宝塚歌劇団「新しい時代に相応しい形へ」７月に法人化 稽古も労働時間と認め残業代支払う

兵庫・宝塚市の宝塚大劇場

　宝塚歌劇団（兵庫県宝塚市）の宙組娘役Ａさん（享年２５）が２０２３年９月に急死した問題を巡り、親会社の阪急阪神ホールディングス（ＨＤ）は１４日、歌劇団を今年７月に阪急電鉄の１００％子会社として法人化（株式会社化）すると発表した。歌劇団はこれまで阪急電鉄の「ステージ事業」の一部門だったが、独立する形になる。

　現在、６年目以降のタカラジェンヌとはタレント（業務委託）契約を結んでいるが、３月以降は１年の有期雇用契約に切り替える。新たに雇用契約を結ぶ劇団員は１８９人で、希望があれば無期雇用へ転換できる。

　歌劇団は過酷な労働環境やパワーハラスメント行為に悩んでいたＡさんの死後、興行数削減などの改革に着手。昨年秋には西宮労働基準監督署から是正勧告も受けており、早期の対応を迫られていた。

　Ａさんは委託契約で、死後の宝塚警察署の発表も肩書は「自由業」だったが、遺族側は「事実上の労働契約だ」と主張。是正勧告でも、６年目以降も事実上の労働者に該当する場合があると認定したとみられる。一芸に秀でたベテランの「専科」所属の劇団員はこれまで通りタレント契約を継続する。

　４月に阪急電鉄が１００％出資する株式会社を設立し、７月をめどに阪急電鉄から事業を承継。新会社は興行計画を立てる阪急電鉄から業務委託を受け、公演の企画や製作、出演を担う。法人化はガバナンス（統治・管理）体制の強化の一環。取締役の過半数を社外出身者から選び、透明性が高い組織の構築を目指すという。

　非公式の稽古は労働時間外の扱いだが、３月から参加必須のものを労働時間に組み込み、残業代を支払う。演出助手やプロデューサー補は裁量労働制から外し、労働時間を管理する。

　宝塚歌劇団は「宝塚歌劇を新しい時代に相応（ふさわ）しい形へと絶えず進化させ、将来にわたって“夢”と“感動”を提供し続けられるよう、引き続き一体となって、全力で改革に取り組んでまいります」とコメントした。