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2.4リッター版スバル「レヴォーグ」は体感的な加速と速さ、そして乗りやすさが抜群です

&GP / 2021年12月20日 7時0分

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2.4リッター版スバル「レヴォーグ」は体感的な加速と速さ、そして乗りやすさが抜群です

2020年10月のフルモデルチェンジで2代目へと進化したスバルのスポーツワゴン「レヴォーグ」のラインナップに、先頃2.4リッターのターボエンジンが加わった。

初代に設定された2リッターターボと比べてパワー、トルクともにスペックダウンしているものの、体感的な加速や速さ、そして乗りやすさがハイレベル。より上質な走りを身につけたレヴォーグ2.4リッター版の実力をサーキットで確かめた。

■現行レヴォーグ登場時からのモヤモヤが晴れた

2020年秋のフルモデルチェンジで2代目となったスバル「レヴォーグ」。実はその発表以来、気になっていることがあった。

初代のエンジンは排気量1.6リッターと2リッターの2本立てだったが、2代目の設定は1.8リッターだけ。「効率化のためにバランスに優れる1.8リッターにまとめたんだな」と筆者は解釈したものの、スバルの資料を見てみると「1.6リッターに対して出力が向上」とか「1.6リッターに対して燃費が向上」と書いてあり、「現行モデルの比較対象に先代の2リッターが全く入っていないのはどういうことか?」と、なんとなくモヤモヤしていた。

4WDについても同様だ。現行モデルは“アクティブトルクスプリットAWD”と呼ばれるシステムだが、これは初代の1.6リッターに組み合わされていたもの。初代2リッターに搭載され、より走りに特化した“VTD-AWD(不等&可変トルク配分電子制御AWD)”の設定がないのも気になっていた。

そんな印象をスバルに詳しい同業者に伝えたところ、「追って、高性能仕様が追加されるようだ」との回答が。なるほど、それなら初代の2リッター車に乗っていたオーナーも納得するに違いない…と納得したことを、新たに2.4リッターエンジンを搭載したレヴォーグを前にして思い出した。

■エンジンだけでなく4駆メカやギヤボックスも変更

フルモデルチェンジから1年遅れで追加された2.4リッターエンジン搭載のレヴォーグは、グレード名に「STIスポーツ R」を冠する高性能モデル。その最大のポイントは、なんといってもエンジンだ。排気量2.4リッターの水平対向4気筒ターボで、最高出力は275馬力を発生。また4WDシステムも、先代の高性能モデルと同様、VTD-AWDを採用し、これまでの1.8リッター車に比べてコーナリング性能を高めている。

さらにSTIスポーツ Rは、トランスミッションも刷新された。従来の“リニアトロニック”と同様、CVTであることに変わりはないものの、名称を“スバルパフォーマンストランスミッション”へと変更。中身に目を向けてもリニアトロニックとの違いは大きく、1.8リッター車と比べてトルク容量が大きいタイプのユニットをベースとするなど、トランスミッション自体が別物になっている。また、駆動力をタイヤへ伝えるダイレクト感や、スポーツ走行時(走行モードを「S」や「S#」にすると切り替わる)の8段変速モードにおける変速スピードなど、キレのいいフィーリングも身につけている。

キレがいい、といえば、サスペンションには1.8リッターの「STIスポーツ」と同じZF製の電子制御減衰力可変ダンパーを組み込むが、その制御には2.4リッター専用のチューニングが与えられる。その結果、減衰力の変更幅(ダンパーが柔らかい状態から硬い状態への変化幅)が、1.8リッター車よりも拡大しているのも見逃せない。つまり、エンジンや駆動系といった走りをつかさどるメカニズムのすべてが、2.4リッター版は1.8リッター車よりハイレベルとなっているのだ。

一方、内外装のデザインや仕立ては、1.8リッターのSTIスポーツに準じている。

エクステリアは、18インチタイヤにSTIスポーツ系専用デザインのアルミホイールを組み合わせているほか、ダークグレーシリカに塗装されたフロントグリル、メッキの飾りが入ったフロントバンパー、STIスポーツであることをさりげなく主張する“STI”エンブレムなどが装備される。

対するインテリアは、ボルドーのレザーシートと赤いステッチによる専用のコーディネートを採用。これ見よがしのスポーティ感ではなく、大人の落ち着きを感じさせる雰囲気に仕上がっている。また、さりげない差別化だが、ドアポケットの内側にまでフェルトを張り、見た目と静粛性向上の両面から高級感をプラスしているのもSTIスポーツ系だけの演出だ。

こうした各部の仕上げからも、2.4リッターエンジンを搭載するSTIスポーツ Rは単にスポーティなだけでなく、上質さも兼ね備えた大人のスポーティ仕様だということが分かる。

■スペックダウンを感じさせない体感的な速さ

このように、見た目における1.8リッター版STIスポーツとの差はほぼないことから、2.4リッター版は見た目よりも走りを求める人をターゲットとした仕様であることは一目瞭然。となると、俄然、気になるのは走りの完成度だ。

