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【マツダ アテンザ試乗】ここまでやるか?6年目の大改良にマツダの本気を垣間見た

&GP / 2018年9月2日 19時0分

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【マツダ アテンザ試乗】ここまでやるか?6年目の大改良にマツダの本気を垣間見た

ここ数年、ブランドイメージが急激にアップした自動車メーカーといえば、誰もが認めるのがマツダだろう。

“スカイアクティブ”と名づけられた先進技術を搭載した先代「CX-5」に始まる快進撃は、洗練された“魂動デザイン”とともに多くのファンを獲得し続けている。

今回紹介する「アテンザ」は、そんなマツダのフラッグシップセダン&ワゴン。現行モデルが登場したのは2012年11月で、もうすぐ6年が経過するから、一般的にはそろそろフルモデルチェンジのウワサが聞こえてきてもいい頃…と思っていたら、先頃、大幅改良が施されたのだ。

■コスト上昇をいとわずインテリアを大幅刷新

新型アテンザの改良メニューは、その中身の濃さと多彩さに驚かされる。

まずはスタイリング。フロントグリル、ヘッドライト、フロントバンパーなどのデザインが変わったが、それぞれ変更の度合いは小さく、従来モデルと見比べてパッと分かる違いは、バンパー左右下部の形状くらい。リフレッシュして洗練度は高まったが、これくらいであれば従来モデルのオーナーも安心できる範囲ではないだろうか。

一方、インテリアは劇的に変わった。トピックのひとつは、ダッシュボードの全面変更。水平基調をより強調したデザインとなり、中央上部のディスプレイは7インチから8インチに大型化。ひと目で画面が大きくなったと実感できる。

そして「画面がクリアで見やすくなったな…」と思っていたら、液晶パネルの発光部と表面のガラスの間(一般的には空気層がある)に接着剤を入れ、それぞれを密着させる構造に変更されていた。結果、光の反射が抑制され、光が当たった状態でもクッキリ見えるよう進化したのである。

また、従来はメーターフードの上に立つ透明な板に投影するタイプだった“ヘッドアップディスプレイ”は、フロントウインドウに投影するタイプへと進化。新しい方が断然見やすいのはもちろん、メーターフード周りがスッキリしたことも見逃せない。

スッキリといえば、メーターフード上の樹脂パネルの分割線が減っていたり、サイドウインドウの曇りを取るエアコンの吹き出し口が、インパネ上面の左右からAピラーに移ったりと、見た目をスマート化する改良も、今回の隠れた進化だ。それらは、いわれなければ気づかないような小さな改良だが、マツダは「上質感を高めるには避けてとおれない部分」と位置づけ、コスト上昇をいとわずに踏み込んできたのである。

そのほか、メーターのデザインも大きく変わった。上級グレード「Lパッケージ」のそれは、液晶パネルが4.3インチから7インチへと大型化。スピードメーター全体がTFT液晶表示となり、表示の方法やデザインの自由度が高まった。例えばクルーズコントロールの作動時には、設定速度がメーターの針の脇に表示されるため、より見やすくなっている。

インテリアにおけるもうひとつのハイライトは、シートの改良だ。シートは前後ともに全面刷新。しかも、表皮やちょっとした形状の変更でお茶を濁すのではなく、なんと着座位置から再定義してきた。これは、マイナーチェンジとしては異例の内容だ。

シートは、乗る人の骨盤を安定させ、背骨が自然なS字カーブを描くようドライビングポジションをより追求してきたほか、不快な振動を感じさせない構造を採用。座った瞬間のフィット感の良さが好印象だ。さらに上級グレードのLパッケージでは、背もたれに上質感を高めるクロームガーニッシュが組み込んでいる。これは、日本車に限らず、高級輸入車でも珍しい演出だ。

シートの快適性といえば、Lパッケージにはシートヒーターに加え、マツダ車としては初めてシートベンチレーションを搭載してきた。車内の空気をシートの表面が吸い込むことでムレを防ぐこの機能は、今夏のような暑い日には、特にうれしい装備であり、他グレードへの展開を期待したくなる。

ちなみに、こうしたメーターパネルやシートを始め、今回の大改良では、Lパッケージと他グレードとの装備差が大きくなった印象だ。ほかにも、深みのある本杢(ほんもく)パネルや、世界初採用となる肌触りのいい素材“ウルトラスエード ヌー”をインテリアに採用するのは、Lパッケージだけ。

