【知識】スマホのバッテリー持ちもよくなる!最新規格「Wi-Fi 6」って何がすごいの?
&GP / 2019年8月10日 8時0分
【知識】スマホのバッテリー持ちもよくなる!最新規格「Wi-Fi 6」って何がすごいの?
最近、Wi-Fiルーターの宣伝文句として「Wi-Fi 6」対応と書かれているものを目にするようになった。Wi-Fiは家でも街中でも利用しているが、いつから「6」になったんだろう? 1~5はどこに行ったの? 何が違うの?
と、例によって人に聞きにくい疑問が湧き上がってきた。そこで、意を決して! 「Wi-Fi 6」対応ルーターの先駆けであるNETGEAR(ネットギア)さんにお話を伺うことになった。取材に先立って同社のルーターを体験使用させていただいた感想を交えて、根掘り葉掘り聞いてみよう!
▲今回、お話を聞かせていただいた3人。左から、ネットギアジャパンのインサイドセールス担当・幸田彩希さん、プロダクトマーケティング担当・向山 優さん、マーケティングマネージャーの前田力さん
■使ってみたらネットゲームの環境が改善された!
▲Wi-Fi 6採用「NIGHTHAWK RAX80」(実勢価格:4万8000円前後)
──今回「NIGHTHAWK(ナイトホーク) RAX80」をしばらく実際に使わせていただきました。まず、特徴的なデザインに目を引かれたんですよね。しかも箱から出してウイングをはめる作業が、ガンプラ世代にはかなりワクワクすると言いますか(笑)。でもこのデザインは、カッコよさのためだけではないんですよね?
向山:そうですね。「Wi-Fi 6」という新世代のテクノロジーに対応するものなので、それに負けないように、きちんとデザイナーを入れてデザインしたという点が一つあります。また、ウイングの中に微調整したアンテナを配置していて、「Wi-Fi 6」のパフォーマンスを最大限に発揮できるように設計されています。
──なるほど。
向山:ネットギアのナイトホークシリーズやルーターをはじめ、昨今のハイエンドルーターの主流は、アンテナが外に出ているデザインですが、最大8本のアンテナが立つようになりまして。でも、そんなにニョキニョキ立っているよりは、ウイングに収めて空を飛ぶようなデザインにした方がいいだろうということで。
幸田:以前は6本だったんですが、「Wi-Fi 6」になって8本になりました。ちょっとニョキニョキしすぎますからね(笑)。見た目と機能、両方のいいとこ取りをした結果です。
──実際、家庭で使ってみたところ、僕よりも中学生の息子の方が「Nintendo Switchのネット対戦ゲームが落ちなくなった」と喜んでまして(笑)。
前田:ああ、そうですか。それはよかったです! 皆さん、困ってると思うんですよね。家庭で日常的にWi-Fiを使うけど、思ったほど環境が整備されていなくて。これまではどんな環境だったんですか?
──実はケーブルテレビを入れた時に一緒にネットをつないで、そこで設定してもらったWi-Fiをそのまま使ってたんです。息子いわく、「RAX80」に切り替える以前と以後では、Switchの「接続テスト」で表示される通信速度が全然違ったと……(笑)。
向山:そういう使われ方をしている人は非常に多いと思うんですよね。無償提供されたままで、という。実感するような不具合はそんなにないと思うんですが、よりよい環境を知ってしまうと、もう戻れないという(笑)。
■従来のWi-Fiが「5」だったので、新規格は「6」に
──そもそも、先ほどからお話に出てくる「Wi-Fi 6」なんですが…。「Wi-Fi」自体はかなり普及してきたとはいえ、急に「6」になった!という印象なんですけども(汗)。
向山:そうですよね(笑)。「Wi-Fi 6」は今年から導入されるWi-Fiの新規格なんですが、これによって現行の最新規格である「802.11ac」は「Wi-Fi 5」、「802.11n」は「Wi-Fi 4」と、さかのぼってナンバリングされているんですよ。だから「突然6が出てきた」と思われるのも無理はないと思います。
──安心しました(笑)。その「Wi-Fi 6」は、これまでのWi-Fiと比べてどういう特徴があるものなんでしょうか?
向山:「Wi-Fi 6」には3つの大きな特徴があります。まずひとつは超高速なネット接続環境を実現するということ。二つめは、複数のデバイスで同時に通信できるということ。そして三つめが、デバイスのバッテリーが長持ちするということです。
──いいことずくめですね! ではひとつずつ、具体的に説明していただけますか?
向山:はい、まず“超高速接続”について、旧来のWi-Fiである「Wi-Fi 5」になりますが……は、規格上は最大6.9Gbpsだったところ、「Wi-Fi 6」では最大9.6Gbpsになっています。ですので弊社としては、規格上1.4倍の速度になっているとご案内しています。
幸田:現在、Amazonでルーター部門のランキング1位を取っている商品は、ac1200という規格なんですが、Wi-Fi 5のスピードだと866Mbpsという速さなんです。それに比べて、弊社で一番速いRAX200だと9.6Gbpsになるので、計算上は11.1倍の速さが出ることになります。
──11.1倍! それはすごいですね!
