25万円超だけどその価値あり!「Google Pixel 9 Pro Fold」は“開くと大画面になるスマホ”です
&GP / 2024年9月4日 6時0分
25万円超だけどその価値あり!「Google Pixel 9 Pro Fold」は“開くと大画面になるスマホ”です
グーグル製の折りたたみ式スマートフォン「Google Pixel 9 Pro Fold」が9月4日に発売されます。Googleストアでの価格は256GBモデルが25万7500円、512GBモデルが27万7500円となっています。8月14日に予約が始まり、数日で「在庫切れ」となり、この記事を執筆している9月3日現在も予約できない状態が続いています。売れ行きは好調のようです。
▲Google Pixel 9 Pro Fold。閉じた状態では一般的なスマホと同じように見える
▲開くと8インチの大画面を利用できる
なお、ドコモ、au、ソフトバンクも取り扱っていて、各オンラインショップでは予約可能。ただし、端末価格はGoogleストアよりも高く設定されています。各キャリアは次の機種変更時に端末を返却することを条件に、実質負担金を安く抑えられるサービスを提供しています。1日でも早く手に入れたい人や購入費を抑えたい人はキャリアでの購入を検討するといいでしょう。
筆者はグーグルから発売前に端末を借りて、いち早く使ってみることができました。Pixel 9 Pro Foldは買って損はないのか否か? 正直にレビューしたいと思います。
■折りたたんでも10.5mm。フツーのスマホのように片手で操作できる
Pixel 9 Pro Foldは、グーグルが2023年7月に発売した初の折りたたみ式スマホ「Google Pixel Fold」の後継モデルです。前モデルは、同時期に発売されたPixel 8シリーズには含まれず、1世代前のプロセッサーが搭載されていました。新モデルのPixel 9 Pro Foldは、プロセッサーに最新の「Google Tensor G4」を搭載し、基本性能はPixel 9シリーズの他の3モデルと肩を並べています。RAMも前モデルの12GBから16GBへと増えているので、ハイエンドモデルと呼んで差し支えないでしょう。
▲左が前モデルの Pixel Fold、右が新しいPixel 9 Pro Fold
▲内側ディスプレイのアスペクト比も変わった
前モデルからの最大の変更点はデザイン。Pixel Foldは折りたたみ時は5.8インチ画面、開くと7.6インチ画面を使えました。新型のPixel 9 Pro Foldは折りたたみ時は6.3インチ、開くと8インチの大画面を利用できます。ただ広くなっただけでなく、折りたたみ時に使う外側ディスプレイの縦横比が20:9になり、フツーのスマホと同じように操作できるようになっています。
Pixel 9 Pro Foldの折りたたみ時の厚さはわずか10.5mm、開いた状態では5.1mmで、これ以上細くしたら、USB接続口やSIMスロットが搭載できないのでは? と思うほどの細さです。
▲開いた状態の薄さはわずか5.1mm。ライバルのGalaxy Z Fold 6の薄さは5.6mmなので、国内の折りたたみ式スマホで最薄と言って差し支えないだろう
重さも前モデルの283gから257gへと軽くなり、電話やLINE、SNSなどは、片手でサクサクと操作できそうです。なお、指紋センサーは右側面の電源ボタンに搭載されています。スマホを左手で持つ人には、やや使いづらいので、顔認証を使ったほうがいいかもしれません。
▲右側面に電源ボタンと音量ボタンを搭載。電源ボタンは指紋センサーを兼ねる
▲上部にはスピーカーとマイク。ほとんど隙間なく折りたためる
▲下部にはUSB Type-Cポート、nanoSIMスロット、スピーカー、マイクを搭載
カラバリはPorcelain(白)とObsidian(黒)の2色。背面パネルはマット仕上げでサラサラとした質感です。前モデルのPixel Foldでは3眼カメラが横に並ぶデザインでしたが、広角、超広角、望遠の3眼にAF用のセンサーを加えた4つが2列に並ぶデザインに変更。かなり出っ張りが目立つデザインですが、純正ケース(7920円)を装着することで、出っ張り感を緩和できます。
