【米ドル円】東京海上アセットマネジメントが振り返る…1月第2週の「米国経済」の動き
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月12日 20時15分
(※画像はイメージです/PIXTA)
トランプ次期政権の政策が注目されるなか、「米ドル円」に対する世の中の関心もかつてないほどに高まっている今日。来週の米ドル円相場の動向に影響を与えそうな、先週の米国経済の動きについて東京海上アセットマネジメントが解説します。
市場予想を上回る経済指標が相次ぎ、「利下げ観測」は後退
全米供給管理協会(ISM)が公表した2024年12月のISM製造業景況指数は49.3と、11月(48.4)、市場予想(48.2)をともに上回りました(図表1)。
金融政策が利下げに転換したこともあり、景気循環はようやく底入れし、回復局面に移行しつつあります。項目別では、新規受注指数が52.5と景気の拡大・縮小の分かれ目である50(中立水準)を2ヵ月連続で上回ったほか、輸出向け受注指数が11月の48.7から50.0へ上昇しました(図表2)。
新規受注指数については、FRBによる利下げが財需要の喚起に繋がりつつある可能性を示唆しているものの、トランプ次期政権発足後に発動が想定される関税政策を前に、一定程度の駆け込み需要が発生している可能性には留意が必要です。
12月のISM非製造業景況指数については54.1と、11月(52.1)、市場予想(53.5)をともに上回りました。項目別では、新規受注指数が54.2 (11月:53.7)と高水準を維持するなど、引き続きサービス需要の底堅さが示されました。
もっとも、価格指数は11月の58.2から64.4へ急上昇し、インフレ再燃に対する懸念を高めるものとなりました。トランプ次期政権下で想定される関税政策はインフレを再燃させるリスクがあるため、金融政策に及ぼす影響の観点から、今後価格指数の動向にも注目が集まることが予想されます。
最大の焦点は、10日公表の「米雇用統計」
米経済の底堅さを示す指標が相次ぐなか、今後の最大の焦点は10日に公表される雇用統計になります。
今週は12月の雇用統計の結果を予想する材料として、11月のJOLTS(雇用動態調査、米財務省公表)などの経済指標が公表されました。11月のJOLTSでは、求人件数が809.8万件(10月:783.9万件)と2ヵ月連続で増加し、市場予想(774.0万件)を上回りました(図表3)。
労働需要の一段の減速を回避しつつ、レイオフに伴う失業は引き続き抑制されており、「雇用の最大化」と「物価の安定」の達成を目指すFRBにとって朗報となりました。離職者のうち、非自発的離職者数は176.5万人(10月:174.8万人)と、2ヵ月ぶりに増加したものの、コロナ禍前の2019年12月の水準(193.1万人)を依然下回っています。
企業は雇用の増加に慎重な姿勢を維持するなかで、大規模なレイオフを回避している状況にあります。なお、米労働省が公表した週次の新規失業保険申請件数も11月以降、失業者が減少傾向にあることを示しており(図表4)、この点は12月の雇用統計における失業率が低水準を維持する可能性を示唆しています。
FOMC議事要旨(2024/12/17、18開催分)では、FOMC参加者が中立水準に向けて追加利下げ余地が存在するとの認識を示すも、最近の予想を上回るインフレ率や、トランプ次期政権の政策運営に対する不透明感などを踏まえて、利下げペースを緩やかに修正すべきとの認識が示されました(図表5)。
ウォラーFRB理事は、FOMC議事要旨の公表に先立って行われた講演で、「政策金利の引き下げペースを減速させる、または利下げを停止するよう求める声が上がっている」としつつ、「だが私は、インフレ率は中期的に2%目標に向かって進展を続け、さらなる利下げが適切になると考えている」と、議事要旨に比べハト派的な見解を示しました。
米国の関税政策については、「関税がインフレに顕著な、または持続的な影響を与えることはない」と発言しました。
2024年12月のドットチャートでは、2025年は2回の利下げが示唆されるなか、関税政策や移民政策などがインフレを招くとの見方から、FF金利先物市場が織り込む利下げ回数は1.7回程度(10日執筆時点)にとどまり、ややタカ派的な状況にあります。
これまで、ウォラーFRB理事は、金融政策の将来の動きを先取りする発言をしていただけに、市場は関税政策の影響を織り込み過ぎている可能性には留意が必要です(図表6)。
東京海上アセットマネジメント
※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【米ドル円】東京海上アセットマネジメントが振り返る…1月第2週の「米国経済」の動き』を参照)。
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