20年名作ドラマを支えた老舗の味 羽田美智子さんの「並んでも食べたい」和スイーツ
HALMEK up / 2025年1月15日 21時0分
数々のドラマシリーズに出演するなど、俳優として第一線で活躍し続ける羽田美智子さん。そんな羽田さんの心を動かすのは、作り手の愛情や想いが感じられるもの。手土産でもそうした味を大切にしているそう。中でも、心に残る“とっておき”の味があるそうで……。
羽田美智子さんプロフィール
1968年生まれ。茨城県出身。94年公開の映画「RAMPO」でヒロイン役に抜擢され、日本アカデミー賞で新人俳優賞を受賞。以後、映画やドラマ、紀行番組など幅広く出演。主な出演作に「サラリーマン金太郎」シリーズ、「特捜9」シリーズ、「おかしな刑事」シリーズなどがある。また2019年には実家の屋号を継承したオンラインセレクトショップ「羽田甚商店」をオープン。食品や衣類、スキンケア商品など、自身が心を動かされた本当にいいものだけを厳選して紹介している。
ドラマに欠かせなかった昭和レトロな風情の和菓子店
誰もがホッとするやさしい笑顔と、穏やかな雰囲気が魅力の羽田美智子さん。俳優としてはもちろん、旅番組のナビゲーターとしても活躍。日本各地のおいしいものに触れてきました。
そんな羽田さんが心惹かれるのは、作り手の愛が感じられる味。中でも、ホッとする空気感をまとったものに目がないそうです。
今回紹介してくれた“とっておき”も、そんな温かな愛が詰まった和菓子。出合いは20年以上前にさかのぼります。
「下町を舞台にした人情ミステリードラマ『おかしな刑事』の撮影で食べたのが最初の出合い。20年続いたシリーズ作品なので、父親役の伊東四朗さんと毎年一緒に食べた思い出の味でもあります」
写真提供:羽田美智子さん
伊東さん演じるたたき上げの刑事と、羽田さん演じるエリート警視という、凸凹父娘コンビの活躍を描く「おかしな刑事」。作中、そんな親子が語り合うシーンに欠かせなかったのが、昔懐かしい雰囲気の和菓子店で一緒に食べるお団子です。
「事件を解決していく刑事ドラマの中で、お団子を手に親子で語り合う場面は、事件解決の糸口をつかむ上でも、物語の中で鍵を握るシーンとしても重要でした。そして何より、このお店の看板娘のおばあちゃんのことが、私も伊東さんも大好きで。ここのお団子を食べると、ニコニコしたおばあちゃんのやさしい笑顔や声を思い出します」
お団子を囲んで他愛もないおしゃべり
羽田さんは、このお店のおばあちゃんとの思い出をこう振り返ります。
「毎年、ドラマの撮影でお店に伺うと、おばあちゃんが満面の笑みで『また来てくれてうれしい、うれしい』って出迎えてくれるんです。そして毎年、『今年は88歳になりました』『89歳になりました』ってお歳を教えてくれるんです」
そんな、看板娘のおばあちゃんが居たのが、東京都北区の 平塚神社参道入口にある和菓子処「平塚亭つるをか」です。撮影のたびにおばあちゃんが「どうぞ」と手渡してくれていたのが、出来立てのみたらし団子。モチモチとした柔らかい団子と、甘じょっぱい餡がかかったみたらし団子は、このお店の看板商品です。
「ここのお団子の白くてフワフワ、モチモチした感じも、みたらし餡のやさしい甘さも、おばあちゃんの雰囲気にすごく重なるんですよ。おばあちゃんのかわいらしくて柔らかな人柄がそのまま形になったようなお団子です」
撮影の合間はいつも、羽田さんと伊東さん、そしておばあちゃんの3人で、みたらし団子を囲んで他愛もないおしゃべりをしたのだとか。当時を振り返りながら羽田さんは、「伊東さんとおばあちゃんが『年をとったけれど、お互いがんばりましょうね!』と励まし合ったりしていて。心が和む温かい時間でした」と微笑みます。
