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2025年のハイイールド債 好調な米景気を背景に「底堅く推移する」と予想【解説:三井住友DSアセットマネジメント】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月15日 11時15分

2025年のハイイールド債 好調な米景気を背景に「底堅く推移する」と予想【解説:三井住友DSアセットマネジメント】

(※写真はイメージです/PIXTA)

※本稿は、チーフリサーチストラテジスト・石井康之氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)による寄稿です。

【ポイント①】2024年のハイイールド債市場は堅調推移

■2024年のハイイールド債(ダブルB格以下の低格付け社債)市場は堅調に推移しました。米インターコンチネンタル取引所(ICE)が算出するグローバル・ハイイールド債の代表的な指数は、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ転換を織り込み、7月以降一段高となり、12月上旬に過去最高値を付けました。同指数の2024年のリターンは、+7.5%(米ドルベース)となりました。

■ハイイールド債の好パフォーマンスの要因は、高いクーポン収入に加え、企業の信用リスクを表す社債スプレッド(国債利回りに対する上乗せ金利)が大きく縮小したことにあります。

■ハイイールド債の社債スプレッドは、2024年末に3.08%と、2023年末の3.85%から縮小しました。社債スプレッドは12月上旬に、一時2007年6月以来の低い水準の2.68%まで縮小しました。その後、FRBが12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げ見通しを後退させたことを嫌気して、社債スプレッドは年末にかけやや拡大しましたが、依然として歴史的な低水準にあります。

■社債スプレッドが歴史的に低い水準まで縮小した背景には、FRBの利下げ開始に伴う米景気のソフトランディング(軟着陸)期待の高まりや、トランプ次期政権の政策が米企業には追い風となるとの見方が強まったことがあります。景気の底堅さを背景に企業業績は好調な状況が続いており、過去の利下げ局面と比べ、社債の発行体の信用力が安定しているとみられます。このため、高い利回りが期待できる社債に対する投資家の需要が強まり、ハイイールド債のスプレッドの縮小につながったと考えられます。

【ポイント②】2024年にハイイールド債市場への資金流入が急拡大

■2024年末のグローバル・ハイイールド債の利回りは7.42%と、2023年末の7.85%から低下しました。それでも過去10年の平均利回りの6.80%を上回っています。

■ハイイールド債の利回りが依然として高水準にあるなか、景気が底堅く推移し、企業の信用リスクが安定しているため、投資マネーがハイイールド債市場に大きく流入しています。

■米調査会社EPFRによる投資信託を通した資金フローを見ると、2024年に世界のハイイールド債ファンドへの資金流入が急拡大しました。2024年の資金流入額は408億ドル(約6.4兆円)と、2023年の▲33億ドル(約0.5兆円)の資金流出から転換しました。

【今後の展開】2025年のハイイールド債は底堅く推移

■弊社は、2025年以降の米国経済がトランプ次期政権による規制緩和や減税の影響、緩和的な金融環境を背景に好調さを維持するとみており、世界経済も底堅く推移すると予想しています。また、トランプ次期政権による政策の不確実性が高まるなか、FRBは雇用と物価を睨みながら、ゆっくりとしたペースで利下げを続けると予想しています。米利下げに伴い長期金利は緩やかに低下すると想定しています。

■こうした環境下、2025年のハイイールド債市場は底堅く推移すると予想します。社債スプレッドの縮小余地は限られるものの、好調な米景気を背景に企業の信用力は大きく悪化はせず、社債スプレッドは比較的低水準で推移するとみています。また、高利回り社債に対する投資家の根強い買い需要から、ハイイールド債への資金流入は続くと見込んでいます。

(2025年1月15日)

石井 康之

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフリサーチストラテジスト

※上記の見通しは当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。今後、予告なく変更する場合があります。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください。

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