▲カラバリは2色
▲カメラ部はかなり出っ張っている
▲純正のケースを付けると、出っ張りはさほど気にならなくなる
ヒンジは前モデルと同じ鏡面仕上げですが、「多相合金スチール」だったのが「航空宇宙グレードの強化アルミニウム合金カバーを備えた多相合金スチール」なるものへと進化。前モデルよりも楽に開閉できるようになり、軽めの引力でパタンと完全に閉じられる感覚もあり、使い勝手は大きく向上しています。
▲左が前モデルのPixel Fold、右が新しいPixel 9 Pro Fold。ヒンジもスリムになった
▲前モデルよりも、滑らかに開閉できるようになった
■開くとスマホ2台分の大画面スクリーンを使える
▲8インチの有機ELディスプレイはWebも見やすい
開いた状態で使う内側ディスプレイは8インチで、解像度は2076×2152ドット。前モデルは7.6インチ(1804×2208ドット)の横に長い画面でしたが、Pixel 9 Pro Foldは正方形に近いサイズになっています。どちらのほうが使いやすいとは一概には言えませんが、Pixel 9 Pro Foldは縦向きと横向きを気にせずに、どちら向きでもほぼ同じように使えることはメリットと言えるでしょう。
▲アプリによっては、大画面に最適化された表示になる。これは「YouTube Music」の画面
▲自動文字起こしが可能な「レコーダー」は、録音レベルと文字起こしを同時に表示可能
画面を分割にして2つのアプリを使う場合も、フツーのスマホを2台並べたように使えるので、違和感なく使えます。
▲画面下を上方向にスワイプするとアプリのメニューが表示
▲アイコンをドラッグすると、画面が分割される
▲マルチウィンドウにすると、ちょうどスマホ2台分の画面になる。中央線をドラッグすると、2つのアプリの表示エリアを調整できる
Pixel 9 Pro Foldは途中まで開いたデスクトップスタイルで使えることも利点。カメラを起動すると、上にプレビュー、下に操作パネルが表示され、容易に自由なアングルで撮影することが可能。「Google Meet」などオンラインミーティングにもハンズフリーで参加できます。
▲デスクトップスタイルで「YouTube」動画を再生すると、下に操作パネルが表示される
▲三脚がなくても自由なアングルで撮影可能
また、「Google翻訳」を使う際に、翻訳結果を外側ディスプレイに表示するといった使い方もできます。
▲「Google翻訳」アプリを使って外国人と話すときにも重宝
▲翻訳結果を外側ディスプレイに表示できる
■トリプルカメラをフレキシブルに使えるのも魅力
外側カメラは広角(48メガピクセル/F値1.7)+超広角(10.5メガピクセル/F値2.2)+望遠(10.5メガピクセル/F値3.1)という構成。
超広角カメラはマクロ撮影に対応。望遠カメラは光学3倍で、画質劣化が補正される超解像ズームは最大20倍まで撮影できます。ハイエンドモデルとして十分な性能を備えていますが、超広角や望遠にも48メガピクセルの高画素カメラを採用するPixel 9 Pro/9 Pro XLには劣ります。と言っても、実際には、下に掲載した作例のように、明るく鮮やかな色で写るので、普段使いで不満を感じることはないでしょう。
▲超広角(0.5倍)で撮影
▲広角(1倍)で撮影。4つの画素を1つの大きな画素として使って、明るく撮影できる
▲広角(2倍)で撮影。48メガピクセルのうちの12メガピクセルを使って、光学2倍ズーム相当の画質で写せる
▲望遠(3倍)で撮影
▲デジタルズームを組み合わせた超解像ズームは最大20倍で撮影可能。画質劣化はさほど気にならない
▲室内で撮影した作例。料理も美味しそうに写った
▲カメラ専用機のような細かい設定やRAWでの保存ができたりする「プロモード」にも対応
▲Pixel 9 Pro/9 Pro XLと同じように、クラウドで動画を高画質化する「動画ブースト」と「ビデオ夜景モード」にも対応
