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『SAKAMOTO DAYS』杉田智和と島崎信長が語る、役者が人生をかけて積み上げた“芝居の厚み”「あらゆる物事が、芝居に繋がっている」

クランクイン! / 2025年1月5日 12時0分

島崎:なんというべきか……。ありがとうございます!

■特別な1つより、日々の積み重ねが“芝居”に繋がる

――坂本太郎の人生は、仕事とは異なる場所から受けた刺激をもって大きく変化しました。声優という仕事において、外から受けた刺激で変わったことはありますか?

杉田:あらゆる物事が、今の芝居に繋がっていると思っています。芝居について考えるにあたっては、演じる人物の立場や動きを体験するのが一番早いですからね。だから、法に触れること以外は、あらゆる経験を積みたいと思っています。

たとえば、以前“カリスマコンビニ店員”の芝居をする機会があったのですが、僕はそれまでコンビニ店員はおろか接客業を一切やったことがなかったんです。これはもう一度体験した方が良いということで、実際にやらせてもらいました。

――自主的にですか!?

杉田:当時住んでいたマンションの近所のコンビニに行って「土曜日の深夜帯の1時から3時くらいまで週イチで働けませんか?」と聞いてみたんです。そしたら、店長さんに「そんな最初からシフトを指定してくるバイトはいない(笑)」と呆れられてしまいました。

島崎:それはそう(笑)。

杉田:事情をお話したらバックヤードを見せてくれて、道具の使い方などを教えてもらうことができて、大変参考になりました。実際に見たり、触ったりすることで解像度が大きく上がるので、その刺激を自分から受けにいくのは大事だと思っています。

島崎:体験できるものなら、確かにそうですね。直接体験できないものでも、なにか近い状況がヒントになることもあるし。

杉田:殺し屋は体験できないもんね(笑)。坂本については、むしろ家庭に軸を置いている人物なので、そちらを理解する方が大事だと考えました。今回は実際に家庭を持ってお父さんでもある知り合いから話を聞いたり、関係性の面から近いものを探したりしました。

――島崎さんはいかがでしょうか。

島崎:杉田さんがおっしゃったとおり、といいますか。大事なのは“1つの特別な体験”ではなくて、日常の中から感情や感覚を拾い上げることなんだと思います。自分の感性だけじゃなくて、街角で酔った人の動きや、友達と楽しそうに話している人の表情も、それぞれから受け取るものがあるんです。もちろん、意識して見に行かないと手に入らないものがあれば、積極的に行動してみます。

役者を何十年続けられるかは分かりませんけど、人生の中で受け取ったものが積み重なっていって、役者としての自分に変化が生まれていくんだと思っています。大きな体験によって変わる部分もあるとは思うけど、長い目で見ると大事なのはそっちなんじゃないかなって。大先輩のみなさんを見ていると、特にそう感じます。

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