ムハの装飾は必見!プラハの市民会館でアールヌーヴォーの世界に酔いしれる
GOTRIP! / 2017年2月16日 5時30分
「建築博物館」とも呼ばれるほど、さまざまな様式の華麗な建築物が並ぶ都、プラハ。プラハの街を代表する、世界的にも名高いアールヌーヴォー様式の建築物が「市民会館」です。
旧市街の入口となる火薬塔のすぐ近くに建つ市民会館は、1912年に完成した壮麗なアールヌーヴォー建築。「アールヌーヴォー」とは、フランス語で「新しい芸術」の意味。
19世紀末から20世紀初めにかけて、ヨーロッパで盛んになった美術運動で、花や植物などのモチーフや、自由な曲線の組み合わせといった、従来の様式にとらわれない装飾性に特徴があります。
クリームイエローの優雅な外観は、まるで宮殿か5ツ星ホテルかのよう。この市民会館が建設された当時、チェコはオーストリア=ハンガリー二重帝国に属していました。チェコ人たちに、自らのアイデンティティを自覚させ、鼓舞するために、チェコの文化を象徴する壮大な市民会館の建設が計画されたのです。
市民会館内部は、ガイドツアーに参加して見学します。市民会館のホームページでガイドツアーを予約することもできますし、空きがあればツアー開始直前に窓口でチケットを購入することも可能。いずれにしても、ホームページであらかじめガイドツアーのスケジュールを確認しておくことをおすすめします。
館内に入ると目に入るのが、迫力のある大階段が備わった玄関ホール。内部の部屋を見学する前から、館内の美しさに圧倒されます。
・スメタナ・ホール
プラハ市民会館のハイライトのひとつが、プラハの春国際音楽祭のメイン会場となる「スメタナ・ホール」。チェコの国民的作曲家、べドジフ・スメタナにちなんで名づけられたホールで、プラハ交響楽団の本拠地でもあります。
この部屋で最も注目すべきが、ステージ上にあるパイプオルガン。
4814本ものパイプからなる世界最大級のオルガンで、毎年夏に開催される国際オルガンフェスティバルでは、世界中から選ばれしオルガン奏者たちが集まります。
中央の天井には、色ガラスと装飾格子からなる採光窓があり、ホール全体を色と光の幻想的な空間に仕立て上げています。
・オリエンタル・サロン
アールヌーヴォーと、東洋の様式が見事に調和した興味深い部屋。おもにチェスやカードなどのゲームを楽しむための空間として造られました。
市民会館ができた当時、ヨーロッパでは東洋趣味が流行していたため、アナトリア美術にインスピレーションを受けたデザインが施されたのです。
壁面の木材部分や調度品には繊細な彫刻が施され、なんともエレガント。カラフルなイスラム風の装飾が、美しいアクセントを加えています。
・グレーグル・ホール
19世紀のチェコにおける重要な政治家、ユーリ・グレーグルにちなんで名づけられた部屋で、パーティーや社交のための会長として造られました。
・市長のホール
プラハ市民会館の目玉が「市長のホール」。チェコを代表する芸術家、アルフォンス・ムハ(ミュシャ)がすべての装飾を手掛けた部屋として名高く、ムハのファンならずとも必見。
壁と天井は、スラブ民族の団結をテーマにした絵画で覆われていて、天井画「スラブの団結」には、スラブの人々の営みと、人々を守る鷲が描かれています。
壁を飾る3つの壁画は、それぞれ過去、現在、未来を表しており、チェコ人が歩んできた暗い歴史と、これから訪れる明るい未来への想いが込められています。
窓にはロマンティックなステンドグラスがあしらわれ、ホールに全体に神秘的なムードを演出しています。
さらに、カーテンには鮮やかなクジャクの刺繍が。
細部に至るまで、ムハ独特の美しく幻想的な芸術で彩られた空間は、「ムハ・ワールド」全開。いつまでも眺めていたくなってしまいます。
祖国を離れて暮らしていたムハですが、チェコへの愛国心はひときわ強く、市民会館のデザイン、制作はまったくの無償で引き受けたのだとか。
当時のチェコにおける第一級の画家や彫刻家が生み出した芸術品で埋め尽くされたプラハの市民会館。その華麗なる世界は、感嘆のため息なしには見られません。
あなたも、プラハが世界に誇るアールヌーヴォー建築の目撃者になってみませんか。
Post: GoTrip! http://gotrip.jp/ 旅に行きたくなるメディア
プラハ市民会館
住所 nám. Republiky 5, 111 21 Praha 1-Staré Město
電話 +420 222 002 107
公式サイト http://www.obecnidum.cz/en/
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