さらに、Lパッケージでは車内の照明がすべてLEDとなるなど、ディテールにおいても他グレードとの差別化が著しい。

■17インチ仕様は、より滑らかな走りを味わえる

今のクルマに欠かせないセーフティデバイスや、エンジンやサスペンションといった動的性能も、もちろん進化している。

セーフティデバイスは、自動ブレーキの歩行者認知機能が夜間も対応するようになったほか、360度モニターが用意され、ヘッドライトの“アダプティブハイビーム”(光の照射範囲を分割し、対向車や先行車など相手がまぶしく感じる部分以外のみをハイビームにする機能)も片側4分割から20分割に進化。

そして、これまで30km/hを下限としていた追従型クルーズコントロールシステムは、0km/hまで使える待望の渋滞対応型に。電子式パーキングブレーキと連携した停止保持機能まで搭載してきたのは、耳寄りなトピックだ(ちなみに、設定上限速度は180km/h)。

エンジンは、先だって改良を受けたCX-5と同様、ディーゼルエンジンが急速多段燃焼機構などを採用する最新スペックにアップデートされ、2.5リッターのガソリンエンジンには“気筒休止機構”が搭載された。また、2リッターのガソリンエンジンも、低中速域でのトルクアップや燃費向上が盛り込まれるなど、すべてのエンジンがマツダの最新バージョンに引き上げられている。

足回りは、バネ、ダンパー、そしてパワーステアリングの設定を見直しただけでなく、サスペンションをしっかり動かすべく、ボディ構造そのものが強化された。特に、サスペンション取り付け部の剛性を大幅に強化。その上で、従来よりも側面が柔らかく、たわみやすいタイヤを履かせることで、乗る人に伝わる振動を抑えるという新発想を導入している。

その恩恵は明らかで、試乗中にも乗り心地の向上を確実に実感できた。ちなみに、19インチのタイヤ&ホイールを履くLパッケージよりも、17インチのタイヤ&ホイールを履く中級グレード「プロアクティブ」の方が、さらに走りが滑らかで、曲がり方も素直で好感が持てるものだったことを報告しておく。

このように、変更部分を並べるだけでも膨大な量となる今回の大改良だが、実は最も驚かされたのは、音へのこだわり。例えば、車内に乗り込む際にドアが閉まる時の音は、明らかに従来のそれとは違うもので、高級感を感じるレベルになった。また走り始めると、フロントシートとリアシート間の会話がしやすくなり、静粛性の高まりを感じさせる。

その上、タイヤからのノイズは、絶対的なボリュームが小さくなった。舗装が良好な路面で静かなのはもちろんだが、表面が荒れた舗装路でも、さほどうるさく感じなかったのだ。こうしたロードノイズの変化は、乗る人のストレスを高める要素といわれている。つまり、タイヤからのノイズ変化が小さいということは、それだけ、移動中の疲労軽減にもつながるのである。

静粛性アップの秘密を開発者に尋ねると、フロントウインドウを厚くしたという話に始まり、吸音材やシール材の追加、切り欠きを最大限に減らしたフロアマットの採用など、静音対策を徹底したと教えてくれた。加えて、フロアやリアホイールハウスのインナーパネルなど、重要パーツの板厚アップまで施したのだという。

通常のマイナーチェンジでは、ここまで手を加えるケースはほとんどない。しかし今回、マツダはまさに、見えない部分にまで改良の手を加えてきた。単なる見た目の変更だけにとどまらない、そうした“見えない努力”の積み重ねも、ブランドイメージを高め続けている大きな要因。今回のアテンザの大改良に、マツダの本気を垣間見たのは気のせいではないはずだ。

<SPECIFICATIONS>
☆セダン XD Lパッケージ(赤/4WD/AT)
ボディサイズ:L4865×W1840×H1450mm
車両重量:1670kg
駆動方式:4WD
エンジン:2188cc 直列4気筒 DOHC ディーゼル ターボ
トランスミッション:6速AT
最高出力:190馬力/4500回転
最大トルク:45.9kg-m/2000回転
価格:419万400円

<SPECIFICATIONS>
☆セダン XD プロアクティブ(白/2WD/AT)
ボディサイズ:L4865×W1840×H1450mm
車両重量:1610kg
駆動方式:FF
エンジン:2188cc 直列4気筒 DOHC ディーゼル ターボ
トランスミッション:6速AT
最高出力:190馬力/4500回転
最大トルク:45.9kg-m/2000回転
価格:336万9600円

<SPECIFICATIONS>
☆ワゴン 25S Lパッケージ(赤)
ボディサイズ:L4805×W1840×H1480mm
車両重量:1560kg
駆動方式:FF
エンジン:2488cc 直列4気筒 DOHC
トランスミッション:6速AT
最高出力:190馬力/6000回転
最大トルク:25.7kg-m/4000回転
価格:354万2400円

(文/工藤貴宏 写真/&GP編集部)

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