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トランプ関税は「中国のみ」に発動 今後の展開について考える【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年2月5日 15時20分

トランプ関税は「中国のみ」に発動 今後の展開について考える【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】

(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

●トランプ関税はメキシコ、カナダへの発動を1ヵ月延期し、発動された中国は同日報復措置を発表。

●日本株は関税を巡る報道に左右される展開となった一方、ドル円はやや方向感に乏しい値動きに。

●弊社は一定程度の対中関税引き上げは想定済みだが、米中対立は市場には懸念材料となろう。

トランプ関税はメキシコ、カナダへの発動を1ヵ月延期し、発動された中国は同日報復措置を発表

トランプ米大統領は2月3日、メキシコのシェインバウム大統領、カナダのトルドー首相とそれぞれ協議を行い、4日に予定されていた25%の関税発動を1ヵ月延期することで合意したと発表しました。メキシコ側、カナダ側とも、米国が求める違法薬物や不法移民の流入対策として、米国との国境に1万人の警備隊を配置することを約束し、トランプ関税は発動直前の土壇場で延期となりました。

一方、中国からのすべての輸入品に対する10%の追加関税は、米東部時間4日午前0時1分(日本時間5日午後2時1分)に発動されました。これに対し中国政府は同日、米国からの石炭と液化天然ガス(LNG)に15%、原油、農業機械、ピックアップトラック、大型自動車に10%の追加関税を課すなどの方針を発表しており、米国の追加関税に対する報復措置とみられます。

日本株は関税を巡る報道に左右される展開となった一方、ドル円はやや方向感に乏しい値動きに

これら一連の動きに、金融市場は大きく振り回されました。2月3日と4日の日経平均株価は、トランプ関税の報道に左右される展開となりましたが(図表1)、米中の関税引き上げ応酬への警戒などから、2月4日の終値は依然、先週末の終値を下回っています。欧州の主要株価指数もおおむね同様の傾向ですが、米国ではダウ工業株30種平均とナスダック総合株価指数の2月4日の終値が、早々に先週末の終値を上回りました。

為替市場では日本時間2月3日の早朝、メキシコペソとカナダドルは米ドルに対し、大きく下落しました(図表2)。しかしながら、その後の日本時間2月4日、未明にメキシコへの関税発動が1ヵ月延期、早朝にカナダも1ヵ月延期との報道が伝わると、メキシコペソとカナダドルは急速に買い戻される展開となりました。ドル円は先週末と2月4日まで85銭ほどドル安・円高が進みましたが(図表1)、やや方向感に乏しい値動きとなりました。

弊社は一定程度の対中関税引き上げは想定済みだが、米中対立は市場には懸念材料となろう

メキシコ、カナダに対するトランプ関税の発動は、凍結されたわけではなく、1ヵ月の延期であるため、期限が近づくにつれ、市場の警戒が強まることが予想されます。トランプ氏はメキシコ、カナダとの貿易赤字を問題視しており、1ヵ月の間に問題解決に向けた具体的な協議が行われると思われますが、どの国にも経済的なダメージは極力避けたいという意向がある以上、何らかの合意に至る可能性は高いとみています。

トランプ氏の中国に対する姿勢は、メキシコ、カナダに対するものと異なり、対中関税の引き上げを、米国のサプライチェーン(供給網)から中国を切り離すデカップリング(分断)政策の一環と位置付けていると考えます。弊社は対中関税について、実効税率ベースで20%から40%への引き上げを想定しており、現時点で米国経済の見通しは変更していません。ただ、この先も予想される米中の対立は、市場には懸念材料になると思われます。

(2025年2月5日)

※当レポートの閲覧にあたっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『トランプ関税は「中国のみ」に発動 今後の展開について考える【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】』)。

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

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