレーターを利用するなどして、より具体的な借入額を試算することが可能です。
たとえば、「じぶん銀行」の住宅ローンシミュレーションでは、年収750万円、借入期間35年、借入金利0.479%(変動金利)で試算してみたところ、借入可能額は5,470万円となりました。
また、「SBI新生銀行」の住宅ローンシミュレーションで試算した場合には、借入可能額は6,450万円となりました注)。
注) SBI新生銀行では金利入力欄なし。
もちろん金融機関によって異なる部分はありますが、やはり、23区内・駅チカといった「資産性の高い物件」は、Aさんの年収だけでは難しい可能性が高いです。
それでも購入したい場合…まだ「検討の余地がある」といえる方法
リクルートの「2023年首都圏新築マンション契約者動向調査」によると、住宅ローンの契約形態は、単独名義が65%である一方、「世帯主と配偶者のペアローン」が34%と、2018年以降もっとも高くなっています。さらに、既婚・共働き世帯を総年収別に見ると、総年収1,000万円以上の夫婦では実に77%が「世帯主と配偶者のペアローン」を選択しています。
国税庁の調査によると、男性の平均給与は569万円です。Aさんの年収は750万円ですので、たしかに平均に比べ年収は多いほうです。しかし、先述のように都内の住宅価格が高騰していることから、Aさんが望む「資産性の高い物件」を購入する場合には、単独でローンを組むのではなくペアローンを利用することをおすすめします。
現在、Aさんの奥様は子育て中のため時短勤務を選択し、年収は200万円となっていますが、今後子育てが落ち着くなどして復職した場合、夫婦の年収を合算した世帯年収を1,250万円と仮定すると、SBI新生銀行の住宅ローンシミュレーションで試算した借入可能額は1億750万円となり、1億円を超える住宅が視野に入ります。
インフレ下において、インフレ率より低い金利で借入をしておくと資産形成時有利に働きます。住宅の資産価値はさまざまな要因で変動するため断言できないものの、しばらくインフレが続くと仮定すると、資産形成において住宅という資産を保有することは悪い選択ではありません。
したがって、「ペアローン」を利用した住宅の購入は検討する価値がありそうです。ただし当然、過度な借入をして購入することはレバレッジをかけて不動産投資しているようなものですので、おすすめできません。
「値が張っても資産性の高い物件」か「価格を抑えた築古リノベ物件」、どちらを選ぶにせよ、奥様の時短勤務が終わってから慎重に検討してみてはいかがでしょうか。
井上 ヨウスケ
ファイナンシャルプランナー
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