「来ちゃいましたね」前橋育英・柴野快仁“病み上がり”も同点弾＆１０人目ＰＫで日本一決めた

ＰＫ戦で優勝を決めるシュートを放った前橋育英１０人目の柴野（カメラ・今西　淳）

◆第１０３回全国高校サッカー選手権▽決勝　前橋育英（群馬）１―１（ＰＫ９―８）流通経大柏（千葉）（１３日・国立競技場）

　前橋育英（群馬）が歴史に残る激闘を制して、７大会ぶり２度目の優勝を果たした。流通経大柏（千葉）戦は延長を終えて１―１で突入したＰＫ戦を９―８で制した。決勝のＰＫ戦は４回目で、１０人目まで続いたのは史上最長。就任４３年目の山田耕介監督（６５）は、史上最多５万８３４７人が駆けつけた国立競技場で歓喜の瞬間を味わった。

　前橋育英の“もってる男”ＭＦ柴野が勝負を決めた。ＰＫ戦では「足が限界だったので」とチーム１０人目に回ったが、決めれば優勝の状況で順番が回ってきた。「来るのかな？と思ったら…来ちゃいましたね（笑）」。相手の１０人目を止めたＧＫ藤原に「もう終わらせてくれ」と冗談ぽく伝えられ、笑顔を浮かべた後に臨んだ両校合計２０番目のキック。２年生は冷静にゴールネットを揺らして歓喜に酔いしれた。

　１点ビハインドでの前半３１分には、「たまたま（前に）上がった」（柴野）ところに、クロスが飛んできた。頭で合わせて、貴重な同点弾。「いいボールだった。決められてよかったです」とはにかんだ。

　今大会途中から体調不良で欠場が続いていたが、山田監督からの信頼は揺るがず、準決勝で復帰。先発を任されたこの日も“病み上がり”ながらフル出場でピッチを駆け回り、勝利に大きく貢献した。（岡島　智哉）