元宝塚月組トップスター・月城かなと、初コンサートは「退団して変わっていく過程を楽しんでもらう場に」
クランクイン! / 2024年11月16日 7時0分
7月に宝塚歌劇団を退団し新たな道を歩み始めた、元月組トップスター・月城かなと。退団後初のファンの前へのお目見えとして、ソロコンサート『de ja Vu』を開催する。「なるべく早いタイミングでコンサートを」と希望したという彼女に、新たな月城かなとの幕開けとなる公演への思いを聞いた。
◆退団して変わっていく過程を楽しんでもらうコンサートに
宝塚時代の懐かしい楽曲をはじめジャズやポップス、ミュージカルなどさまざまな音楽に乗せて、月城かなとの魅力をたっぷり届ける本公演。『フリューゲル -君がくれた翼-』や『Rain on Neptune』など、数々の月城かなと出演作品で振付を担当した港ゆりかが構成・演出・振付を務め、超絶技巧ソロギタリストとして国内外で活躍する横田明紀男(大阪公演)、型にはまらない情熱的な演奏で日本のみならず海外でも活躍するヴァイオリニストで、作曲家としても知られる川井郁子(神奈川公演)がゲストとして華を添える。
――7月に宝塚を退団され、初めての公演がコンサートとなります。
月城:コンサートをいつ開催するかは悩んだのですが、なるべく早い方がいいんじゃないかとお願いしました。というのは、退団してから私という人間が、やっぱりどんどん変わっていくわけじゃないですか。その過程を楽しんでもらうコンサートになったらいいなと思ったんです。
根本の「私」という人間が宝塚を退団して、いろんなことを感じて今こういうふうな段階ですということをお見せできるコンサートになればいいなと思っています。時間が経ちすぎると、すごく変わってしまった姿を期待されるかもしれないなとも思ったし、私はそんなに変わらないんだろうなとも思ったので、早いタイミングで皆様にお会いできたらなと考えました。
――スターダストプロモーションへの所属と、コンサートの発表が同時でした。ファンの皆さんは大歓喜したのですが、そうした反響はご覧になられましたか?
月城:…ちょっとずつ(笑)。(事務所所属発表とコンサート開催発表を)なるべく近づけたかったんです。どちらかだけ先に出ても、「えぇぇ!!!」ってなってしまう時間が長いかなと思って。だったら楽しみな話題は近い時期に出たほうがいいんじゃないかと。なるべく一緒にバッと出した方が、「あー!楽しみ!!!」と皆様の気持ちをあまり何度も揺さぶらずにすむかなと考えまして。喜んでいただけたならよかったです。
――退団から3ヵ月ほど経ちますが(取材当時)、現在はどのような日々を過ごされていますか?
月城:時間に余裕ができたので、時間に追われずに、自分のやってみたいことができています。すごくありがたいなって思いますし、でも、なんていうか、中身はあまり変わらず過ごしていると思います。
◆港ゆりか先生と、宝塚という枠を超えたものを一緒に作りたい
――今回のコンサートは月城さんともご縁のある、港ゆりかさんの構成・演出・振付となります。
月城:まさか港先生に振付だけでなく、演出もお願いできるとは思っていなくて。快く引き受けてくださって、とてもうれしかったです。港先生の作る世界観が満載のコンサートになると思います。
――港さんの振付にはどんな印象をお持ちですか?
月城:3回ほどご一緒しているのですが、それがお芝居の中のナンバーなのか、ダンスナンバーなのかでも全然違った振付をされる。でも、いつも歌詞に寄り添ってくださるんですよね。私が歌う歌詞に必ず合った振りを付けてくださるので、気持ちの流れが途切れずできたり、逆にその振りに助けられて、歌詞の意味がまた自分の中でよく理解できたりする印象があります。
――今回のコンサートのタイトルは『de ja Vu』。どんな意味が込められていますか?
