騙された気持ちでいっぱいです…〈時給1,380円〉清掃バイトを続ける75歳女性、真面目に働けば老後は安泰のはずが、とても生活できない「残念な年金額」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月17日 8時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
老後不安が拡大するなか「将来、いくら年金を受け取れるか」は大きな関心事。しかし年金で生計を立てている人のなかには思ったほど年金が受け取れず、「騙された」「こんなはずではなかった」などと不満をもつ人も少なくないようです。
「しっかり働けば老後は年金がもらえて安泰」と信じていた
川口陽子さん(仮名・75歳)。毎朝7時から9時まで、オフィスビルの清掃のアルバイトをしています。時給は1,380円。1ヵ月で6万円強ほどになります。このような仕事を始めて10年ほどが経ちます。
――コロナのときは出社する人がほとんどいなくなったので稼働が半分以下になって、お給料が大幅に下がっちゃったけど。一人で気楽にできる仕事だから、長く続いているのかしら
毎朝10時には帰宅。そこからはテレビを観たり、趣味のお裁縫をしたりと、思い思いに過ごし、夜8時には就寝するといいます。45年連れ添った夫は7年前に他界。現在は築40年の自宅でひとり暮らしをしています。
昨今の悩み事といえば物価高。
――お米なんて昨年の騒動以来、1,000円以上値上げになったままじゃない。少ない年金でどう生きていけというのよ
現在受け取っている年金は、まず自身の年金が月8万1,000円。「今まで頑張って働いてきたのに、たったこれだけ。騙された気分でいっぱいよ」とため息の川口さん。さらに亡くなった夫の遺族年金が月7万円ほど。これだけではとても生きていけず、働くしかないと肩を落とします。なぜなら、ほとんど貯金がないから。
――住宅ローンを返して、子どもの教育費を払って、親の介護費用も。そしたら全然お金が貯まらなかったの。この家も40年経ってボロボロで、直すとなるとかなりの額になるでしょ。少しでもいいから、貯金をしていかないと、万一のときに対応できないでしょ
貯金については「やりくりが下手だっただけ」と納得していますが、生活のベースになる年金に対しては愚痴が止まらなくなるといいます。
――頑張って働けば、老後は年金がもらえて安泰だと誰もが信じていたわ。それなのに、50年近く働いた亡くなった夫でも月14万円よ。私もたくさんパートで働いたけど、年金は全然増えないの。騙された気分よ
内閣府『国民生活に関する世論調査』で、「老後生活に対して不安感を覚えている人の割合」の推移をみていくと、1990年代までは2~3割程度。2010年代に半数を超え、最新の2024年調査では62.8%を記録しています。これと比例するように、年金への関心は高まったといえます。つまり40年ほど前は年金への関心は低く、その仕組みを理解する人はかなりの少数派。
【老後生活に対して不安感を覚えている人の割合】
1981年…20.3%
1985年…27.4%
1990年…32.8%
1995年…37.1%
2001年…47.1%
2005年…48.3%
2010年…52.4%
2015年…55.7%
2021年…58.5%
2022年…63.5%
2023年…63.6%
2024年…62.8%
※出所:内閣府『国民生活に関する世論調査』より
今であれば、どんなに働こうと厚生年金に加入しなければ年金は増えない(=厚生年金は増えない)と多くの人が知っていますが、以前はこのような基礎的なことさえ知らない人は珍しくなかったのです。
日本人の2割は「公的年金制度の超基本」を知らない
老後不安の高まりとともに、年金への関心も高まったことで、川口さんのように年金に関して勘違いをしている人はかなりの少数派。とはいえ、複雑怪奇な年金制度を理解することは至難の業です。
内閣府が昨年3月に公表した『生活設計と年金に関する世論調査』では、老齢年金の仕組みや役割について聞いています。たとえば「日本の年金は国民皆年金である」という、日本の公的年金制度の基本中の基本の認知度は8割強。逆にいえば、2割弱の人は、年金制度の大前提さえ知らないというのが実情です。
【老齢年金の仕組みや役割についての認知度】
学生含め20歳以上の国民は、加入する義務がある…82.0%
60~75歳の間で受け取り始める時期を選択できる…73.0%
現役で働く世代が高齢者を扶養する制度である…66.8%
保険料の納付状況に応じて年金額が変動する…62.5%
生涯にわたり年金を受給できる…56.4%
物価や賃金の変動に応じて年金額が調整 される…42.3%
また前述のように、昨今高まっている「老後不安」は、川口さんのように「騙された!」という人があまりに多いことの裏返しともいえるかもしれません。現役世代であれば、毎年誕生月に将来の年金見込み額を知ることのできる「ねんきん定期便」が送られてきます。さっと眺めるだけだったり、なかには見ずに捨ててしまったりする人も。将来、「騙された!」ということのないよう、まずは「ねんきん定期便」を読み解くことから始めてみては。
[参考資料]
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