ゴッホの幻の作品を日本人画家が復元に挑戦!
IGNITE / 2017年10月5日 22時0分
日本初となるオランダのファン・ゴッホ美術館との国際共同プロジェクト「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」が、6年に渡る準備期間を経て、北海道立近代美術館にて2017年10月15日(日)まで開催中だ。 本展に関連し、ファン・ゴッホの幻の作品《恋人たちのいるラングロワの橋》を、一部分のみ残った作品の断片やスケッチ、手紙などを手掛かりに復元する試みを世界で初めて行っている。
本プロジェクトは、世界的なファン・ゴッホ研究者であり、「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」の総合監修者を務める圀府寺司氏(大阪大学・教授)をリーダーとし、国外の研究者の助言も受けながら、映画「ゴッホ~最期の手紙~」の制作に日本人として唯一参加した、画家・古賀陽子氏が復元を担当。現時点での復元作品は、9月20日(水)より同展に出展されている。
復元作品《恋人たちのいるラングロワの橋》
1、幻の野心作「ラングロワの橋」
ファン・ゴッホは南仏に到着してまだ間もない1888年3月、アルルの跳ね橋「ラングロワの橋」を一連の油彩、デッサンに描いている。そして、その連作の中に、1つ野心的な作品があったことが当時の手紙やスケッチから読み取れる。
空は黄色、水面はエメラルド・グリーン、人物はオレンジや赤、バラ色など、自然の色から離れた極めて鮮やかな色を使い、まるで浮世絵のような平面的な構成で描かれていたと考えられている。また描かれた風景から、ファン・ゴッホがこの絵をほぼ真北を向いて描いていることが判明しており、このことから絶対に見えることのない太陽を、架空のモティーフとして”わざわざ”この場面に描き込んでいることがわかる。
しかしこの油彩作品は、原因は定かではないが、その一部分が≪水夫と恋人≫として現存しているのみ。そして、実際にファン・ゴッホが描いた作品は、制作途中で天気が悪くなってアトリエで仕上げたため、本人としてはあまり満足できない作品になったようだ。
2、プロジェクトの道のり
いったい、ファン・ゴッホはどんな絵を描きたかったのか?≪水夫と恋人≫、当時の手紙やスケッチをもとに、ファン・ゴッホ研究者や画家が意見を出し合い、ファン・ゴッホが描きたかった絵、成功作はこうなっていたのではないか、という彼の理想を復元する。というコンセプトでプロジェクトを進められた。
~模写編~
まず行なったのは、現存する部分を模写し、徹底的にファン・ゴッホのアプローチを分析すること。現場では、構図のみを描いたキャンバスの隣に、≪水夫と恋人≫の実物を並べ、古賀さんが文献をもとに独自で自作した絵具を使って模写を進めた。
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