月城:港先生から、『de ja Vu』はどうかとご提案いただきました。そこに込められた本当の意味はたぶん先生の頭の中にあって、お稽古をしていくうちに私たちも分かってくると思います。でも、この言葉には、懐かしく感じることや、経験したような気がするとか、いろんな意味があるので、コンサートのどの部分でそれを感じていただけるかは、きっと観てくださる皆様それぞれだと思うんです。ちょっと懐かしい気持ちになるのか、ずっと想像して観たかったものがそこにあるっていう『de ja Vu』なのか。いろんな意味の込められたタイトルなんじゃないかなと想像しています。
今回、構成・演出すべてお任せしているんです。自分で考えるというのも一つの方法かなと思うんですけど、自分で考えると可能性が狭まっちゃうかなと思いまして。港先生が作る世界を存分に楽しみたいなと思いましたし、逆に先生が宝塚で私を担当してくださった時に、宝塚という制約の中ではできなかったもの、その枠を超えたものを、一緒に作りたいなとも思ったんです。お話したことといえば、好きな色とか、どんな曲が好きかとか、そのくらいで。それをもとに先生が考えてくださったので、それを楽しみにしている段階です。
どんな曲が好きかというやりとりの中で、私が今年のはじめにニューヨークに行ったんですね。その時に観たミュージカルがものすごく大好きになりまして。「もしできたら少しだけでも、その曲を歌えませんか?」とリクエストしました(笑)。そうしたら、今回メドレーの中に入れていただけたので、すごくうれしいです。まだ日本で上演されていない作品の曲なので、聴いた瞬間に、「あ、これだ!」とお分かりいただけないかと思いますが、すごく素敵でいい曲なんです。シンガーもダンサーもメンバー全員でお届けしますので、ぜひその曲も楽しみにしていただきたいです。
◆主演として初めて迎えるご当地・神奈川公演への思いは?
――男役を卒業されて歌うことに対する意識は変わりましたか?
月城:宝塚では基本的に私に合わせた音域で曲を作ってくださっていましたが、そうじゃなくて既存の曲に自分の声を合わせていくという作業がこれから必要になっていくと思うので、声の幅をもう少し広げていきたいと考えています。宝塚の曲を歌うにしても、同じように歌っても面白くないかなと思うので、知っている曲だけど新しい曲のように聴こえたらいいなと思って、今いろいろと勉強しています。
今回音楽監督で、玉麻(尚一)先生に入っていただいています。玉麻先生の曲っていつも、曲の世界観がすごいんですよね。すごく難しい曲だなとか、こんなメロディーなんだ!と新鮮なことが多くて。稽古音源のときからいろんな楽器を使って作ってくださるんです。いろんな楽器が聴こえてくる曲から自分がまたイメージを膨らませて、この曲だったらこの声がいいんじゃないかと後からついてくる感じと言いますか。曲ごとに合わせた声が出せるように、どんな声がいいかと想像しながら作っている感じです。宝塚の曲でも、先生が編曲すると、全然違うような曲になったりするので、そこも楽しみにしていただきたいなと思います。
――今回ゲストには、横田明紀男さん、川井郁子さんと素晴らしいミュージシャンのお二人が参加されます。とても大人な雰囲気になるのではと期待してしまいます。
月城:その道のスペシャリストの方なので、その世界観に自分が入れると思うとご一緒できるだけでとてもうれしいですね。お二方の演奏を間近で聴けるだけでも大満足ですが、今回は演奏と一緒に歌うこともあるかと思うので、本当にありがたいです。お二人のお人柄が演奏に表れていますよね。そういう方と出会えるのもうれしいですし、一緒にひとつのものを作ることができるということも貴重な経験だなと楽しみにしています。
――今回のコンサートは、KAAT神奈川芸術劇場での公演も。意外だったのですが、宝塚在団中にご当地・神奈川での主演公演はなかったんですね。凱旋公演への思いはいかがですか?
月城:全国ツアーで県民ホールに行ったことはあるんですけど、主演としてはなくて。KAAT神奈川芸術劇場は1度観劇に行ったことがあるのですが、音響がとてもいいなというイメージがあるので、そういう空間で歌えるのも楽しみです。あまりに関西生活が長すぎて、凱旋と言っていいのだろうか?という感じもありますが、横浜の皆さんが覚えてくれていたらうれしいです(笑)。
――ファンの皆さんも、月城さんの生まれ故郷・横浜を訪れるのは聖地巡礼的な感じで楽しみだと思います。
月城:横浜って広いですから(笑)。月城さんの地元かってなると、KAATのあたりの海辺のしゃれた感じはオシャレすぎるんですよね。でも、この街で生まれ育ったんだって海風に吹かれながら思っていただけたらいいなと思います(笑)。コスモワールドの観覧車や、大さん橋がとてもきれいなので、ぜひ横浜の街も楽しんでください。
(取材・文:田中ハルマ 写真:高野広美)
「月城かなと1st Concert『de ja Vu』」は、11月21日~24日に大阪・梅田芸術劇場メインホール、11月29日~12月1日に神奈川・KAAT神奈川芸術劇場にて開催。
11月30日16時30分公演(※月城かなと、港ゆりかアフタートークショー付き)、12月1日12時30分公演のライブ配信(PIA LIVE STREAM、Rakuten TV)、11月30日16時30分公演(※月城かなと、港ゆりかアフタートークショー付き)、全国の映画館でライブ・ビューイングあり。
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