最近の通信プランはどんな特徴・傾向があるの?|スマホ料金節約大作戦【前編】
&GP / 2025年1月1日 21時0分
最近の通信プランはどんな特徴・傾向があるの?|スマホ料金節約大作戦【前編】
今年こそ、通信料を、安くする。
外出自粛期間が明けてから外を歩く頻度も徐々に増えていき、それまでの小容量プランではすぐ足りなくなってしまうから…、と何となく各社の通信し放題プランを契約した方も少なくないはず。しかし、それがベストなチョイスなのか、改めて考えていきましょう。
例えば、毎月の維持費が1000円減るとすると、1年では1万2000円が浮きます。それが4人家族にもなれば、差分は1万2000円/人 × 4人 = 4万8000円に。家族単位、かつ数年間のスパンで考えたときには、一見少額の変化でも、通信費の節約効果は意外と大きくなりやすいものです。
本稿では、前編として(1)前提として抑えておきたい基礎用語と、(2)最近の通信プランのトレンド、の2点についておさらいし、簡易的な理論武装をしましょう。
その後、後編としては具体的な仮想のケースを想定しつつ、どのプランに変更すると、いくら節約でき、どのような注意点があるのかを検討していきます。
1)前提として抑えておきたい基礎用語
通信プランを調べ出すと、どうしても専門用語が出てきてしまうため、詳しくない方は混乱しがちです。まずは関連情報を読み解くために必要な、通信関連の基礎用語をおさらいします。
まず理解しておきたいのが、通信事業者には「MNO(エムエヌオー)」と「MVNO(エムブイエムオー)」の2種類があるということ。
▲最も大きい分類では「MNO」(大手キャリア)と「MVNO」(格安SIM)の2種類になる(※図は筆者作成)
MNOとは、Mobile Network Operator(移動体通信事業者)の略で、総務省から使用できる周波数帯を割り当てられており、自社で通信網を所有している事業者のことを指します。これに当てはまるのがいわゆる「大手キャリア」と呼ばれてきたNTTドコモ、au、ソフトバンクの3社に、2019年からMNOに加わった楽天モバイルを合わせた計4社が該当します。
一方のMVNOとは、Mobile Virtual Network Operator(仮想移動体通信事業者)の略称で、“仮想”と名に付く通り、MNOから通信網の一部を借り受けてサービスを提供している事業者のことです。なお、一般的に、MVNOが提供する通信プランのことは、「格安SIM」や「格安スマホ」などとも呼ばれます。ちなみに、SIM(シム)とは、通信プランの利用に必要なICカードのことです。
そして昨今は、さらにMNOが提供する選択肢がさらに3つの種類に分かれるようになったことで、より全体像が複雑になりました。具体的には、メインブランド、サブブランド、オンライン専用ブランドのように分かれます。
▲昨今は、MNOのプランも「メインブランド」「サブブランド」「オンライン専用ブランド」に分かれるため、全体像はより複雑になる(※図は筆者作成)
メインブランドの通信プランは、その事業者が昔から提供している主力の通信プランです。例えば、KDDIでは「au」として展開されている通信プランがこれに相当します。
サブブランドの通信プランは、その事業者や関連企業などが提供しているより安価な通信プランです。例えば、KDDIは「UQ mobile(ユーキューモバイル)」を展開しています。
オンライン通信ブランドは、オンライン手続きでの契約等を前提にその事業者が店舗サポートや一部のサービスを対象外にすることで、割安に提供している通信プランのことを指します。一般には「オンライン専用プラン」と呼称しますが、厳密にプランではないことも多いので、ここではオンライン専用ブランドと呼称します。例えば、KDDIで提供されている「povo(ポヴォ)」などがこれに当たります。
こうした分類を具体的なブランド名で整理すると、以下のように複雑な構造になります。
▲MVNO(メイン/サブ/オンライン専用)とMVNOという構造が俯瞰できると、どこからどこに移るのか考えやすくなる。さらに数多くのMVNOが膨大な数の通信プランを提供しており、市場にある選択肢はとんでもない数になる(※表組は筆者作成)
しかも、こうしたそれぞれのブランドのなかで、複数の通信プランが提供されている状況です。
こうした全体像を覚えること自体は重要ではありませんが、もしこれを俯瞰できれば、通信プランの比較検討をする際に、「今、自分が何を調べて、何と何を比較しているのか」を把握できるようになり、冷静な判断・決断がしやすくなるでしょう。
2)最近の通信プランのトレンド
ここからは、最近提供されるようになった、あるいは変更があった通信プランに関する重要なトレンドをふたつチェックしていきます。
1つ目は、MNOのメインブランドを中心に、ポイント還元を前提とした“ポイ活ガチ勢向けプラン”とでも言うべき選択肢が多くなっており、ある意味ユーザー視点ではお得になるかどうかの計算が面倒になったこと。
NTTドコモではメインブランドの「eximoポイ活」、オンライン通信ブランドの「ahamoポイ活」が、auでは「auマネ活プラン+」、ソフトバンクでは「ペイトク」というプランがそれぞれ提供されています。詳細の条件が細かいので、きっちり分析しなくてはなりません。
▲NTTドコモ「eximoポイ活」プランの公式サイトより。割引やポイント還元を最大限活かせる場合の料金の実質負担額のイメージ
2つ目はNTTドコモの「ahamo」が9月にデータ通信量を20GB→30GBに増量したことを受けて、いくつかのMNOのサブブランド・オンライン専用ブランドが30GB化を果たしていること。
例えば、NTTドコモが展開するahamoでは、月額料金が2970円を維持したまま、利用できるデータ通信量が月30GBに増えました。テザリングや、海外データ通信の上限も同じく30GBまで増えています。
また、これに追従するように、KDDIのUQ mobile「コミコミプラン+」と、ソフトバンクのワイモバイル「シンプル2 M」も月30GBが使えるように刷新されています。さらに、こうした動きのなかで、MVNOが提供する格安SIMの通信プランも相場が変動しており、割安な料金を実現するうえでは見逃せない選択肢となっています。
▲ワイモバイルの公式サイトより、2025年1月1日から「シンプル2 M」の通信量が30GBに増えている。同プランは、通話し放題のオプションも込みなのが重要。さらに割引をフル活用すると月2178円での運用も可能だ
* * *
こうした傾向を踏まえると、(1)各社のポイント還元を前提として実質負担額でお得な運用を検討するか、(2)月30GB化したサブブランド・オンライン通信ブランドへ乗り換えて月額料金そのものを抑えるか、(3)格安SIMを検討候補に入れるか、という3択が特に重要になってくるでしょう。
▲まず検討すべき3つの選択肢(※図は筆者作成)
具体的な乗り換え例についての計算は、後編でお届けします。
<文/井上 晃>
井上 晃|スマートフォンやタブレットを軸に、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌に、速報、レビュー、コラムなどを寄稿する。X
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