ルアーで釣れる夏の「マダコ」は刺身も唐揚げも超絶ウマかった!
&GP / 2019年8月18日 20時0分
ルアーで釣れる夏の「マダコ」は刺身も唐揚げも超絶ウマかった!
【旬の魚を釣ってみた!食べてみた!】
自然に接し、自らの手で魚を釣り上げ、その魚を美味しく頂くという、アウトドアを楽しみつつ実益もしっかり兼ねたアクティビティ企画【旬の魚を釣ってみた!食べてみた!】。第1弾「根魚編」が予想以上に好評を博したということで、何と第2弾が実現しました(大感謝)。今回も旬の魚をバッチリ釣り上げたいと思いますので、お付き合いのほどよろしくどうぞ。
さて今回のターゲットなんですが、くっそ暑い盛夏が旬となる「マダコ」をチョイス。今年の東京湾は、マダコがわんさかと釣れまくっている当たり年とのことで、タコ釣りビギナーでもマダコを簡単にゲットできる大チャンス到来中。
普段スーパー等でマダコを買ったことがある方はご存知かと思われますが、基本的に輸入物で値段もそこそこ(100gあたり300円前後で、相場的には輸入牛肉と同じくらい)。今回マダコをモノにすることができれば、高値必至の天然国産物かつ超新鮮なやつを頂けるときたもんだ!
■揃える道具一式は割とシンプル
釣りをするには、そのためのタックル(道具一式)が必要。タコ釣りといえば、従来は針付きの板(テンヤ)にカニを縛り付けてタコを釣る“テンヤ釣り”が主流だったそうですが、今回はここ数年で人気が急上昇しているという「タコエギ」を使った “エギング” でチャレンジします。「エギ」は木片をエサの小魚に見立てた「餌木」が語源。つまり、擬似エサでタコを狙う「タコのルアー釣り」なんです。
▲仕組みはシンプル。特殊なのは「タコ用サルカン」で、錘とエギの両方をひとつにくっつけられる
▲タコ用サルカンに錘とエギをつけた様子。信じられないかもしれませんが、これでマダコが釣れちゃうんです
▲これが「両軸受けリール」。親指の下にスイッチがあり、押すと糸を巻く軸が開放されて仕掛けが海中へ落ちていきます。ハンドルを回せば、軸の回転が糸を巻き上げる逆方向に自動でチェンジ!
■今回の釣り場「羽田から横浜・本牧沖へ」
▲出船場所となる多摩川の河口には船宿(船着き場)が数軒並んでいます
続いては釣り場の説明です。釣行日がお盆休み開始となる8月10日(土)ということで、大混雑が予想される堤防を回避。船上からの釣りとなる「船釣り」を選択しました。多くの釣り船屋(船宿)があり、出船からポイント(釣り場)への航路が短い東京大田区・羽田の船宿をチョイス。朝7時半に船着き場から出港します。
▲羽田から移動して横浜方面(本牧沖)に向かいます。写真は途中で下を通過した「鶴見つばさ橋」
ロッドはタコエギ専用のものがあるんですが、専用だけあって購入には勇気を必要とする価格帯(1本7000円~1万円以上)。そこで今回は、アジなど他の釣りでも使える「ライトタックル(LT)用」を用意しました。種類が豊富な上、値段も1本2000円台からと安価なのでオススメです。リールは糸を巻き上げる力が強く、タナ(海中で目的の魚がいる層)を合わせやすい「両軸受けリール」を推奨。
PE3号ラインを150m前後巻ける中~小型サイズを使用します。価格はピンキリですが、5000円前後のもので充分です。ちなみに「PEライン」は極細のポリエチレン素材を編み込んで造られた糸のことで、ナイロン製のラインに比べて細いのに(縦方向に)伸びにくいという特長を備えています。
細いので魚からはラインが見えにくく、またリールに巻ける長さも長くなり、伸びにくい=糸が切れにくいので大物がかかっても安心と、いいことづくめです。技術力すごい。
▲これが「タコエギ」。マダコの好物であるエビや小魚を模した形状になっています
エギはサイズが概ね10cm前後で、模様や色遣い、形状(魚型やエビ型など)がとにかく豊富。潮の状況やポイントに合わせて、ベストマッチの形や色を見極めることが釣果に繋がるため、数や種類を多く持っているほど有利になります。目安は釣り場にもよりますが、根掛かりでのロスト(岩などの障害物に引っ掛かって仕掛けを失う)も考慮に入れて、最低でも5個以上は用意しておいた方がよいでしょう。
ちなみに、フックの形状が違うイカ釣り用のエギ「イカエギ」もありますので、購入の際に間違えないようにご注意を。なぜかというと、使えないこともないんですが、針のサイズと形がタコ釣りには不向きなんです。
■実釣!竿を細かく降ってタコを誘う
▲マダコ釣りは細かく誘う「動の釣り」です
マダコ釣りは、仕掛けが海底に着底してからが大事。竿先を小刻みに動かしてタコエギにアクションを与えるのがポイントになります。そうすることで、マダコがタコエギに対して「餌かな?」とか「何だこれ?」と興味を持ってくれればチャンス。
着底しても動かさなければ寄ってこない、また海底からタコエギを上げ過ぎてしまうとマダコの行動範囲から外れてしまうため、釣れる可能性が限りなくゼロに…。こちらも、やっているうちにすぐに慣れたので問題はナッシングでした。
タコエギを揺らすように、ロッドを上下にコツコツコツ。合間にはちょっと誘いをかけるように、竿先を少しだけ上げてタコエギを浮かす。これを繰り返していると…突然、ギュンと重くなった!