折りたたみ式の構造を生かして、外側カメラでセルフィーを撮ることも可能。また、撮影時に2つのディスプレイを使って、被写体となる人が外側ディスプレイで写り具合を確認することもできます。外側ディスプレイにアニメを表示して、被写体の目を引く「こっちを見て」という新機能も追加されています。
▲外側カメラと外側ディスプレイを使った撮影が可能
▲「こっちを見て」をオンにすると、このようなアニメが表示される。アニメは4種類から選べる
なお、試用中には撮影する機会がなかったのですが、Pixel 9シリーズの他の機種と同じように「一緒に写る」機能も搭載されています。複数人でグループ写真を撮る場合に、まず撮影者以外を撮影して、次に撮影者を交代して撮影すると、全員が写った写真が合成される仕組み。ですが、Pixel 9 Pro Foldは外側カメラでもグループセルフィーが撮りやすく、タイマーの設定できるので、「一緒に写る」を活用する機会はそんなにないかもしれません。
■グーグル激推しのAI機能も大画面で満喫できる
Pixel 9シリーズに共通するAIの機能も、もれなく使えます。グーグルの生成AI「Gemini」がプリインストールされていて、電源ボタンの長押しで起動可能。話しかけたり、テキストを入力したりして、知りたいことを調べられます。冷蔵庫にある食材を撮影して、それらで作れるレシピを調べたり、外出先で見た気になる物を買える場所を調べたりもできますよ。
▲気になる物を買える場所を素早く調べることができる。しかも、かなり詳しい結果が得られる
AIを用いた画像編集も楽しめます。Pixel 9シリーズから対応した「編集マジック」の「オートフレーム」は、Pixel 9 Pro Foldでは大画面で編集しやすいことが利点。編集したい範囲を指定して、背景を変えたり、物体を追加したりできる「イマジネーション」も画面が大きい分だけ、楽しさが増すように感じました。
▲「フォト」で背景がさびしい写真を選択して、「編集」→「編集マジック」→「オートフレーム」を選択
▲背景が拡張された4つの画像が生成される
▲さらに、写真の空の部分を指定して「イマジネーション」を選択し、「青空」と入力してみた
▲空がナチュラルに青くなった
▲「イマジネーション」は、写真に物体を追加することも可能。ここでは海に船を浮かべるように指定した
▲実際に存在するかのように船が追加された
■大画面と操作性の両方を求める人への最適解
筆者がPixel 9 Pro Foldを使い始めて5日目。まだ、十分に使いこなしているとは言えませんが、ひと通りの機能を試してみて、前モデルから使い勝手が大きく向上したように感じています。
なんと言っても閉じた状態での操作性が快適。前モデルのPixel Foldは折りたたんでも両手での操作が強いられましたが、Pixel 9 Pro Foldはほとんどの操作は片手でこなせます。前モデルが「タブレットを畳んで持ち歩ける」という印象だったのが、新モデルは「スマホを開くと大画面になる」という印象。しょっちゅうパカパカと開くのではなく、本当に大画面が必要なときにだけ開くようになりました。初めて折りたたみ式スマホを使う人でも、違和感なく使い始められること請け合いです。
▲左がPixel 9 Pro Fold、右がPixel 9 Pro。折りたたみ時のサイズ感は、スタンダードタイプのスマホと同等だ
前モデルから継承する利点として、スピーカーの音質も上げられます。スマホの内蔵スピーカーとしては上々の音質で、しかもかなりボリュームを大きくできます。大画面でYouTubeやサブスクの映画を観たりする際に、フツーのスマホよりも没入感が得られるように感じています。バッテリーも1日は余裕で持ちそうです。
スマホで動画を見たり、ゲームをしたりするので大画面が理想。だけど、大画面スマホは横幅が太くて操作しづらい…。Pixel 9 Pro Foldは、そんなジレンマに陥っていた人には格好の選択肢になるでしょう。
>> Googleストア
<取材・文/村元正剛(ゴーズ)>
村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
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