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大反響のNスペ「戦後ゼロ年 東京ブラックホール」のディレクターが描き出す「日本人が知らない〈占領都市TOKYO〉の本当の姿」とは!?

IGNITE / 2018年12月28日 13時0分

結果、日本は世界有数の経済大国になった。めでたし、めでたし」というストーリー。その描かれ方も、必然的にステレオタイプになる。いつも同じなんです。「耐えがたきを耐え……」から始まって、それで、少しだけヤミ市の映像が出てきて……。で、すぐ、次にいくんですよ。「けれども、日本人は立ち上がりました」と。
「戦後ゼロ年」は“終わった時代”、もしくは“克服した時代”であって、そのときの苦労話を延々やる必要はないじゃないか、ということかもしれません。しかし、「新・映像の世紀」の制作途中で出会った“生の映像”を観たり、資料や文献を調べたりするうちに、ずいぶんイメージが変わってきたわけです。「戦後ゼロ年」について違った見方が可能なはずだ、という確信がありました。

■貴重な資料写真は、アメリカ以外の国から出てくる

佐藤:番組は、古いフィルムがふんだんに使われていますね。僕はいつも主にアメリカで調査をしていますが、これまでに見たことのない写真や映像がたくさんあり驚きました。たとえば、(番組の)冒頭に出てくる、日本軍の隠匿物資の一部とされる金塊が海から引き上げられる映像はフランスのものですね。

貴志:そうです、アメリカのものではない。

佐藤:そして、とりわけ印象に残っているのは、売春施設の映像。

貴志:あれは、オーストラリアの戦争博物館からです。

佐藤:当時の記録はすべてアメリカに残されているだけだと思っていたんですけども、実はそんなことはないということですね。別の国のアーカイブでも丹念に発掘作業を行い、番組で使っている。それがすごく印象に残りました。特にオーストラリアの映像は本当に貴重ですね。売春施設の中で、そこで働いている人も含めて撮られている。

連合軍の専用列車、貴賓室のような豪華な客車の中の映像もオーストラリアで見つけたものですね。アメリカでも探せばあるのかもしれないけれども、アメリカの公文書館に所蔵されているものは、基本は公式記録なので、売春施設など、見せたくないものは残っていないですよね。

貴志:占領軍というのは、連合軍であってアメリカだけではないという建前はありますが、実際はアメリカによる占領ですよね。米軍は占領をいかに上手にやったかということを世界に宣伝したい。ですから、その目的にそぐわないものは、隠すか、あるいは撮影させない。たとえばヤミ市とかは撮っちゃいけない。他にも、アメリカ人が銀座を大勢で闊歩しているのもダメ。焼け跡もダメ。売春施設ももちろんそうです。

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