「おばあちゃんが帰り際にいつも『来年もまた来てくださいね。それまで私も元気でいますから』って言ってくれて、それに私が『また来年ね!』と答えてお別れをするんです。今思えば、おばあちゃんががんばっておられる姿に、私も励まされていたんですよね」
毎年繰り返されていた、再会の約束。しかし、ある年……。撮影で訪れた平塚亭に、おばあちゃんの姿はありませんでした。
「亡くなる直前まで、看板娘としてお店に立っていたそうです。その日は撮影が終わった後、近くでお花屋さんを探してお店に戻り、おばあちゃんに花を手向けてお別れをしました」
「でもね、おばあちゃんにそっくりな息子さんと娘さんが、お店を継いでいらして」と続ける羽田さん。
「おばあちゃんがいたときとおんなじ、ふっくら甘いみたらし団子を作ってくれています。だからひと口食べると、あのやさしい笑顔を思い出せるんです」
並んででも食べたい!たまらず頬ばることも
プライベートでも平塚亭をよく訪れるようになった羽田さん。平塚亭は行列ができる人気店としても知られますが、羽田さんはみたらし団子のためなら列に並ぶことも厭いません。
「列に並んで買い物をしていると、『おかしな刑事を見て来たんです!』と声をかけてくださる方も。ドラマはフィクションですが、そんなふうに喜んでいただけると、伊東さんと私の“父娘”が本当にここで生きているような気持ちになってうれしくなります」
みたらし団子はもともと、五体(人の体)をあらわす厄除けのお供え物。それを知る羽田さんは、必ず平塚神社を参拝してからお店を訪ね、みたらし団子を購入します。
「持ち帰ることも多いですが、待ち切れない、っていうときは、平塚亭さんのそばにあるイチョウの木の下で頬ばることも。お店を眺めながら、出来立てのみたらし団子を食べると、おばあちゃんのあの笑顔が思い出されます」
羽田さんはこのみたらし団子を、さり気なく日頃の感謝を伝えたいときの手土産としてもよく選びます。
「透明のパックにみたらし団子を並べて、フタを閉じて包装紙で包む。この、日本人の原風景に必ずあるような手土産感もすごく好きなんです。肩ひじ張らない感じが、身近な人への手土産にもぴったり。近所に住む友達や、日頃お世話になっているマンションの管理人さんにもよく差し入れしています」
やさしいおばあちゃんの笑顔を思い出すモチモチのみたらし団子。作り手の愛を感じるこの味を、羽田さんは自分を元気づけたいときや、誰かに「ありがとう」を伝えたいときの味として大切にしています。
羽田美智子さんの“とっておき”はこちら
平塚亭つるをか
みたらし団子 1本190円(税込)
モチモチやわらかい食感と焼き立ての香ばしい香りがたまらないみたらし団子は、平塚亭のの看板商品。他に、知る人ぞ知るこだわりの小豆で作った餡が絶品の豆大福やどら焼き、おはぎ、赤飯なども人気です。平塚神社参道入口にあるお店は、古き良き昭和の佇まい。ガラスケースに和菓子が並ぶ店内も、昭和レトロな雰囲気たっぷりです。小説やドラマにたびたび登場することでも知られる和菓子処に、作品のファンも全国から訪れます。
【販売店情報】
平塚亭つるをか
住所:東京都北区上中里1-47-2(南北線「西ヶ原」駅より徒歩3分)
電話:03-3915-0277
商品のお取り寄せ不可
※記事内の情報は2025年1月現在のものです。商品価格は変更になる可能性があります。あらかじめご了承ください。
取材・文=近藤浩己 写真=小林キユウ (商品) スタイリング=渡辺ゆき 構成=津村伊登子(HALMEK up編集部)
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