前田:「Wi-Fi 6」のエントリーモデルであるRAX40であっても、計算上では先ほどの1位機種の2.8倍ほど出ます。「Wi-Fi 6」用の新しい技術がたくさん詰め込まれていることが、このスピードを実現できた背景にあります。
──続いて、“複数のデバイスを同時に接続できる”というお話でしたね。
向山:これも「Wi-Fi 6」用の新しいテクノロジーで、携帯電話などの4Gに使われているOFDMAという多重化技術をWi-Fiに導入したものなんですね。あともう一つ、最終的には、上り(アップロード)の方にMU-MIMO(ムーマイモ)が対応されていくと思います。
──すみません、ムー……何でしょう?
向山:「ムーマイモ」ですね。「MIMO(マイモ)」というのは送受信の両方で複数のアンテナを使用し、通信品質を上げる技術のことです(「multiple-input and multiple-output」の略)。これをさらに進めた「マルチユーザーMIMO」、略して「MU-MIMO」です。これによって、たくさんの人がたくさんのデバイスで、同時にインプット・アウトプットできるわけです。
■全4機種のナイトホークで環境に合わせて選べる
──最後は “デバイスのバッテリーが長持ちする” というお話でした。通信とバッテリーがどう関係するのか、不思議なんですが。
前田:これまでの技術では、ルーターとデバイスの間で、常に接続確認が行われていました。つまりルーターがデバイスを叩き起こして、「点呼!」という感じだったんですね。でも「Wi-Fi 6」では、デバイスが通信していない時に無駄に起こすことがなくなったので、その分、バッテリーの持ちがよくなったんです。「Wi-Fi 6」に対応するデバイスなら、規格上は7倍長持ちすると言われています。
──今度は7倍! 景気のいい数字が並びますね(笑)。そんな「Wi-Fi 6」の特性を十分に生かせるのがナイトホークのシリーズというわけですね。
向山:ネットギアの「ナイトホーク」を含むWi-Fi製品は、アメリカでは51%のシェアを誇るナンバー1のルーター・ブランドになっています。最高のスペックを有するこの「ナイトホーク」は、すでに昨年アメリカで「Wi-Fi 6」対応のルーターである「RAX80」を発売。今年も合わせると4機種発売していまして、国内では現在3機種。夏には残りの1機種が登場します。これも他社に先駆けているポイントです。
前田:現状、エントリーモデルである「RAX40」と、「RAX80」、「RAX120」、そしてトライバンド搭載で最速モデルの「RAX200」の4機種ですね。一戸建てのご家庭での使用であれば、「RAX40」でも十分な機能を備えています。
──最近は4K動画のストリーミング配信も増えていますが、問題なく見られるものでしょうか?
幸田:先ほどのご説明にもありましたように、ナイトホークは最高スペックのブランドですので、4Kはもちろん、これから増えてくるであろう8K動画にも、問題なく対応しています。
向山:ちなみに弊社では「Orbi」というメッシュWi-Fiシステムルーターも発売していますが、こちらも「Wi-Fi 6」に対応していく予定です。
■デバイスが対応していないと「Wi-Fi 6」の意味がない?
▲AppStoreから「NETGEAR NIGHTHAWK」アプリをダウンロードした上で、「設定」→「Wi-Fi」でWi-FiをONにし、NETGEARのWi-Fiを選択してパスワードを入力。ネットワーク名とパスワードは、本体に貼り付けられたシールに書かれている。
──さて、これまでにご説明いただいた速度や利点というのは、「Wi-Fi 6」に対応しているデバイスを使用した場合、ということでしたよね? そうでない機種をつなぐ場合は、メリットはあるのでしょうか?
向山:Wi-Fi 6には下位互換機能があるので、従来のWi-Fi 5やWi-Fi 4の機種であっても問題なく使用できます。
前田:「Wi-Fi 6」対応のノートPCはすでに出始めていますし、スマホも近いうちに出始める予定です。ゲーム機も対応してくるでしょうし、今は冷蔵庫やエアコンなどのいわゆる“白物家電”もWi-Fiに対応した機種が主流になってきています。まずはWi-Fi 5が搭載されることになりますが、いずれWi-Fi 6にも対応してくると思います。
▲アプリを起動するとデバイスを自動的に検出してくれる
向山:ですから、今ルーターの買い換えや導入を検討されている方であれば、対応モデルを買っておいていただければ、新しい子機が「Wi-Fi 6」に対応したタイミングですぐにその恩恵を受けられると思います。逆に「Wi-Fi 6」に対応した新しい子機を買っても、家のルーターが対応していなければ、せっかくの機能を生かせないことになるわけですから。
幸田:子機が「Wi-Fi 6」に対応していないのに、通信速度が向上したという声をいただくんですが、それはルーターの機能が高いからだと思うんです。それとアンテナが多いので、複数のデバイスを接続しても通信が安定するんですね。息子さんも、もう以前の環境には戻れないんじゃないですか(笑)。
▲デバイスを見つけると、アイコンが表示された画面に切り替わる。これで接続成功だ
──間違いないですね。ここ数年は反抗期で困ってるんですが、少し機嫌もよくなったので助かってます(笑)。
前田:ナイトホークは家庭円満にも役立つということで(笑)。
──本当に助かります。これで父の威厳も保たれるというものです!(笑)
(取材・文/高崎計三)
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