今回、用意された試乗ステージはサーキットだった。ステーションワゴンでサーキット?…と思う人もいるかもしれないが、新しいレヴォーグの2.4リッターモデルは、バリバリのスポーツセダンである「WRX S4」と基本メカを共用する“鍛え抜かれたワゴン”。そのため、サーキット走行も存分に楽しめる(というか、1.8リッター版でも走りのレベルは十分高い)。むしろステーションワゴンは、昨今のトレンドであるSUVに比べて重心位置が低い分、極限領域での走行性能が高く、それこそがSUVに対するワゴン最大のアピールポイントであるといってもいい。いまや上級ワゴンは走りを抜きには語れないのだ。

というわけで、期待を胸に2.4リッターSTIスポーツ Rでコースインする。まず実感したのは、1.8リッター版に比べて明らかに速い。ということ。排気量が3割アップしているので当然といえば当然だが、ピットレーンをスタートしてコースインし、ひとつ目のコーナーへと進入する時点で、両車の違いは鮮明なものとなる。その段階ではクルマの感覚を探るためもあってアクセル全開ではなく、7割ほど踏んだ程度だったが、それでも加速の違いを実感できるほど、2.4リッター版は中間域でのトルクが強力になっている。

何を隠そう、日常的なシーンやワインディングロードを走る際の心地良い加速は、この中間域でのトルクがものをいう。2.4リッター版はその領域での手応えがかなり良いため、乗りやすいのと同時に相当な“体感的な速さ”を得ている。

とはいえ一部の好事家は、新しい2.4リッターエンジンに一抹の不満を抱いているはずだ。「初代の2リッターモデルは最高出力が300馬力だったのに、新しい2.4リッター版は275馬力にスペックダウンしているじゃないか」と。確かにその気持ちはよく分かる。しかも、最大トルクが高まっていれば「トルクが厚くなっているから」という話になるが、スペックを見てみると、ピークトルクも2リッター時代に比べて6%ほど低くなっている(発生回転域は同じ)。となれば、不満が生じるのは当然だ。

だからこそ、スバルの開発陣は踏ん張った。新しい2.4リッターエンジンのアクセルペダルを踏み込んだ際の加速度は、最初のわずかな領域とパワーがものをいう最後のゾーンこそ初代の2リッターエンジンにかなわないものの、中間領域においては2リッターモデル以上の加速度を達成している。例えば、約70km/hからアクセルペダルを踏み込んだ際、加速度が0.5Gに到達するまでの時間は、2リッターエンジンのそれより3割も短縮。これが“体感的な速さ”に直結していることが、ドライブしてみるとよく分かる。電子制御によって過給圧をコントロールすることで素早いレスポンスを実現したターボや、制御を刷新したトランスミッションなどにより、鋭い加速を身につけたのだ。

■2.4リッター版は誰でも速くスムーズに運転できる

そんな2.4リッター版レヴォーグが、1.8リッターモデルに対して明確なアドバンテージを握っているのがコーナリング性能だ。もちろん1.8リッターモデルもハイレベルだが、エンジンからの駆動力を後輪側へより多く配分できるVTD-AWDを搭載する2.4リッターモデルは、ドライバビリティという物差しで見た時の性能レベルが格段に高い。

コーナリング中にアクセルペダルを踏み込んだ際のクルマの挙動が、スーッと曲がりつつリアタイヤで大地を蹴る感覚が心地いい後輪駆動車のそれに近く、操る楽しさが増している。単に速いだけでなくこうしたドライバビリティの向上が、2.4リッターモデルの魅力といえるだろう。

初代の2リッターモデルと比較すると、確かにサーキットにおける一発のタイムアタックなら、初代の方が速い可能性もあるだろう。しかし、エンジンだけでなく操縦性を含めたトータル性能においては、断然、新しい2.4リッターモデルに軍配が上がる。新しい2.4リッターモデルはサスペンションの接地性がとにかく高く、コーナリング時の姿勢が安定していて乗りやすい。誰でも速くスムーズに運転できるのは、間違いなく新しい2.4リッターモデルだ。

今、日本市場ではステーションワゴンの選択肢がどんどん減っている。しかし、荷物をたくさん積める上に走行性能もハイレベルなワゴンに魅力を感じている人はまだまだ多い。スポーツセダン=WRX S4の血も受け継ぐレヴォーグの2.4リッターモデルは、まさにそんな人にジャストフィットする1台。いうなれば、ワゴンのカタチをした高性能スポーツカーといえるだろう。

ちなみにレヴォーグの2.4リッター版には、1.8リッターモデルと同様、渋滞時(約50km/h以下)のハンズオフ(手放し運転)を可能とする“アイサイトX”搭載のグレード「STIスポーツ R EX」も設定。混雑した高速道路を走る機会が多いという人には、こちらを強くお勧めする。

<SPECIFICATIONS>
☆STIスポーツ R EX
ボディサイズ:L4755×W1795×H1500mm
車重:1630kg
駆動方式:4WD
エンジン:2387cc 水平対向4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:CVT
最高出力:275馬力/5600回転
最大トルク:38.2kgf-m/2000〜4800回転
価格:477万4000円

>>スバル「レヴォーグ」

文/工藤貴宏

工藤貴宏|自動車専門誌の編集部員として活動後、フリーランスの自動車ライターとして独立。使い勝手やバイヤーズガイドを軸とする新車の紹介・解説を得意とし、『&GP』を始め、幅広いWebメディアや雑誌に寄稿している。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

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