船長「乗った!? そのまま巻いちゃって!」
大型の魚のような前アタリや強い引きは一切なく、いきなりずっしりとした重さだけが伝わるというのが、マダコの釣り味。例えていうなら、投げ釣りで糸を巻いている際にビニール袋が引っ掛かって急に重くなる感触です(わかりずらい)。そして…。
▲マダコキターーー!! ヌメヌメヌメヌメ、グニグニグニグニ…。吸盤の並びが不揃いだとオス、綺麗に並んでいればメスです
うおおお、何だこれ(注:マダコです)。柔らかくてウネウネして…あっ、吸盤の吸い付き力が結構強いぞ。ぶつ切りや寿司ネタではよく見てるけど、実際に生きているマダコを手で掴むのは本日2回目となる“人生初”。今さらですが、外国人がデビルフィッシュというのも納得のウネウネ感です。そしてこの直後に、編集も無事にマダコをゲット!
▲しかもこの後、立て続けに2杯釣り上げました…。何でそんなに上手いんだよ
▲どこがどこだか分からない…。はっきり言ってキモい
マダコは海底の岩場の下でエサが来るのを待つタイプ。ある程度釣ったところで、タコがいそうな別のポイントへ移動します。その度にマダコは釣れるものの、残念ながら小さいサイズばかり。船長の指示で、ほとんどをリリースする羽目に…。1kg級の大きいサイズだと、リールを巻き上げるのさえ苦労するほどの重みになるんだそうです。
▲船で移動中、本牧海釣り施設の横も通りました
この後は風と波が強まる一方で釣りがしづらくなり、肝心のアタリもパタッと来なくなる状況。タコエギの色を変えたり、誘い方を工夫したりといろいろ試してみたんですが、編集ともども大物マダコゲットには至らず。
同乗していた他の釣り客たちも、目立った釣果を上げることができなかった様子でした。実はマダコは資源保護のため1人20杯までという制限があったんですが、結果的にあまり関係なかった。釣れてはいたんですけどねえ。
▲戦い終えて疲労困憊。熱中症に気をつけましょう
そして15時を過ぎたところでタイムアップ。納竿となりました。
■唐揚げでも刺身でもメチャクチャうまい!
さて、釣った魚は最後まで面倒を見るというのが当企画のモットー。しっかり捌いて美味しく頂いちゃいましょー。まずはマダコからレッツ・クッキング! 生のマダコは表面が粘膜でヌルヌル。調理の前に、まずは塩揉みをしてヌルを落とします。
▲新鮮なせいか、ヌメリは意外と簡単に取ることができました
▲2分ほどでキレイに茹で上がりました! 足先がクルンクルンしてます(笑)
▲食べやすいようにブツ切り&スライスしました。このまま刺身でいけます
うう、我慢できん。しょう油に付けて、刺身でさっそく一口…おおお、プリンプリンの弾力なのにプツンプツンと軽やかに噛み切れる!! しかも後から旨味がじんわりと広がってくるぅ~。これはすごい。美味いの前に、まず「すごい」とつぶやいてしまうほどすごい(笑)。
塩茹での段階でこうなら、唐揚げにしたらもっとすごいかもしれないな。
▲ということで唐揚げ。男の料理は茶色が正義!
塩揉みの塩味がちょっと残っていたので下味は付けず、片栗粉をまぶして油の鍋へドボン。固くなりすぎないようにさっと揚げて完成です。ふおおおおおおっ、アツアツのプリプリぃぃぃ! こんな美味しいのを食べちゃったら、居酒屋で注文できなくなるわ。国産で天然、さすがに伊達ではありませんでした。いや参った。
初挑戦の釣りながら、釣り味の楽しさも料理も抜群。ぜひ皆さんも挑戦を! 一見ハードルは高そうに見えますが、やってみれば思った以上に簡単。9月以降は出船が終わってしまうかもしれませんので、釣行はお早めにどうぞ。
(取材・文/河西まさあき)
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